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2010-08-23

生声の方がイイ

 ジャッキー・チェン様主演(あ、主演じゃないか)の『ベスト・キッド』を観た。面白かった。チェン様の年齢にピッタリの配役だった。師匠役としては、『ドラゴン・キングダム』も捨て難いけど、『ベスト・キッド』の方が良い。作品としては『ドラゴン・キングダム』の方が良いけど。
 たーだーし、大いに不満がある。どっこも字幕版を上映していないのだ。石川県には『ベスト・キッド』を上映している映画館が6館あるのに、みーんな吹き替え版。それどころか、全国で確認してみても、たったの1割――277館中27館――しか字幕版を上映していない。今までは吹き替え版が少数派だったのに、大きな逆転だ。

 こないだの北國新聞にこんな記事が載っていた。

字幕版、終幕の危機
 国内映画館の洋画上映で、長年親しまれてきた字幕スーパーでの上映が減り、声優らによる日本語吹き替え版が急速に普及している。3D上映の増加や活字離れなどが背景にあるようだ。

大人向けも普及
 「映画館に行ったら、吹き替え版しかやっていなかった」。そんな声を聞く機会が増えてきた。昨年末以降公開された米映画で吹き替え上映が占める割合は、公開スクリーン数などでみると、3Dが人気の『アバター』で約4割、『アリス・イン・ワンダーランド』で約6割、アニメ『トイ・ストーリー3』で9割以上。3D上映のない大人向けでも、レオナルド・ディカプリオさん主演の『インセプション』で約4割などとなっている。
 配給各社によると、吹き替えはもともと、ファミリー向けアニメが中心だった。だが字幕について「速くて読みきれない」「面倒だ」との声もあり、最近はシネコンなどで字幕版と吹き替え版の両方を上映するケースが増えていた。さらに今年からは3D上映が本格化。立体映像に目を奪われ字幕が読みづらいとの声も多く、吹き替え版が一気に増えた。
 大手配給会社の営業担当者は「『吹き替えの方が客が入るから字幕版はいらない。両方は上映できない』と言う映画館が目立ってきた。3Dの普及で字幕版はますます減るだろう」と指摘する。

日本語が支える
 「字幕の女王」と呼ばれる字幕翻訳家、戸田奈津子さんは「声は俳優の演技の大きな部分を占めるので、映画を楽しむには字幕が一番」とこだわる。欧米では外国映画の上映は吹き替えが中心で、日本の字幕上映をうらやむ映画製作者らも多い。
 「日本に字幕が定着した理由からは、日本人が見えてくる」と戸田さん。外国への強いあこがれや本物志向、高い識字率、漢字を使えば少ない文字数で済む日本語の特徴などが“字幕文化”を支えてきたのだという。
 しかし近年はドラマや漫画を映画化した、話題性の高い邦画がヒットする一方、洋画の興行収入は落ち込んでいる。活字離れで漢字を読めないなどの理由から、字幕版を避ける若者の増加を指摘する声もある。
 戸田さんも洋画離れに危機感を抱き、DVDが9月に発売される米映画『シャッターアイランド』では、劇場公開段階から日本語吹き替えを初めて監修した。伏線が張り巡らされたミステリー作品の映像に集中してもらう狙いも込めた。
 戸田さんは「見る側の選択肢が増えるのは良いことで、洋画を敬遠してきた人が見るきっかけになればうれしい」。でも『漢字が読めないから』『楽をしたいから』と吹き替えに頼る人ばかりになっては、日本国の危機ですね」と心配している。

 主張は概ね納得できるものだけど、こっそり混ぜられている古臭い「日本語の危機」論に唖然としますですよ。

 吹き替え版の普及と「日本語の危機」は何の関係もない。記事にもあるように、アメリカでは外国語映画は吹き替え上映が基本らしいけど、だからって「英語の危機」は心配されてないし。「活字離れで漢字を読めない」とか書かれているけど、ネットのお陰で活字には昔よりも慣れ親しんでいるだろ(質の良し悪しはあれど)。活字離れに危機感を抱いているのは、新聞社だけじゃないの? ニュースの大半はネットでタダで読めちゃうし、売り上げが下がって、「日本語がヤバい!」て。ヤバいのはお前らの古臭い既得権益へのしがみ付き方だっての。デジタル書物が本格的になりつつある昨今、何よりも危機的なのは、日本語教育よりも英語教育だろ。
 ネットで必要な情報が英語であることは多い。海外映画の最新情報や特ダネの大半は英語で作られている。海外音楽だって同じ。それが日本語に翻訳されることはあったりなかったりなので、どうしても知りたい場合、嫌でも英語の読解力が必要となる。
 吹き替え版が大半の上映形式となってしまうと、当然ながら元の言語で味わうことはできなくなる。それは「日本語の危機」ではない。「外国語の危機」だ。

 チェン様の作品を観ることで、「香港は中国語でなく広東語というものを使っているのか」や「あれ? 今、日本語と同じ発音の単語を喋ったぞ。同じ意味で同じ発音の単語もあるのか」とか知ることができる。それは吹き替えではわからない情報だ。
 また元の言語でなければ味わえない感動だってある。記事で戸田さんが指摘しているように、声は俳優の演技で重要な部分なので、吹き替えで台無しになる場合がある。たとえば殆どが3D上映だった『アリス・イン・ワンダーランド』に於けるジョニー・デップさんの演技は、声にとても特徴がある。笑う時のイっちゃってる感じとか、吹き替えでは再現できていない。他にも、私がとっても敬愛している作品に『イル・ポスティーノ』があり、そこでの「ボンジョルノ」という挨拶の美しさは、吹き替えでは味わえない。
 『ベスト・キッド』は、英語の作品だ。チェン様だって英語で喋っている。たぶん吹き替え版の印象では、決して上手ではない発音なんだろう。それは、さすがの石丸博也さんでも完璧に再現はできていなかった。または冒頭の飛行機の場面。隣の中国人風の客に中国語で名前を尋ねると、実はデトロイト生まれのアメリカ人(?)だった、ってギャグは吹き替えだとイマイチ面白さが伝わらない。
 しかし、吹き替えの方が圧倒的に良い、ということもある。チェン様の石丸さん吹き替えは、たぶん殆どのファンが馴染み深いので吹き替え版を推すと思う。またディズニー・アニメにも同じことがいえる。昨年の『カールじいさんの空飛ぶ家』は、吹き替えの方が素晴らしかった。
 字幕版と吹き替え版は使い分けて楽しむのがいい。が、私としては、字幕版があっての吹き替え版だと思っている。たぶんそんなのはファンを超えてマニアやオタクの意見なのかもしれない。

 洋画や洋楽から外国語を真剣に学ぼうとした人は多いと思う。吹き替え版の普及は、「日本語の危機」や「活字離れ」なんかよりも、「外国語を学ぶきっかけ」を失わせる可能性がある。戸田さんが「日本国の危機」といったのは、「日本語を読めない人が増えるから心配」だったのか、「外国語を学ぶ人が減りそうで心配」だったのかわからないけど、私は後者の意見で心配だ。ま、感動したからって外国語を真剣に学ぼうとしたことはないけど。
 それにねぇ、心配するほど吹き替え版は普及していないし。全国公開されるシネコン作品だけじゃん。それ以外の小規模公開作品は殆どが字幕版だ。マスコミはホント、大袈裟に騒ごうとするよ。

 吹き替え版がもっと普及するなら期待できそうなのが、挿入歌の歌詞の字幕化。『ローラーガールズ・ダイアリー』を観て、きっちり場面に合わせて選曲していて素晴らしいな、と思ったんだけど、それ、曲や歌詞を知らないと伝わらないんだよね。そーゆー時こそ、台詞は吹き替え、歌詞は字幕、という方法が可能だと思う。『シャッター・アイランド』にしても同じだったけど、挿入歌の歌詞を字幕にしないことが多くてガッカリすることが多いので。
 活字離れとか日本語の危機を唱える前に、するべきことがあるだろうに。
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テーマ : 映画関連ネタ
ジャンル : 映画

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プロフィール

ばっどていすとさんどいっち

Author:ばっどていすとさんどいっち
テクノ好き。
アンダーワールドのRez大好き。
映画大好き。
ジャッキー・チェンが生涯の英雄。
生涯1位作品は『ミミズバーガー』。
2位が『溶解人間』。
泣き虫で、馬鹿。
itsuka-omoi-dasu-bts@hotmail.co.jp

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