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2010-02-07

『劇場版マクロスF/虚空歌姫 イツワリノウタヒメ』は、日本アニメの退化形の進化形

 『劇場版マクロスF/虚空歌姫 イツワリノウタヒメ』を観た。
 観客は座席の1/3以上を埋めるくらい入っていた。ユナイテッドシネマの最も大きなスクリーンを使っていたので、百人以上いたことになる。平日の昼頃に観たんだけど、オタク向けアニメで、地方スケジュールのために遅れて公開されている条件からすれば、かなり盛況といえる。石川県での上映はユナイテッドシネマだけなので、ファンが集中しているんだろう。パッと見、男女半々くらいで、年齢層は下が20代で上が40代ってとこ(1組だけ60代近くの夫婦がいたけど)。失礼ながら、見た目の雰囲気から、大半はアニメオタクと思われた。
 作品の内容は、良くも悪くもなく、観る前から観た後まで何の感動もなく、「ふぅ~ん」て冷めた感じで観た。とっても日本のアニメオタク向けアニメらしいアニメだった。個人的に「マクロス」には、特に格別の思い入れはなく、『マクロスプラス』での菅野よう子さんの音楽に強烈に打ちのめされた経験から、菅野さんの音楽に興味がある程度。

 『マクロスプラス』が登場した時は驚かされた。作品内容はどうでもいいくらいにどうでもいいんだけど、音楽が凄かった。
 『マクロスプラス』が登場したのは1994年。その前後に、押井守監督の『機動警察パトレイバー2 the Movie』と『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』、大友克洋監督の『MEMORIES』(『AKIRA』以降の大友監督関連作品なので、内容的には全く大したことないけど)も登場し、そのすぐ後に庵野秀明監督の『新世紀エヴァンゲリオン』が登場するのだから、年寄り臭い発言になるけど、1990年以降の日本アニメの歴史では、1994年前後が最も物凄かったと断言できる(その日本アニメの高揚感は、宮崎駿監督の『もののけ姫』、幾原邦彦監督の『少女革命ウテナ』の1997年で終わった、というのが私の持論)。
 あの頃、本気で「日本アニメは世界最強」と思っていた。今の日本アニメは、あの頃の残滓でしかない(宮崎監督は相変わらず素晴らしい傑作を作り続けているし、他にも何本も良い作品は登場しているけど)。そのテンションに引っ張られるように、アニメ音楽も物凄いものばかりで、上に挙げた作品は皆、音楽も素晴らしかった(菅野さんは『MEMORIES』の「彼女の想いで」の音楽も担当しており、膨れ上がった期待を軽く受け止める素晴らしい仕事をしている。石野卓球さんが菅野さんの曲をリミックスしており、それも素晴らしい出来で、“時代感”はあるけど、今でも使える)。
 同時期、日本でテクノが花開き、あちこちでレイヴが開催され、ディスコで踊るのと全く異なる「フリーク・アウト」の新しい形が生まれた(「チル・アウト」なんて正にそう)。そんなレイヴで、少なからず当時の日本アニメの音楽を聴くことができた。<レインボー2000>では『新世紀エヴァンゲリオン』の主題歌が使われ(アスカの台詞をサンプリングしたマイク・ヴァン・ダイクさんの曲が話題になっていたなぁ)、チル用に『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』の主題曲が使われていた。後に登場する、石野さんが主催する<WIRE>では『カウボーイ・ビバップ』の主題曲が横浜アリーナに響き渡り、大歓声が上がった。

 あの頃の高揚感を今一度――中年になったアニメオタクでそう願う人は多いだろう。「エヴァ」や「マクロス」は、その最適な作品だし、「ガンダム」や「ヤマト」も似たようなものだ。だからそれら作品が「週刊~」などと特集刊行されるのだろう。もちろん、新しいファンは常に若者主体だけど、作品内容は、様式が新しくなっただけで、物語構造は古臭いまま。「エヴァ」にしたって、目新しかったのは様式だけで、物語そのものはシェークスピア的に古臭さかった。若者が「今」に反抗すりゃ大抵は何とかなるものなのだよ、物語とは。「今」を肯定するために「今」に反抗するのが人の常なんだから。
 売れたモチーフを繰り返す面白くなさ。今の日本アニメにはそーゆーのが多い。「マクロス」なんて正にそう。「戦争とアイドル」という組み合わせは最初は面白かったけど、もうどうでもいい。実は私は、「マクロス」を観るのは『マクロスプラス』以来久々だ。だから、今の「マクロス」がどうなっているのか期待感があったんだけど、「なーんだ、何も進化しちゃいないんだ」が正直な感想だった。

 『マクロスプラス』以降を全く観てないのに、いきなり劇場版最新作を観たもんだから、キャラクターの関係が最初はわからず、しかしあっという間にいとも簡単に理解できた。つまり、作品が物凄く古典的で様式的で「いつも通りの安心設計」だったってことだ。美男美女がいて、恋と戦いに悩む。そんだけ。「マクロス」はそこに「アイドル」をぶち込んで煮込むわけだけど、劇場版を観る限りでは、別に「アイドル」の存在どうでもよくない? 白々しい物語の中で、客受けだけを狙った白々しい設定のキャラクターたちが叫びまくって大活躍。物語は物凄くどうでもいい出来。面白くもつまらなくもない。ただ時間を埋めるだけ。
 ま、最初から「マクロス」に物語の面白さなんざ求めてない。求めているのは戦闘場面と音楽だけ。なんだけど、これまた大したことなかった。戦闘場面は、さすがに『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』みたいな酷いことになってなかったけど、CGの処理落ちが酷かった。予算がなかったのか? 日本アニメらしい構図がカッコイイ筈なのに、何かもう「未だにこれなんだ」としか思えなかった。
 期待した音楽も、劇場版だったからか、良い曲が殆どなく、さすがの菅野さんでもネタ切れなのかと思ってしまった。物語が白々しいと、音楽を作る側だって想像力を働かせられないから困るんだろうな。『マクロスプラス』と『劇場版マクロスF/虚空歌姫 イツワリノウタヒメ』では、同じ「アイドル」でも凄い違いがあって、歌も「狙った通り」に作られていて、客がそれを受入れるか受入れないか不安でしかたないような凄さがない。巧い、とだけしか思えなかった。
 TV版を見たら感想が異なるかもしれないけど、劇場版だけで判断するなら、総じて大したことなし。

 『劇場版マクロスF/虚空歌姫 イツワリノウタヒメ』は、構図のカッコ良さを追求した、日本アニメらしい日本アニメだ。でもそれは単なる様式美となり、マンネリと化している。まあ、昔を知らないでいきなり“ここ”から入るなら全く気にならないのかもしれないどころか、「戦争とアイドルって新しい!」とか思うのかもしれないけど、物語そのものがマンネリを内包した作りになっていて、緊張感が全くない。「マクロス」だから戦争してなくちゃ、という程度の発想で作られている。もしかしたら日本のSF(かファンタジー)アニメは、そこが限界になっているのかもしれない。
 戦争のない日本で作られるSFアニメには、なぜか殆ど戦争がつきまとっている。遠くの記憶になりつつあるとはいえ、まるで戦争自体がファンタジーであるかのようだ。ファンタジーだから、戦争を希望する。そんな作品が多い。『劇場版マクロスF/虚空歌姫 イツワリノウタヒメ』も同じ。「マクロス」は、戦争がなきゃ成り立たないから戦争をする。戦争がないと“自分”の存在感がなくなるから、戦争を利用する。
 それは、黒沢清監督が『トウキョウソナタ』でちゃんと乗り越えた部分だ。バブル崩壊して、景気が悪化して、景気を回復しようとして、しかし、“どこ”の段階に回復させるのか誰も考えていない日常と、それに連なる未来。『トウキョウソナタ』にはそれがちゃんと描かれていた。
 何となくダラダラと戦争を期待しちゃうアニメ、そんな不気味なものが綺麗にパッケージされて売りに出されている。何かを起こさなきゃ何も始まらない、そんな発想でしか現代的な物語が作れない。もう時代遅れなんじゃないのかな、そんなのは。「マクロス」らしさとは対極にあるそんな発想の日本アニメを、宮崎監督以外で、そろそろ意識的に作ってほしい、と中年になった今の私は思う。それができないなら、もう作るのを止めるべきだ。行け行けどんどんでここまで来た日本アニメだけど、そろそろブレーキをかけてスピードを緩めたらどうだろう?
 
 ところで、鑑賞中にとっても不愉快なことがあった。
 私の十列以上前に座っている客が、終盤近くからやたらと携帯電話を操作しててイライラした。携帯の画面の明かりがチカチカと点滅していたので、操作しては消し、操作しては消しを繰り返していたようだ。その馬鹿のすぐ後ろにも客は座っているのに、その客はなぜか注意しない。馬鹿にはどうやら連れがいるんだけど、真横に座っているその連れもなぜか注意していないようだった。
 余りにイラついたので文句いいに行こうかと思ったんだけど、映画がもうすぐ終わりそうだったし、十列以上前の座席だったこともあり、我慢した。が、馬鹿がどんな奴なのか顔を見てやろうと場内が明るくなってから近付いたら、いかにもオタクって風貌だった。「やっぱ歌いいよなぁ」とかオタク臭いことを連れと早口で喋ってやがる。
 昨年のカナザワ映画祭で、私のすぐ斜め前に50代くらいの夫婦が座っており、その妻が上映中に何度も携帯を操作していたから、夫が注意するのを辛抱強く待っていたんだけど、気付いている筈なのに、夫はなぜかずーっと注意しないので、妻の座っている座席後部を力一杯蹴ったことがある。そしたら夫婦共に私のことを睨みやがるから、もう1回蹴って、「携帯使いたいんなら出てけ」と小声でいったら、その後はさすがに携帯を使わなかった。
 上映中に携帯電話を使う馬鹿にもムカつくけど、黙って注意もしない連れにはもっとムカつく。そろって馬鹿ならしかたないけどさぁ。それ以上に、今回のいかにもオタクな馬鹿は、信じ難いとしかいえない。だって、オタクのくせに鑑賞に集中しないなんて、おかしいよ。見た目がオタクなのに、中身が中途半端って、最悪だよ。見た目がオタクなら、中身もちゃんとオタクしてろ! オタクのくせに作品に対するマナーが悪いなんて、生きてる価値ねーっつーの! 死ね!
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テーマ : 映画館で観た映画
ジャンル : 映画

tag : 劇場版マクロスF

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プロフィール

ばっどていすとさんどいっち

Author:ばっどていすとさんどいっち
テクノ好き。
アンダーワールドのRez大好き。
映画大好き。
ジャッキー・チェンが生涯の英雄。
生涯1位作品は『ミミズバーガー』。
2位が『溶解人間』。
泣き虫で、馬鹿。
itsuka-omoi-dasu-bts@hotmail.co.jp

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