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2010-05-14

『ウルフマン』は、デル・トロさんのコスプレ映画

 ベニチオ・デル・トロさん主演の『ウルフマン』を観た。
 最近は原題をそのまま邦題として使うけれど、昔のままに『狼男』じゃ駄目なのかね。『ウルフマン』とわざわざ表記されてたので、実はマイケル・J・フォックスさんの『ティーン・ウルフ』みたいなノリの、意図せず狼男になったけどその驚異的な身体能力を使って難事件を解決する「ヒーローもの」なのではないか、と期待した(予備知識ゼロで観たので)。『ヘルボーイ』のヘルボーイをトム・ウェイツさんが演じているというか(私は最初、ロン・パールマンさんでなく、ウェイツさんが演じていると思い込んでいた)、狼男みたいな顔したデル・トロさんが狼男をする適材適所すぎる配役に、パロディ要素が強いものとばかり思い込んでいたので。そしたらそのまま普通に狼男だったので拍子抜け。
 が、その程度の予備知識で観たからか、意外やちゃんとしたモンスター映画になっていて驚いた。さすがはジョー・ジョンストン監督作。

 物語は、原作である『狼男』を一応は踏襲している。兄が殺され、真相を探っているうちに狼男菌に感染して狼男になってしまい、したくもない殺戮をしちゃって、悩むんだけど、殺されて終わり。そんだけ。
 さすがにそのままだとリメイクする意味ないから、新しい味付けとして、全力でモンスター映画にしている。一言でいえば、「四足歩行の毛むくじゃらな超人ハルク」だ。さらにいってしまえば、狼男が人々をバッサバッサと刻み殺す様を楽しむ映画なので、「ジェイソンが思い悩む『13日の金曜日』」だ。そーゆーもんだと割り切って観れば、そこそこ楽しい映画ではある(「面白い映画」ではない)。つまり、物語は面白くない。
 主人公は、意図せぬ殺戮をしてしまっているのに、良心の呵責なんて殆ど描かれないし、エミリー・ブラントさん演じる兄嫁との恋愛要素がチラホラ見えるのに、そっち方向にアクセルを踏み込まず、超不完全燃焼に終わる。ブラントさん必要ないし。アンソニー・ホプキンスさんが父親役してんのに、その配役も無駄に豪華なだけで存在感なし。というか、登場人物の存在価値が全く見えん。
 兄嫁は、旦那(婚約者)を亡くしてるってのに、大して落ち込んでない上に旦那の弟(デル・トロさん)にドキドキしちゃってる。だから兄嫁に対して同情することも、悲恋な結末に何の感傷も抱けない。父親は、自分が諸悪の根源だってのに、全く気に病んでいない。実は暴れるの大好きなブチキレ親父。絶対悪といえるくらいの存在感があれば良かったのに、プロレスの悪役って程度の存在感。つか、レクター博士ホプキンスさんじゃ、最初っから怪しさ満点で面白味全くないし。ホプキンスさんでなく、ドナルド・サザーランドさんなら良かったな。そもそも最初っから表情に陰りのあるデル・トロさんが主人公だと、不幸のどん底にまっ逆さまな展開に意外性も何もないから、感情移入もできない。
 流浪民の存在も希薄だし、狼男伝説の煽り方も狼男である必然性も弱いし、物語がサスペンスとしてもミステリーとしても底が浅く、映画開始早々に飽きてしまうだけに、もうちょっと見所のある役者対決があればなぁ。

 しかし、完全に駄作ってわけじゃない。映像は素晴らしい。光陰を明確にした映像は、古典的な怪奇映画の雰囲気抜群で良い。最近の『シャッター・アイランド』みたいな極めて酷い映像の映画に比べれば、比較にならないくらい『ウルフマン』の映像は素晴らしい。プロダクションデザインのリック・ハインリクスさんは、ティム・バートン監督の『スリーピー・ホロウ』も担当しているし、雰囲気は『スリーピー・ホロウ』と似ている。あの冷たい雰囲気が好きなら間違いなく『ウルフマン』も好きになるだろう。
 古典的な怪奇映画だと思っていたら驚いてしまうくらい、ゴアなのも素晴らしい。狼男になってからは、人体バラバラ映像の大サービス。ポンポンと気前良く身体の色んなパーツがすっ飛ぶ。特殊メイクを大御所リック・ベイカーさんが担当しているから、狼男変身場面も見応えあり。しつこいくらいに、くどいくらいに、ここが一番の見所ですといわんばかりに、骨格からゴキボキと大袈裟な音を立てて徐々に変化する様をじっくり見せてくれる。誰もがジョン・ランディス監督の『狼男アメリカン』や同監督によるマイケル・ジャクソンさんのPV「スリラー」、ジョー・ダンテ監督の『ハウリング』(特殊メイクはロブ・ボッティンさん)を思い出さずにはいられない。そのアナログ感に「懐かしい!」と感動してしまう。
 が、そんな楽しい時間は最後まで持続しない。ロンドンでの狼男の大活躍は、あまりにもCG全開すぎて興醒めしてしまう。正直、四足走行はカッコイ良いとは思えなかった。橋の下に血まみれで逃げ隠れている場面は良かったけど。何よりも駄目なのが、ハイライトである筈の狼男対決場面。室内で毛むくじゃらのオッサンがドッタンバッタンと格闘しているだけなんだもん。退屈極まりない。せっかくの狼男なんから、屋外で、森の中で、木をなぎ倒しながら、雄叫びながら、大きな満月を背景に『ブレイド』並みにキメた映像で魅せてほしかった。「モンスターもの」や「ヒーローもの」の鬼門だねぇ、対決場面ってのは。

 ま、面白くないとはいえ、ジャック・ニコルソンさんの『ウルフ』よりは何十倍も良い出来なので、細かいことを気にしなければ十分に楽しめると思う。音楽も、一聴してすぐにわかるダニー・エルフマンさん節全開で良かったし。
 それに、こないだTVで偶然『怪物くん』の実写版を目にして、そこに映ってた狼男の酷さに比べれば何千倍も良いので、あんな糞ドラマを見て怒りのために狼男になりそうなくらい興奮してしまったら、是非とも『ウルフマン』を観るべき。眼福でがんす。
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テーマ : 映画館で観た映画
ジャンル : 映画

tag : ウルフマン

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プロフィール

ばっどていすとさんどいっち

Author:ばっどていすとさんどいっち
テクノ好き。
アンダーワールドのRez大好き。
映画大好き。
ジャッキー・チェンが生涯の英雄。
生涯1位作品は『ミミズバーガー』。
2位が『溶解人間』。
泣き虫で、馬鹿。
itsuka-omoi-dasu-bts@hotmail.co.jp

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