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2010-10-30

カナザワ映画祭2010のまとめ

 のんびりとした<カナザワ映画祭2010 世界怪談大会>の体験記も終わり(終わるまでに1ヶ月経ってしまった。のんびりにも程がある)、何か今年の一区切りが付いた感じがする。まだ早いけど、「嗚呼、もう今年も終わりかぁ」と。

 今年の<カナザワ映画祭>で何よりも驚いたのは、爆音上映の威力だった。本当に侮っていた。わかった気になって批判的な感想を述べていたのが恥ずかしい。
 特にジョン・カーペンター監督の『ゼイリブ』と『パラダイム』の爆音上映には大興奮した。両作とも今まで何十回も観ていた筈なのに、全く知らなかった魅力が爆音上映にて知ることができた。爆音上映にてカーペンター監督作の真価を体感できた。カーペンター監督の音楽がダンスミュージック好きにとても評価されていて、クラブで使われることだってあるのに、音楽だけを大音量で聴くのと、映画そのものを爆音上映で観るのとでは全然違う。いつか「カーペンター監督作の爆音上映大会」を開催してもらいたい。<カナザワ映画祭>で行ってもらうのが理想だけど、他のどこでもいいので。
 意外だったのは、『スクワーム』。まさか『スクワーム』が爆音上映にピッタリだったとは思わなかった。耳をつんざくようなニョロニョロの叫び声がインパクト大だった。
 あと、『ポゼッション』の爆音上映も凄かった。何が凄いって、イザベル・アジャーニさんの発狂演技が爆音上映にて凄くなっていたこと。TV画面での鑑賞なら早送りする可能性のある地下道の場面なんて、椅子に固定させられる劇場鑑賞だと拷問のようで、しかし爆音上映がアジャーニさんの演技を神経に突き刺し、未知の娯楽へと発展させていた。本当に素晴らしかった。
 しかし、その他の作品は大したことなし(『吸血鬼ゴケミドロ』は爆音上映で観なかったけど、爆音上映がピッタリだったろうなぁ)。爆音上映すれば何でも価値が上がるわけじゃないのがよくわかった。作品毎に微調整をしているんだろうけど、それ以前に作品との相性が重要。
 作品との相性が抜群の時の爆音上映の威力は凄まじい。最新設備のシネコンでも敵わない。爆音上映は、まさに映画を体感する上映方式だ。その快感を覚えると、あの作品もこの作品も爆音上映で味わいたい……と考えてしまい、普通の映画上映を寂しく感じてしまう。麻薬のように危険かもしれない。

 「世界怪談大会」という副題通り、怪奇に溢れた作品揃いで良かったけど、スケジュールの組み方はイマイチだったような気がした。昨年の方が巧かったと思う。
 『邪願霊』、『女優霊』、『リング』、『降霊』は連続上映してほしかったなぁ。心霊表現の進化がわかり易いし。
 作品の上映順には何か意図があったのだろうか? あったとすれば、私は気付かなかった。

 作品の選別は、良かったり悪かったり。映画を楽しむことへの新しい発見があったりなかったり。微妙。これも昨年の方が巧かった。
 今さらだけど、鶴田法男監督の『ほんとにあった怖い話』から「ひとりぼっちの少女」、「霊のうごめく家」、「夏の体育館」の3本を上映してほしかった。革新的な心霊表現として特に重要な作品だし、黒沢清監督の『降霊』よりも重要だと思う。映画祭のパンフレットには、霊能者から見た「最もリアルな心霊表現」と『降霊』について書かれていたけど、映画としては鶴田監督の方が表現が巧い。
 『降霊』がイマイチなのは、TVMとして作られた作品をスクリーンで観たのが駄目だったのか、元々が模索中の作品だったから駄目だったのかわからない。『降霊』は、物語からはみ出た部分が黒沢監督っぽくて素晴らしい。ドッペルゲンガーの場面と、少女の幽霊を殴る場面がそれ。どちらもその後、『回路』と『ドッペルゲンガー』に昇華するので、やはり『降霊』は習作のような感じがしてしまう。巧いは巧いんだけど、不自然さが残っていて、『邪願霊』にも劣る。
 結局、今の邦画に於ける「心霊もの」の人気作品を連続で観ると、『邪願霊』が未だ最も怖いことがわかって驚いた。観る前の印象では、『女優霊』か『降霊』の方が巧くて怖いと思っていたんだけど。
 予想外の上映となった『ポゼッション』が今回の上映作の中に見事にハマったことには驚いた。というか、強烈だった。『ポゼッション』の後に上映された『リング』が可哀相だった。と同時に、『ポゼッション』から『リング』という上映順は、結果的に見事な効果があった。どう見てもアジャーニさんの方が貞子よりも強烈だもん。タコのお化けを創り出すアジャーニさんより、怨念で人を殺すの貞子の方が遥かに常識人だ。それがわかっただけでも大きな価値がある。つまり、貞子は今はもう怖い対象にはならないってこと。
 貞子の動き、呪いのビデオ映像、『女優霊』の最後のお化けの動き、それらはワザとらしすぎて、もう古臭い。人間ならざるものの表現はやはり難しい。理屈的な幽霊より、理屈を越える変態や狂人の方が遥かに恐ろしい。幽霊が怖いのは、理屈が通用せず理解できないからだ。しかし惜しいことに『降霊』も『女優霊』も『リング』も恐ろしさが説明できてしまう。怖さを表現するために――観客への配慮から――「説明」をしてしまっている。それゆえに時代の流れに耐えられない。それは科学と魔法の関係に似ている。理解できない科学は魔法のようだけど、魔法も理解できれば科学で捉えられる。理屈でないカーペンター監督作と『ポゼッション』、理屈だらけの心霊邦画を一緒に楽しむことでそれがよくわかった。
 理屈でない変な作品は、佐藤肇監督作も該当する。『吸血鬼ゴケミドロ』と『怪談せむし男』の面白さも格別だった。意外やカーペンター監督作に近い魅力があることに気付いた。カーペンター監督作の後に観たからそう思えたのだろう。<カナザワ映画祭>効果だ。
 上映作品の中では佐藤監督作、カーペンター監督作、『ポゼッション』、邦画の「心霊もの」は関連付けて観ることが可能で、新しい発見があった。それ以外は、失礼ながらイマイチだった。
 中国の『夜半歌聲』は私には退屈だった。傑作と呼ばれている作品であることは知っているし、抗日や圧政に対する民衆の気持ちが反映されていることも知っているけど、その知識から「ふーん」と納得しただけの作品だった。怪奇な作品じゃないし。しかし、表面的な表現だけを捉えていては理解できないことがある。『夜半歌聲』はまさにそんな作品で、時代背景を知っているだけで感想が変わる。日本の心霊表現だって、昔ながらの「ヒュ~、ドロドロ~、うらめしや~」から『邪願霊』以降の変化は、歴史的な視野で社会文化論の考察をすることもできるだろう。そーゆー意味で観る価値はあるんだけど、今回の<カナザワ映画祭>にそーゆー視野はないので(作品の選別からそう思った)、特に感心も感動もなし。
 韓国の『チャウ』は酷い作品だった。何であんなの選んだのだろう? はっきりいって『TSUNAMI-ツナミ-』と同程度に酷い作品だよ。『クトゥルーの呼び声』も貴重な上映だったけど、面白くも何ともない作品だった。ま、上映作品の全てを傑作で埋め尽くすのは無理だから、ハズレがあっても当然。それも映画祭の楽しみ。

 そして何よりも『シェラ・デ・コブレの幽霊』だ。
 まず、会場付近のささやか過ぎるお化けの飾り付けが印象深かった。余りにワクワクしていたから、野外会場への移動中、兼六園下(21世紀美術館前)の交差点で信号待ちをしている際、信号待ちをしている人がみんな『シャラ・デ・コブレの幽霊』を観に来た観客に思えた。あっちから来る人もこっちから来る人もみーんな『シェラ・デ・コブレの幽霊』を観たさに集まって来ているんじゃないか、と。そしたら同じく信号待ちをしている人の中で「ここにいる人、みんな映画観に来てる人かも」といってる人がいた。それだけでテンションが上がり、楽しくなってしまった。
 今月号の『映画秘宝』にレポートが載っていたのでそれを読むと、あの寒空の下に600人程の観客が集まったそうだ。400人未満だと思っていたら、もっといたのね。本当に晴れて良かったよ(21世紀美術館のシアター21には絶対に600人も入らないし)。
 万全の態勢で2回目の鑑賞に挑んだんだけど、手強かった。慈善上映みたいなもんだから文句いっちゃ悪いけど、1時間以上待たされるとは思わなかった。でも、それも良い想い出になる。ソフト化された暁には、コメンタリーに苦労話の1つとして語られるかもしれない。
 もうね、この野外上映を成功させられただけでも東京国際映画祭なんかより凄いと思えますよ。

 最後のまとめ、映画祭全体の感想。
 色々と批判点もあるけど、やはりとっても楽しい1週間だった。何を観るかで悩むのが楽しくて、朝起きて今から観る作品にワクワクして、観終えてから仲間と作品の感想を言い合うのが楽しくて、寝る時も翌日に観る作品のことでワクワクして、気付いたら1週間があっという間に終わっていた。本当、あっという間だった。
 だからこそ、終わり方に不満を感じた。「気付いたら何となくフェードアウトしてる」って感じの終わり方だし。「これにて閉幕!」と終わりを実感できるような演出があれば良かった。何かねぇ、寂しいのですよ。たとえば高橋洋監督の『恐怖』をクロージング上映にできていれば良かったのに。それはねだりすぎか。
 果たして今回も日本中に、いや世界中に自慢できる映画祭だった。自分では何もしていないけど、自分のもののように自慢したくなる。まさか自分が住んでいる地域でこんな素晴らしいイベントが開催されるとは夢にも思ってなかったので、かなざわ映画の会にはどれだけ感謝してもし切れない。開催に係わった全ての方々、本当にありがとうございました。そしてお疲れ様でした。来年も期待してます。
 それにしても、年々ハードルが上がってる気がする……

映画祭に使った金額:
・チケット代金    32,000円
・野外上映時の募金 1,000円
・サポーター賛同金 10,000円
          計 43,000円
 地元民でこれだけ使ってるんだから、他地域からの観客はどれだけ使ってるんだか……熱意に感心します。そういえば、9/23に「買いすぎてチケットが9枚も残ってる」といってる女性2人組の観客がいた。その時点で残り5本しか上映されないのに。ちょっと面白かった。
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テーマ : 映画館で観た映画
ジャンル : 映画

tag : カナザワ映画祭

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プロフィール

ばっどていすとさんどいっち

Author:ばっどていすとさんどいっち
テクノ好き。
アンダーワールドのRez大好き。
映画大好き。
ジャッキー・チェンが生涯の英雄。
生涯1位作品は『ミミズバーガー』。
2位が『溶解人間』。
泣き虫で、馬鹿。
itsuka-omoi-dasu-bts@hotmail.co.jp

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