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2010-10-04

カナザワ映画祭2010体験記:3日目

 <カナザワ映画祭2010 世界怪談大会>の3日目(9/19)。観たのは、『スクワーム』、『ポゼッション』、『リング』の3本。
 この3本を続けて観ると、『リング』が最も常識的で普通の作品であることがわかる。あれだけ世界を騒がせた「貞子」も、大群のニョロニョロと発狂したイザベル・アジャーニさんが同列に並ぶと、「ちょっと物静かな純和風女性」にしか見えないのだから驚いてしまう。「TVからの登場」も、それが常識となるまでに消費されてしまい、今では驚きも恐怖もないのだから。
 表現することに於いて重要なのは、「簡単に消費されないようにすること」なのがよーくわかった連続の3本だった。
 
 1本目は、ニョロニョロ映画の代表格『スクワーム』。
 物語は単純。電線が切れて地面に高圧電流が流れ、地中にいたニョロニョロした生き物が凶暴化し、人間を襲い、町1つを壊滅させる。
 こんなアホな物語なのに、実はちゃんと原作があって、日本でも翻訳版が売っていたんだから凄い。その小説を中学生くらいの頃に買って持っているけど、未だにちゃんと読んだことはない(今じゃ売ってないので、希少価値があるかもしれないけど、『スクワーム』だしなぁ)。だって、何か台本みたいな文章なんだもん。映画の方が遥かに面白い。同類で小説の方が面白いのは、ナメクジが襲ってくる『スラッグス』。
 『スクワーム』を観るのは20年ぶりくらい。細かい部分をかなり忘れていた。白骨死体がよそ見した瞬間にパッと消える場面があったように記憶していたけど、そんなのなかった。それに、物凄く気持ち悪いと思っていたんだけど、今観ると全く気持ち悪くなかった。やはり安っぽさの方が上回っていた。手作り感溢れるゲテモノ場面で最も好きなのは、シャワーで挽肉のようにニョロニョロが出てくる場面だ。蛇口を開いたら出てきて、閉じたら引っ込むという、物理的に変な演出だけど、その律儀さが面白い。
 でも、時代が進んでも変わらず嫌悪感を抱く場面はあった。主人公の青年が町のレストランでエッグ・クリームを注文する場面だ。グラスの中からニョロニョロが出てきて、「うわっ、ミミズが入ってる!」と青年が驚けば、店員が「おいおいおい、勘弁してくれよ。ケチ付けてタダ食いしようってか? 姑息な手を使うもんじゃねーぜ兄ちゃん」と半笑い。近くに座っていた暇そうな警官が、「おいコラてめぇ、どこのもんだ。ここらじゃ見ねぇ面だな。ああん?」と威嚇してくる。青年が都会者だと知ると、警官の態度はさらに悪くなる。この部外者を嫌う閉鎖感漂う展開が最も嫌悪感を感じた。『悪魔のいけにえ』でも同じだけど、「田舎ではマトモに話が通じない」という恐ろしさ。しかしまあ、そもそもエッグ・クリームを注文する、「あれぇ? エッグ・クリーム、ニューヨークでは常識っスよ? ああ、田舎だし、知らないのかぁ」みたいな青年の態度が気に入らないけど。せっかく作ってくれたエッグ・クリームを訝しげに匂い嗅いだりさ。
 爆音上映は、予想外に相性が良かった。ニョロニョロの威嚇する「声」の高音域が超音波のように耳に突き刺さる! 黒沢清監督の『』のようだった。キシャーッ! もちろんニョロニョロが鳴くわきゃないんだけど。何人かはその超音波ぶりに耳を塞いでいた。確かに高音域が耳にキたけど、昨年の爆音上映と異なり、楽しめる範囲に抑えられていたと思う。昨年の爆音上映では、古い映画の高音域は耳障りでしかなかったし。我慢できなくなる一歩手前に微調整してあるのだろう。上映するなら『ミミズ・バーガー』でもいいのに、と思っていたけど、それは間違っていた。爆音上映のことを考えれば、『スクワーム』で大正解だった。そこまでわかっていてのセレクションだったのかは知らないけど。
 『スクワーム』を観るといっていた我が母は、本当に観に来ており、しかしニョロニョロが人体からニョロニョロする場面や、ニョロニョロ大集合な場面は俯き加減でスクリーンを見ていたそうだ。少しだけ観たことを後悔していたが、面白かったといっていた。爆音上映の効果も褒めていた(冒頭の雷の場面で、音の大きさに驚いていた)。母の年齢は68歳。爆音で『スクワーム』を観た最高齢かもしれない……

 2本目は、キチガイ映画の代表格でもある『ポゼッション』。
 物語は単純……ではないな。仲の冷め切った夫婦がいた。夫が出張から帰って来くると、妻は不倫を楽しんでいた。激怒した夫が不倫相手のところに乗り込むと、そこにいたのはタコのお化けだった……っ!
 公開当時は大人気だったイザベル・アジャーニさん体当たりの“艶技”が話題となっていたので、子供だったのに観た私には、当然のように意味不明だった。ポスターからブライアン・デ・パルマ監督の『殺しのドレス』みたいな作品かと思っていたら、前半は冷め切った夫婦仲の話が延々と続いて困惑させられる。しかも、イライラするくらいにみんなテンションが超高い。特にアジャーニさんの体当たりというより“捨て身”の演技が凄い。
 アジャーニさんは最初、子供心にも「何コイツ、我が侭でムカつく」と思える女性だ。よくわからんが、性生活に於いて夫に不満があって不倫しているらしい。しかしその不倫相手ってのが、変なオッサンなのだ。常に暗黒舞踏をしているようなクネクネした動きをしていて、さらに同性愛者っぽい雰囲気を醸し出している。こんなのと不倫するくらいなんだから、相当に夫の性生活は駄目だったんだなぁ、と夫を不憫に思う。しかし、どうやら不倫相手はその変なオッサンじゃないらしい。中盤になっていきなりタコのお化けが登場する。超展開だ。しかもそれはアジャーニさんの想像の産物らしい。そっからの超展開は本当に凄い。最後は戦争が始まって終わる(と思えるような演出)。誰か意味を翻訳してくれ
 久しぶりに観て(これも20年ぶりくらい)、こちとら大人になったってのに、やっぱり意味不明だった。何度も窓から見える壁と兵隊の姿を映しているので、即ち街中に国境線があるということで、冷戦下のベルリンが舞台なのはわかる。夫の仕事は、何度も怪しい組織に勧誘されていることから、何らかの特殊任務を請けていたらしいこともわかる。共産主義下にある社会なんだから、宗教的な意味合いが重いのもわかる。でも、それでもね、やっぱ意味がわからんのだ。やっぱ誰か意味を翻訳してくれ。
 神が勝つか悪魔が勝つか、という意味では上映中止になった『エクソシスト』と似たような作品かもしれないけど、『エクソシスト』以上に凄い作品でもある。人によっては物凄いトラウマになるかもしれない。『エクソシスト』の代替案なら、普通なら『オーメン』を思いつきそうなのに、『ポゼッション』にしたかなざわ映画の会は凄い主演のサム・ニールさんは元ダミアンなので、それも考慮しているとしたら、何と奥深いセレクションであることか!
 ただでさえ炸裂した作品だってのに、爆音上映がその炸裂ぶりを強化していた。というか、主にアジャーニさんの炸裂ぶりを倍増していた。善と悪の象徴として二役で登場し、学校の先生役では清楚なアジャーニさんを見せ、妻の役では抑圧から解き放たれようと――まるで沸騰しているような――暴れっぷりを見せる。特に地下道での何もかもを吐き出すような場面は、そこだけでも放送禁止になりそうな迫力。あの迫力はTV画面じゃ味わえない。それだけに、できればちゃんとしたフィルム上映が良かったなぁ。画質の悪さだけが悔やまれる。

 3本目は、『リング』。
 物語は単純。呪いのビデオがあり、それを観てしまった主人公は、何とか呪いを回避できないか四苦八苦する。
 劇場だけならず、レンタルでも、TVでも何度も観た作品。だから、もうさすがに飽きた。当時は斬新で素晴らしいと思えた呪いのビデオ映像も、今では何の迫力も恐怖感もない。狙い過ぎな感が目立つ。死んだ際のショットもわざとらしくて、むしろ笑ってしまいそうになる。うーん、時代の流れに勝てなかったか。
 しかし、それでも怖い場面はある。たとえば松嶋菜々子さんが真田広之さんに写真を撮ってもらう場面。歪んだ写真の出し方が抜群。思わず「うわっ」と思ってしまう。歪み方も絶妙で、気持ち悪い映像になるよう、何度も微調整を繰り返したんだろうな、と思う。
 何でもう怖くないのかといえば、公開当時からわかっていた欠点なんだけど、説明的過ぎるから。それは特に『リング2』に顕著だった(『リング0』は逆にそれが効果的で成功していたけど)。原作が悪いってのもあるんだろうけど、わけがわからない怖さが重要なので、脚本の高橋洋さんは、ちょいと理論的に怖さを考えすぎていると思う。監督の演出力がずば抜けて物凄くない限り、理論的過ぎる脚本はむしろ穴だらけにしか見えない。『スクワーム』と『ポゼッション』の賞味期間が長い理由はそこにある。大好きな作品だけど、『リング』はもう賞味期限切れだ
 今回の映画祭だけでなく、新旧の作品で賞味期間の長い作品は全て「消費され難い」という特性を持つ。たとえば『ポゼッション』に於けるアジャーニさんだ。アジャーニさんの炸裂っぷりの後では、さすがの「貞子」も形無し。恐怖感どころか迫力すらない。ということは、『リング』の古臭さは時代の流れに関係していないということだ。高橋さんと中田監督の優れた手腕により、「貞子」はポップ・アイコンとして消費されすぎた。ギャグになる程に。しかし、同様に消費されまくっている「レザーフェイス」や「ジェイソン」は未だ健在だ(どれもシリーズが続くにつれ駄目になるけど)。「貞子」になくて「レザーフェイス」にあるものは何なんだろう?
 爆音上映の効果は殆どなし。ED曲のダサさと安っぽさも当時のままだった。あーゆー無駄なプロモーションのために『リング』の価値の下りは早かったんだよなぁ。映画会社はもうちょっと自分とこの作品の価値ってものを考えてもらいたいよ。

 映画祭3日目は、予想以上に収穫があった。爆音上映の価値なんて殆どないな、と思っていたら、『スクワーム』と『ポゼッション』が凄かった。特に『スクワーム』の耳障りさときたら最高!
 『エクソシスト』の代わりに『ポゼッション』を上映したのは、本当に慧眼の選択だと思った。素晴らしい。全く予備知識のない観客は唖然としていたけど……いや、映画体験ってのあれくらい強烈じゃないと駄目でしょ。そーゆー意味では、映画祭3日目は、見事すぎる体験を提供してくれた。
 カナザワ映画祭の価値は、予定調和の破壊にあると思う。カナザワ映画祭のセレクションこそが予定調和かもしれないけど、TV画面で味わえない驚きを与えてくれる――作品の価値を高めてくれることが映画祭の役割なんだから、たとえ単なる予定調和のセレクションだとしても問題はない。『ポゼッション』と『リング』を続けて観ることに意味が現れるなんて想像もしないじゃないか。素晴らしいことですよ。

 と満足していたら、翌日にはそれを軽く上回る満足感を爆音上映が与えてくれるのだった。
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テーマ : 映画館で観た映画
ジャンル : 映画

tag : カナザワ映画祭

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プロフィール

ばっどていすとさんどいっち

Author:ばっどていすとさんどいっち
テクノ好き。
アンダーワールドのRez大好き。
映画大好き。
ジャッキー・チェンが生涯の英雄。
生涯1位作品は『ミミズバーガー』。
2位が『溶解人間』。
泣き虫で、馬鹿。
itsuka-omoi-dasu-bts@hotmail.co.jp

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