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2010-10-28

カナザワ映画祭2010体験記:8日目

 <カナザワ映画祭2010 世界怪談大会>の8日目(9/24)。遂に映画祭も最終日だ。最後に観たのは、『吸血鬼ゴケミドロ』と『怪談せむし男』。どちらも佐藤肇監督の作品だ。
 佐藤監督作は、『吸血鬼ゴケミドロ』しか観たことないので、『怪談せむし男』にはとっても期待している。

 1本目は、『吸血鬼ゴケミドロ』。
 物語は単純。異星生命体による「侵略もの」だ。ただし、作品そのものは単純じゃない。とある旅客機がUFOのせいで制御不能になり、とある山へ不時着する。物語は基本的にその旅客機内だけで進行する。従って『吸血鬼ゴケミドロ』を強引に要約すれば、異星生命体による「侵略もの」の密室劇。まあ、出たり入ったりするので完全な密室劇ではないけど、『遊星からの物体X』と似たり寄ったり。
 登場人物は、人数は少ないけど、濃ゆ~く揃えられている。エゴ丸出しの政治家、妻を浮気相手として提供してでもその政治家の権力にすがり付く武器商人、自分の感情を殺して政治家に抱かれる武器商人の妻、人の命を実験台程度にしか考えていない医者、爆弾で自殺しようとしている馬鹿、存在価値が唯一よくわからない外人女性、そしてテロリスト……揃いも揃って嫌な奴ばっか。善人は機長、副機長、搭乗員だけ。それだけで普通に飛行機事故の「パニックもの」を作れるのに、異星生命体の「侵略もの」という要素が加わるのだから、とんでもない展開を見せる。
 印象は、中川信夫監督の『地獄』。無難な題材なのに、やり過ぎでとんでもなく凄い作品になった一例。その後に作られた2本の「地獄」は、中川監督の『地獄』を超えることは無理なだけでなく、足下にも及んでいない(あの石井輝男監督ですら無理だった)。それと同じくらいメチャクチャな地平の果てまでイってしまったのが『吸血鬼ゴケミドロ』だ。
 題名にもあるように、異星生命体の「侵略」は吸血行為によって行われる。ので、飛行機事故の「パニックもの」と異星生命体の「侵略もの」に吸血鬼まで盛り込まれていることになる。その上、反戦メッセージまで加わっているので、もうメチャクチャ。
 物語は、嫌悪感しか抱けない面々が大騒ぎしているだけで進行し、ずんずんと異常事態に発展する。通信が通じない状況らしく、外部の状況が一切わからない設定なのもいい。その異常事態を一身に担っているのが、テロリストを演じる高英男さん。「ゴケミドロ」に侵略される前もオカシイ感じが前面に出ているけど、侵略後が他の面子よりも際立っている。無表情な不気味さが巧く、その表情ゆえか、額に亀裂が入って水銀みたいな「ゴケミドロ」がドロリと出入りする特殊メイクは今見ても気持ち悪い。
 画面は、落ち着いた色彩と極彩色が巧く配置されており、後者の場面は、やり過ぎと思えるくらいに強烈。特に冒頭の真っ赤な空の色は、「まるで血の海を飛んでいるようだ」という台詞そのままで素晴らしい。最初から最後まで異常な作品だ。
 そして最後が良い。最後の最後で不時着した場所が実は街郊外から一山越えただけの場所だったことが発覚する。人のいる場所に出られた喜びも束の間、様子が異常なことに気付く。国道と思われる道路に車がたくさん停まっているんだけど、生きている人が乗っていない。その光景がずーっと向こうまで続いている。何か異常事態が、大きな規模で起きていると一目でわかる。そして画面は、宇宙から見た地球になり、そこへたくさんのUFOが飛来しているのを映して終わる。
 観客の大半が「実は山の向こうは人里でした」とわかる場面で笑っていたけど、そこは笑う場面じゃないと思うのだ。確かにコントのような展開だけど、私は感動した。いかにもなB級映画のいかにもな展開。細かい説明は不要とばかりのいきなりの衝撃的展開。そして衝撃的な結末。見事。
 いつまで経っても色褪せることのない、賞味期限の長~い傑作だ。

 2本目は、『怪談せむし男』。
 こちらも物語は単純。怪しい洋館で当然のように恐ろしくおぞましい出来事が連発する。『ヘルハウス』みたいといえばいえるけど、やはりそこは佐藤監督、一味間違っているような変な作品に仕上げている。
 幽霊屋敷のせいで異常事態が発生している物語なんだけど、進行は見るからに怪しい「せむし男」が担っているので、「せむし男」のドッキリ映画といえないこともない。題名通り、問題を起こしているのって「せむし男」だからね。
 後の『吸血鬼ゴケミドロ』でも印象に残るショットを作っていた佐藤監督は、白黒である『怪談せむし男』でも印象的なショットをたくさん作っている。アングルを傾けたり、天井からの俯瞰ショットを混ぜたり、家具の配置を巧みに使ってドッキリ演出を凝らしたり、巧い。物語は「何じゃそりゃ」としかいいようのないメチャクチャさで、怖いを通り越して笑える一歩手前なんだけど、やはり演出の巧みさ(または異常さ)がそんなことを気にさせないものにしている。
 しかも最終的には記憶に残るくらい嫌な怖い作品になっている。冒頭から焼死体が叫ぶ衝撃的な場面があり、驚かされる。最後の、葉山葉子さん演じる和子が燃え盛る炎の中に入る場面も気持ち悪い。「怖い」でなく「気持ち悪い」のは、和子が笑顔で燃えるからだ。悲鳴を上げて燃えるだけでも怖いのに、笑顔で燃えるというのが常識を逸脱しているので「怖い」を通り越して「気持ち悪い」になる。和子の等身大の写真の前に炎があるのを撮っているだけなんだろうけど、とにかくその場面が怖い。
 平然として恐ろしい事態に陥ることがどんなに異常なことか。これは今でも通じることで、たとえば『パラノーマル・アクティビティ』のようなモキュメンタリーの駄目な点は、「恐怖の対象を映さない」という一言に尽きてしまう。ギャーギャーと怖がる登場人物を映してばかりで、本当に怖いものを映したいのなら、怖い根源を積極的に映すべきなのに、「ドキュメンタリー風」というものを「状況を映すもの」と勘違いしている。状況を映さないと維持できないということは、とっても物語的であって、ドキュメンタリー的ではない。そこを理解している演出なので、『怪談せむし男』と『吸血鬼ゴケミドロ』の異常性は際立ち、歴史に残るのだと思う(というか、両作とも状況そのものが異常で怖い)。
 ところで、意外や満員に近いくらい客が入っていて良かったんだけど、何かクスクス笑ってる客が多かったのが気になった。何だろう、いつも感じるこの違和感は。確かに今からすると苦笑もの演出はあるけど、その大袈裟なところが良いのに。やり過ぎて笑わせる演出というものはあるけど(サム・ライミ監督が得意とするような)、『怪談せむし男』はそーゆーのとは違うと思う。たとえば中川監督の『地獄』なんて思わず笑ってしまうくらいにやり過ぎを超えたやり過ぎ作品だけど、私はただただ凄いなぁと呆気にとられて感心するのみだ。石井監督の『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』にしたって、最後の生首場面で爆笑している人多いけど、そーゆーシニシズムな態度は嫌だなぁ。
 題名からソフト化されないようなので(表面的な判断しかできない連中って嫌だねぇ)、とっても貴重な鑑賞になった。ありがたや。

 どちらも物凄く面白かった。『吸血鬼ゴケミドロ』はカルト映画として世界的にも有名なので、時代の差を感じることもない素晴らしく凄い作品だったし、『怪談せむし男』も負けずに凄い作品だった。どちらも物語がメチャクチャだってのもあるし、それ以上に演出が強烈だってのもある。
 作品は大いに満足できるものだったけど、映画祭としては寂しい限りだった。最終日だってのに、何にもなくて、閉幕という表現すら不用ないくらいに静か~に閉幕しちゃうんだから(最後の上映は『女優霊』だけど)。昨年はまだ『ラザロ』というクロージング上映作もあったのに、今年はそれもなし。そーゆーとこをどーでもいいと思ってるのか知らないけど、これは由々しき問題ですよ。事情や理由は知らないけど、祭りなのに、そこを手抜きするのは駄目でしょ。少しガッカリでした。
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テーマ : 映画館で観た映画
ジャンル : 映画

tag : カナザワ映画祭

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ジェット・リーの映画「海洋天堂」

ばっどていすとさんどいっちさん、はじめまして。突然の紹介で失礼します。


ジェット・リーがアクションを封印して自閉症の息子との情愛を演じる映画「海洋天堂」(原題)が今年中国・香港・台湾などで公開されたのをご存じでしょうか。

ジェット・リーは脚本に感動し、ほぼノーギャラでこの映画への出演を決めたそうです。

この映画の音楽担当は、久石譲さんです。医学監修には日本人も関わっているそうです。


しかし、この映画は娯楽作ではないので興行的に不安があるのか、日本での公開はまだ決まっていません。

そこで、この映画の日本公開を目指して『ジェット・リーの「海洋天堂」を日本で観たい!』という活動を以下URLのサイトで行っていて、ネットで賛同メッセージを募っているそうです。
http://oceanheaven.amaterasuan.com/
もしよろしければ、ご協力お願いいたします。

(注…私はこの日本公開活動の運営者ではありません)


映画「海洋天堂」のストーリーです

水族館に勤める王心誠(ジェット・リー)は、妻を亡くして以来、自閉症の息子の大福を男手ひとつで育ててきました。
大福は海で泳いだり、水中の生物と触れ合うのが好きでした。
大福が22歳になり、心誠は将来の息子の自立について考えていました。
そんな中、心誠が末期がんに侵されていることがわかり…


予告編動画(英語字幕付き)
http://www.youtube.com/watch?v=F6MGxP2_oi8
プロフィール

ばっどていすとさんどいっち

Author:ばっどていすとさんどいっち
テクノ好き。
アンダーワールドのRez大好き。
映画大好き。
ジャッキー・チェンが生涯の英雄。
生涯1位作品は『ミミズバーガー』。
2位が『溶解人間』。
泣き虫で、馬鹿。
itsuka-omoi-dasu-bts@hotmail.co.jp

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