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2010-03-05

おちんとありがとうございます

 夕方、仕事の帰り道、兼六園下を歩いていたら、背後から女性に呼び止められた。振り返ると、観光客と思しき老齢のカップル(たぶん夫婦)が立っている。観光場所である兼六園付近ではよくあることなので、道案内を尋ねてきたんだな、と理解した。

「あのぉ、おちんはどこですかね?」

 は?
 女性(たぶん妻)は、恥ずかしそうに、申し訳なさそうに、そういった。
 ええーと、ちょっと待って下さいよ……「おちん」って何だ? 何かの聞き間違いかと思って、思わず思ったまま「は?」と声に出していた。

「ええっとですねぇ、おちんの場所を知りたいのですが?」

 女性はやはり「おちん」といっていた。聞き間違いではない。うーん。「おちん」? その時、近くを知事選の選挙カーが挨拶と嘆願を喚きながら通っていた。

「おちん、ですか?」
「はい。おちん、です」
「よろしくお願いします! よろしくお願いします!」

 道を尋ねる人の当然として、選挙カーが喚いていることもあり、女性の声は結構大きい。明瞭な発音で、「おちん」が繰り返される。夕方、薄暗さと涼しさが増す中、兼六園下の大通りに面した歩道は、学校帰りの学生や仕事帰りの勤め人が行き交い、その間を「おちん」という単語と選挙カーからの「よろしくお願いします」が風に乗ってあちこちに拡散していく。
 ちょっと考えて、やはり聞き間違いではないかと思い、再度繰り返した。

「おちん、ですか?」
「○○です! よろしくお願いします!」
「はい。おちん、です。ご存知ないでしょうか?」
「是非とも! 是非とも!」

 選挙カーがうるさく、必然的に女性も私も声が大きくなる。大きな声で老齢の女性と交わす「おちん」には不思議な響きがある。というか、恥ずかしいんだけど。「おちん」ってさ、やっぱ、どうしても、ねぇ?
 そこで痺れを切らしたのか、後ろに控えていた男性(たぶん夫)が出てきて、「漢字で、漢字」といった。女性は、合点がいったのか、頷き返し、「漢字で、『おんてい』と書くんですけど」

 「おんてい」って……「音程」? 「音程」で「おちん」? ますますわからん。ここで賢明な金沢人ならばすぐに「おちん」が何のことだかわかったのだろうけど、賢明でない金沢人の私はギブアップし、「すみません。わかんないですね」と謝った。
 2人は明らかに落胆した様子だったが、手間を取ったことを謝ってくれ、その場をゆっくりと去って行った。ウロキョロしていたので、また別の人に「おちん」を尋ねようとしているのだろう。
 選挙カーも、「ありがとうございます! ありがとうございます! 頑張らせていただきます!」と誰にともなく喚き散らしながら離れて行った。

 金沢市に生まれて育ちながらも金沢市の観光案内ができないことを申し訳なく思いつつ、兼六園横の坂道を上っていると、「おちん」が見えた。なるほど、「おんてい」で「おちん」だ。
 「おちん」とは、兼六園の坂の上にある、兼見御亭(けんけんおちん)という料理屋のことを指していたのだ。常に多数の観光バスが止まっており、金沢市では有名な店で、私もちゃんと知っていた。入ったことはなく、どんな字で書くのかも知らなかったので、「けんけんおちん」として覚えており、女性がいった「おんてい」が「御亭」を指しているとは思いもしなかった。
 つーかさ、何で「おちん」で訊くだよ! 「けんけん」をセットにしなさいよ! あ、でも、単語の順序を間違えて、「おちんをけんけんな店知りませんか?」とか尋ねられたら、響きだけならSMクラブとしか思えないね。
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プロフィール

Author:ばっどていすとさんどいっち
テクノ好き。
アンダーワールドのRez大好き。
映画大好き。
ジャッキー・チェンが生涯の英雄。
生涯1位作品は『ミミズバーガー』。
2位が『溶解人間』。
泣き虫で、馬鹿。
itsuka-omoi-dasu-bts@hotmail.co.jp

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