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2010-05-21

口蹄疫を報道するマスコミと『ゾンビ』に出てくるマスコミ

 『ゾンビ』を観た。今度、「新世紀完全版」と銘打ったの5枚組のDVD-BOXが発売されるに当たって「HDリマスター/ディレクターズ・カット版」がレイトショー1週間上映されていたので、喜び勇んで観てきた。
 素晴らしい。「ゾンビもの」は無数にあれど、やはり『ゾンビ』が最も面白い。画面の興奮だけならグログロな『サンゲリア』や激走する『ドーン・オブ・ザ・デッド』の方が上だけど、映画の興奮は今でも『ゾンビ』の方が遥かに上だ。『ランド・オブ・ザ・デッド』も叙情的で素晴らしいけど、今でも「変な映画」っぷりが色褪せぬ『ゾンビ』の素晴らしさは、作ったジョージ・A・ロメロ監督でも二度と再現できないだろう。
 『ゾンビ』は、「ダラダラしてる」、「怖くない」、「物語に起伏がない」とよく批判されるけど、その批判点はそのまま『ゾンビ』の魅力でもある。ダラダラしてて怖くなくて物語に起伏のないところが『ゾンビ』の良さ。つまり、とんでもなく「変な映画」なんだよね。観る側が歳を重ねて人間的に変化しても、『ゾンビ』の方は動じることのない「変な映画」っぷりで、安心してしまう。久しぶりに会ったけど、おまえ変わってねーなー。

 『ゾンビ』には、絶望的な観点の博士が登場する。TVの緊急報道番組で、人間的に絶望的な極論を広げる。当然、騒然となる。単純でわかり易い批判精神ではあるけど、ロメロ監督のシニカルさがよく表れていて面白い。その場面から彷彿としたことがある。宮崎県で大問題になっている口蹄疫を巡るマスコミの報道だ。
 報道する側の怠慢があるのに、まるで東国原知事が大失態を犯したような報道がある。そこらのニュースサイトで確認できる、「ぶちキレた東国原知事」の件だ。正直、東国原知事がどの程度頑張っているのか知らないけど、とりあえず「検討している」ことはわかるし、何を検討しているのかもわかるのに、記者がしつこく食い下がって東国原知事を怒らせた。もちろん、怒ったことは失態だと思う。呆れて「はい、会見はここまでです」と終わらせても良かったのに、我慢できなかったのか、「ぶちキレた」発言をした。
 「ぶちキレた東国原知事」は何をいったか。マスコミで話題になっている要所だけかい摘むと、「我々は一生懸命、毎日、寝ずにやってるんですよ。けんか売っているのはそっちじゃないですか!」だ。寝ずに必死に頑張っている時に、下らない質問でしつこく食い下がられれば、そりゃキレますわな。2、3回の「検討します」という返答があれば、マトモな頭の持ち主なら、「ああ、これ以上は答えを引き出せないな」と思うんだけど、どうやらマトモな頭でない記者ばかりだったのか、しつこく食い下がった。たぶんあの会見を見た殆どの人は東国原知事に同情的になるだろう。しかし、マスコミはそうでもないようだ。
 たとえば『Newsweek』のブログにこんな記事があった。

Newsewwk→東国原ブチ切れと米原油流出

 上記リンクから抜粋。

 東国原知事は「寝ずに」とか「一生懸命」という言葉がイタい。心情は分かるが、具体性がないうえ、寝る間もないほど働いているかどうかは問題の本質と関係がない。最もトホホなのは「けんか売ってるのは・・・」発言で、全体として単なる感情論(つまりブチ切れ)以外の何物でもない。
 それに、重要な時期に寝ていないことを持ち出すと、メディアの餌食になるだけだ。2000年7月、雪印の集団食中毒事件で会見した当時の石川哲郎社長がエレベーターに乗り込む際、詰め寄る記者団に「私は寝てないんだよ」と言い放ち、その2日後辞任に追い込まれている。この1件はコミュニケーションの失敗例として危機管理コンサルタントが必ず取り上げるようになった。
 知事のブチ切れ会見もメディアの格好の餌食になり、テレビで大きく報じられた。ただ彼の場合、この手の言動に違和感がないので傷は浅い。むしろ功績があるとすれば、口蹄疫問題に国民の関心を一気に引き付けたことかもしれない。

 記事内容は、原油流出問題に対するオバマ政権の対応を批判されたサラザール内務長官の発言と東国原知事の発言を対比させている。対比部分は、東国原知事の「一生懸命、毎日、寝ずにやってる」という発言と、サラザール内務長官の「下着の替えも歯ブラシも持たずに。我々はそれだけ切迫感を持っている」という発言。そしてさらに、2000年に雪印の集団食中毒事件で社長が「私は寝てないんだよ」と発言して辞任に追い込まれたことを東国原知事の発言と同列に並べている。その上で「この1件はコミュニケーションの失敗例として危機管理コンサルタントが必ず取り上げるようになった」と、東国原知事の発言がいかに失敗しているか批判している。
 さて、これは印象操作ではないだろうか? 確かに東国原知事の発言は、もうちょっと冷静になりなさいよ、と思わなくもない。しかし、だからといって雪印の社長の発言と同列に語るのは間違っているだろう。雪印の食中毒事件は「事件」であって、宮崎県の口蹄疫は「事故」だ。責任の取り方が全く違う。それに雪印の社長は、会社の経営者であり、運営方針を決める責任者であるから、「私は寝てないんだよ」という発言が「いや、お前がいうなよ! 不眠不休の対応くらい当然だろ馬鹿!!」と反感を買うのも当然だ。東国原知事の立場も同じか? 似ているようで全く違うだろ。
 問題の会見を見た普通の感覚の持ち主が思うことは、「常識のないマスコミがいるなぁ」であり、「これは……本当に切羽詰っている大変な事態なんだな」だろう。ブログ記事でも最後に「メディアの格好の餌食になり、テレビで大きく報じられた。功績があるとすれば、口蹄疫問題に国民の関心を一気に引き付けたことかもしれない」としているが、問題は、何が「メディアの格好の餌食」になったかだ。

 「メディアの格好の餌食」という表現からわかることは、マスコミが東国原知事の発言を「美味しいコメント頂きました。これで叩いてやれ~」という期待を抱いたということで、いかにマスコミの性根が腐っているか、ということでしかない。
 マスコミに課せられた重要な職務は、冷静な情報を報道することなのに、何だこの「メディアの格好の餌食」って。このブログ記事を作った山際博士さんがそう思って東国原知事を批判しているわけじゃないけど、マスコミ批判しているわけでもない。本当なら、「メディアの格好の餌食」なんて表現を使っている以上、「マスコミは、緊急事態だと喧伝しているくせに、緊急性を理解していない」とマスコミ批判をすべきなのに、明確にではないけど、やんわりと東国原知事を批判している。サラザール内務長官の発言や危機管理コンサルタントの例を使って、『Newsweek』らしさを演出して。しかし、雪印の社長辞任の例を持ち出した時点で考え方が根本的に間違っているのは明確だ。
 サラザール内務長官のように練った冷静な表現は、たぶん日本人には通じない。「何を冷静に気の利いた発言してんだよ。それどころじゃねーだろ!」と、むしろ批判されるんじゃないか。山際博士さんは危機管理コンサルタントの例まで出しているけど、多くの日本人は東国原知事の「ぶちキレ発言」の方に好感を抱くと思う。山際博士さんは、東国原知事の発言を「イタい」と評しているが、本当にそうだろうか? 私は嫌いだけど、世間一般が好む「空気を読め」という表現があり、それに則って考えるなら、「ぶちキレた東国原知事」の発言は、とっても「空気」に則った発言だ。山際博士さんがいう通り、東国原知事の発言は感情的で抽象的で具体的でないけど、往々にして大多数の人々はそーゆー発言を好むものだ。たとえば選挙時に語られる政治家の理念を思い出せばいい。殆どが感情的で抽象的で具体的でない。しかし、不思議なことに、そっちの方がきっちり数字で示せる具体的な政策よりも支持され易い。これは日本だけでなく、アメリカだって同じ。批判するのはいわゆるインテリ層くらいのものだろう。でなければ民主党が与党になれるわけがない。

 『ゾンビ』で描かれるマスコミは、「冷静に! 冷静に!」といっている当人たちが最も混乱している。口蹄疫に関する報道も、報道する側が混乱しているようにしか思えない。『ペット・セメタリー』のように、殺処分した牛や豚が「あの世が一杯」だからって凶悪化したゾンビとして戻ってきたらどうするんだろ? マスコミは大混乱で、嘘と真実がない交ぜになった情報を流し、世間をさらなる混乱に落とし込むと思う。
 口蹄疫で困っている国民は、たぶん報道する側よりも冷静で、情報をちゃんとわかっているだろう。検討中といわれれば、どうにもならないことくらいわかっているだろう。それを全くわかっていないのは、「知る権利」とやらを振りかざすマスコミだけじゃないのか? 『ゾンビ』はマスコミを戯画化して描いているけど、思ったよりも戯画化されてなかったりして。
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ばっどていすとさんどいっち

Author:ばっどていすとさんどいっち
テクノ好き。
アンダーワールドのRez大好き。
映画大好き。
ジャッキー・チェンが生涯の英雄。
生涯1位作品は『ミミズバーガー』。
2位が『溶解人間』。
泣き虫で、馬鹿。
itsuka-omoi-dasu-bts@hotmail.co.jp

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