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2010-10-10

カナザワ映画祭2010体験記:4日目

カナザワ映画祭2010 世界怪談大会>の4日目(9/20)。観たのは、『パラダイム』、『降霊』の2本。
 21世紀美術館にて爆音上映で観られるのはこの日で最後。昨年よりも連休が少ないから、21世紀美術館での上映日数も少ない。寂しい……が、この日が最も素晴らしい爆音体験だった
 
 1本目は、ジョン・カーペンター監督の大傑作『パラダイム』。
 公開当時に何度も映画館で観て、レンタル開始されてからも何度も観て、廉価版のビデオが発売されたら買ってまでさらに観たくらい大好きな作品だ。が、DVDになってからは観ていないので、観るのは十数年ぶり。
 物語は単純。悪魔が地上に現れようとしているので、学者数名と神父でそれを阻止する。
 久しぶりに観て思った。何でこんなわけわからん物語をすっごく面白いと思えていたんだろう? それくらい、わけわからん物語だ。物語をもうちょっと詳しく説明すると、「どっかの教会で年老いた神父がひっそりと息を引き取る。それがきっかけとなり、悪魔が目覚め、超常現象が次々と発生する。異常事態に気付いた別の神父は、高次元の物理を研究している教授と優秀な科学者を集め、事態の打開に努める。悪魔は世界破滅へと着実に進行していたが、女性学者が命をかけて悪魔を封じた」となるんだけど、何もかもがいきなりで、まともな説明が殆どない。物語の面白さとしては破綻しているけど、雰囲気だけで面白さを維持できている。
 今時の映画なら、悪魔の復活の予兆は派手な超常現象で表現するところだけど、『パラダイム』は浮浪者を大量に映すことで不吉さを表現している。いや、確かに大量の浮浪者が何をするでもなく日がな一日ぼーっと家の前にこっちを見て突っ立ってるのは怖い。怖いけど、それが終末の不吉さとなるなんて!? 安っ!
 他にも、物語の重要な存在として、教会の地下に設置されている大きなカプセルがある。遥か昔から存在するもので、カプセル内には緑色の液体が渦巻いている。台詞でそれは「高エネルギー体」で、意思を持っていると説明される。で、その液体が人の口めがけてぶしゃーって噴出し、その人は悪魔に身体を乗っ取られ、操られてしまう。もうその演出が安いこと安いこと。液体が口に噴出しているだけ。で、ゾンビみたいになる。
 クライマックスでは大きな鏡の中から魔王が出てこようとするんだけど、その手が明らか過ぎるハリボテ製。もうちょっと金かけましょうよ。
 で、最後、まだまだ終わらない――で作品は終わる。この終わり方、最近は『インセプション』で見たな。『パラダイム』の方が遥かに巧いけど。
 こんなにもわけわからんくて安くてコケ脅しな作品だけど、爆音上映がその真価を発揮させた。爆音上映で観た『パラダイム』は、今までのどの『パラダイム』よりも『パラダイム』だった!! 昨年の『宇宙戦争』も良かったけど、爆音上映の『パラダイム』を観ている最中の興奮は、今までに味わったことのないものだった。とにかく、「すげーっ! カッコイーッ!」を馬鹿みたいに繰り返し繰り返し思っていた。実行しなかったけど、終わった瞬間、思わず立ち上がって拍手したくなるくらい、興奮した。全世界の『パラダイム』好きは爆音上映を味わうべきだ。そして、絶対に『パラダイム』のサントラが欲しくなるぞ。実際に私、即行で買ったし。

 2本目は、黒沢清監督の傑作『降霊』。
 これも何度も観た作品で、とにかく霊の描写が巧いと感心していた。
 物語はこの手の物語にしては珍しく、サスペンスとして面白い。平凡な夫婦の家庭に突如として舞い込んだ不幸を描く。妻は霊能力者で、イタコのようなことをしている。夫は音効の仕事をしており、ある日、森へ効果音の収録に行った際、拉致誘拐された少女を偶然、知らずに機材ケースに閉じ込め、連れ帰ってしまう。夫婦が機材ケースに入った少女に気付くのはそれからしばらく経ってからで、少女は衰弱してしまっていた。すぐに警察や病院へ通報しようとしたが、どう説明したら良いからわからず、妻は霊能力者という自分の看板を使い、霊能力のお陰で少女を発見した、ということにしようと画策する。今まで日陰者として生きていた自分が一躍有名人になれる欲もあった。しかし、結果的に少女を死なせてしまう。発覚を恐れた夫婦は、少女を山へ埋める。それから少女の霊が出没し、夫婦に付きまとう。妻は今一度「霊能力者」として警察に協力を申し出、少女が山にいる、と教える。冷たい土の中にいる――と。しかし、既にその時、警察は少女を地中より発見していた。警察は問い質す。「もう1度訊きます。少女はどこにいるのでしょう?」と。妻は、「冷たい、土の中」と答える。
 異能者でありつつも凡人であることに疲れた主婦を風吹ジュンさんが好演している。役所広司さんも、いつもの役所さんにしか見えないけど、運命に翻弄されるだけの優しい夫を好演している(とはいえ、黒沢監督作での役所さんは、普通の何でもない一般人を演じてもそう見えないんだよね……)。殆ど主役2人の演技で物語の出来が救われているようなものだ。というのも、物語は面白いけど、破綻しているから。
 『降霊』にはマーク・マクシェーンさんによる『雨の午後の降霊術』という原作があり、そちらは「バカミス」一歩手前とはいえミステリーとして作られている。それを現代風にアレンジし、ホラー風味を加味したのが『降霊』。アレンジを加えたのは黒沢監督なのか、共同脚本の大石哲也さんなのか知らないけど、ホラー風味とミステリーのバランスが微妙に失敗している。商売道具が入った機材ケースに少女が逃げ隠れてしまい、それを知らずに持ち帰ってしまうのが不幸の始まりなんだけど、いつも使っているケースなんだから、少女が入って重さが変わったの持ち帰る前に気付くでしょ。それに、持ち帰ったままケースを開けないのも変。なので、ミステリーとしてもホラーとしても微妙な位置にいる作品。
 しかし、そこは物語なんざ端から気にしない黒沢監督、幽霊描写で頑張る。んだけど、これが今見ると大したことない。遠景、奥行き、カーテン、風、木々、扉、鏡などの使い方の巧さはさすがだけど、その後の『回路』、『LOFT』、『』と比べると、それらに至る模索段階という感じ。生活感のなさ(作り物っぽさ)が怖さを演出しているけど、逆に壊してもいる。特に黒沢監督特有のサービス精神が恐怖映画を乗り越えて何やら異様な映画に作ってしまっているのが困った感じ。
 役所さん演じる夫は、少女を結果的に殺してしまい、反省しているのかと思えば、現れた少女の幽霊を逆ギレしてぶちのめす。普通、逆ギレして幽霊をぶちのめそうとはしませんて。冒頭で前振りはあるけど、唐突な感のあるドッペルゲンガーの登場にも驚くし、ドッペルゲンガーをガソリンで燃やそうとする展開にも唖然とさせられる。ファミレスでの赤い服の幽霊なんて、なぜかそれだけ下半身がない昔ながらの和風幽霊で、ゾンビみたく腕を前に突き出して滑るようにすーっと移動する(その場面で失笑している観客が何人もいた)。そこまでサービスされると、『降霊』がどんな映画だか見失ってしまう。ミステリーとしての筋から離れた場面に『降霊』は面白さが凝縮されているので、本筋に戻ると途端に面白くなくなってしまう。『回路』にて、幽霊を鷲掴みしちゃってビックリさせられる演出をする黒沢監督だしなぁ。TVMだったから控え目にしたのだろうか?
 幽霊の描写は巧いんだけど、その存在を説明し過ぎるので、怖さは殆どない。黒沢監督は、わかり易い筋の通った物語を作ったら駄目なんだろうな。
 爆音上映の効果は殆どなし。久しぶりに観ると、困惑してしまうくらい、普通の平凡な作品だった。爆音上映で価値が何倍にも膨れ上がって感じた『パラダイム』の後の上映だったのが災いしたのかもしれない。メチャクチャな『パラダイム』の後では、『降霊』はマトモ過ぎた。

 映画祭はまだ続くけど、爆音上映は終わり。寂しい。私は本当に爆音上映をナメていたとしかいいようがなかった。『パラダイム』を観て、まさか爆音で上映するだけで価値があれ程までに向上するとは思いもしなかった。日本中、いや世界中で爆音上映が始まってもおかしくないな、と思える程に。
 観客数は、『パラダイム』が多かった。行列が3列になるくらい。『降霊』も多かったけど。
 『パラダイム』と『降霊』を続けて観ると、物語や構成が多少メチャクチャでも問題ないってこと。というか、物語と構成で魅せる作品の場合、そこに重点を置く作家が作るだろうし、それはカーペンター監督や黒沢監督ではない。両者とも物語としては破綻しているのに抜群に面白い作品を作る作家なので、『降霊』のように微妙に物語がちゃんとしていると、黒沢監督の場合は途端に面白くなくなってしまう。黒沢監督は「物語を映す」ことに執着していると思えないからだ。『降霊』は、改めて観ると、霊の描写は巧くとも、作品としては平凡だった。
 というか、いずれジョン・カーペンター監督祭りをしてほしい。もちろん爆音上映で
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テーマ : 映画館で観た映画
ジャンル : 映画

tag : カナザワ映画祭

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プロフィール

ばっどていすとさんどいっち

Author:ばっどていすとさんどいっち
テクノ好き。
アンダーワールドのRez大好き。
映画大好き。
ジャッキー・チェンが生涯の英雄。
生涯1位作品は『ミミズバーガー』。
2位が『溶解人間』。
泣き虫で、馬鹿。
itsuka-omoi-dasu-bts@hotmail.co.jp

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