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2010-02-10

映画らしい仕掛け

 先週末の夜、友人宅のTVには「スマステ」が映っていた。「月イチゴロー」で稲垣吾郎さんがクリント・イーストウッド監督の最新作『インビクタス/負けざる者たち』について話していた。そこまでTVに注意を払ってなかった私は、「イーストウッド」という単語がTVから聞こえるや、友人に「静かに! 静かに!!」と叫び、TVを注視した。
 ……今度こそ、イーストウッドが1位に決まってるよな……
 『グラントリノ』の時は『スラムドッグ$ミリオネア』に負けて2位だった。『グラントリノ』が『スラムドッグ$ミリオネア』に負けるなんて、信じられん! と私は憤った。『チェンジリング』の時は、『ベンジャミン・バトン数奇な人生』を抑えて1位だったけど。さて……『インビクタス/負けざる者たち』はどうだ?

 イーストウッド監督は、奇をてらうような演出をしない。常に直球ど真ん中勝負のみ。変化球は使わない。だから、人によっては地味だと感じるかもしれない。実際、稲垣さんの『インビクタス/負けざる者たち』評は、「実話ゆえに映画らしい仕掛けがなく、ドキュメンタリーのようだ」だった。高評価ではあったけど、『ニューヨーク、アイラブユー』に負けて2位だった。
 ウディ・アレン監督が入ってないニューヨーク映画なのに……
 マーティン・スコセッシ監督やジェームズ・グレイ監督の緊張に満ちたニューヨーク映画じゃないのに……
 ジェイソンが襲いに来ないニューヨーク映画なのに……
 ニューヨーク公爵が大活躍しないニューヨーク映画だってのに!
 それが1位って間違ってる! ああもう! 肝心なところで稲垣さんは!
 いや、まあ、好みは人それぞれなので、別にいいんですけどね。ただ、稲垣さんのいう「映画らしい仕掛け」は、重要なのだろうか?

 『インビクタス/負けざる者たち』を実際に観てみると、確かに「実話ゆえに映画らしい仕掛け」のない地味な映画だった。でも、イーストウッド監督は、「実話ゆえに映画らしい仕掛け」をしないのでなく、元々「映画らしい仕掛け」をしない監督だ。
 そもそも「映画らしい仕掛け」って何だ? ミヒャエル・ハネケ監督の『ファニー・ゲーム』のようなものか? または、クエンティン・タランティーノ監督が得意とするような演出のことか? そのようなものだとするなら、「映画らしい仕掛け」のお陰で大いに楽しませてもらえることは間違いない。が、作品の方向性にもよるでしょ。稲垣さんの考える「映画らしい仕掛け」を『インビクタス/負けざる者たち』に施されてたら台無しだよ。

 『インビクタス/負けざる者たち』は、「映画らしい仕掛け」を施さないゆえに、とっても「映画らしい」と思えた。しかしイーストウッド監督は、常に巧みな「映画らしい仕掛け」を施している。いくらでも政治的メッセージを読み取ることが可能な題材なのに、政治臭さを可能な限り消している。というか、イーストウッド監督の作品は、観る人によると主題自体読み取れないくらいに常に「臭い」を消している。ドラマに対する視点が、透明なのだ。撮影、編集、BGM、演出、何もかもがドラマに対する透明性を際立たせている。それは、わかり易い「映画らしい仕掛け」よりも、もっともっと「映画らしい仕掛け」なんじゃないだろうか。
 稲垣さんがいう「映画らしい仕掛け」は、タランティーノ監督みたいな演出のことを指しているのだろうけど、『インビクタス/負けざる者たち』は、それとは異なる「映画らしい仕掛け」で溢れている。だって、稲垣さん自身がそれを証明しているもの。『インビクタス/負けざる者たち』が「ドキュメンタリーのようだ」と思えるなら、それこそがいかに「映画らしい仕掛け」に満ちているかって証拠になる。
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テーマ : 映画関連ネタ
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ばっどていすとさんどいっち

Author:ばっどていすとさんどいっち
テクノ好き。
アンダーワールドのRez大好き。
映画大好き。
ジャッキー・チェンが生涯の英雄。
生涯1位作品は『ミミズバーガー』。
2位が『溶解人間』。
泣き虫で、馬鹿。
itsuka-omoi-dasu-bts@hotmail.co.jp

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