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2009-12-30

『のだめカンタービレ 最終楽章 前編』は、ボロボロのボレロ

 『のだめカンタービレ 最終楽章 前編』を観た。予告編で観た限りだと、絶対に面白くない駄作に決まっていると確信していた。演技はアホだし、演出は馬鹿だし、そもそも実写で作る理由が皆無だ。でも、まあ、予告編だけで貶すのも何だから、とりあえずは観てみたら、意外に楽しめてしまった。あれ?

 良かったのは、予想外に画作りがマトモだった点。TVドラマの延長線上にあるだけの、大きな画面にしただけのTVドラマにはなっていなかった。正直、驚いた。無駄な漫画的クローズアップとか殆どなかった。アニメ的な広角の画面も。
 TVドラマを一見した時に感じた漫画的な過剰演出による違和感も意外と気にならなかった。アニメの挿入は物凄く余計だったけど。CGの使い方も巧くはなかっけど、1ヶ所だけ、千秋と共演できるからと喜ぶのだめがビラをまく時の「ビラの動き」はとっても良かった(ビラがぶわっと広がる瞬間の動きが)。
 文句なしに良かったのは、演奏場面。玉木宏さん演じる千秋の指揮者はカッコ良かった(「指揮者は、リズムに合わせて棒をただ振り回している人」としか認識していないような人にも指揮者が何をしているかよーくわかる)。見事に指揮者となっていたのじゃないだろうか、玉木さんは。動きを研究したのだろうなぁ。

 しかしもちろん、「意外と良かった」だけで、「良かった」わけでなく、実際は普通に酷い
 画面に奥行き感が全くなく、のっぺりとしており、結局はTV的だった。
 余計なウケ狙いの演出は目障りだった。「ボレロ」の場面とか、公園の池の周りで遊ぶのだめの「パンチラ」場面とか、他にも随所にあった人形を使ったわかり易い漫画的演出は「漫画」を意識しすぎていて興醒めする。最も駄目だと思った演出は、チャイコフスキーの序曲「1812年」の演奏場面の演出。曲の途中で大砲を撃つショットを何度か挿入するんだけど、編集がど下手で邪魔。演奏と玉木さんのカッコ良さだけを映すべきなのに、アホか。『Vフォー・ベンデッタ』の爆破場面をお手本に作り直せ、といいたい。
 演奏場面は素晴らしいと思うけど、オーケストラの話なんだから、ごくごく当たり前の出来。しかも演奏の良さが物語に貢献していない。演奏の良し悪しがわかるような展開が全くない。駄目な楽団が良くなる過程がちゃんと描かれていない。普通なら、駄目楽団が良くなる過程だけで1本の映画を作れるのに、そこはオマケ扱い。ならば千秋とのだめの物語に主軸を置いているのかというと、そこはかーなりテキトー。
 つまり、内容は、はっきりいって、酷い。

 完全に「のだめ」ファン向けで、かつTVドラマ版を見ていた人向け。それが悪いってんじゃない。ファンのために、ファンの大好きな形で、豪華な映画版をプレゼントするってのは全く悪くない。悪くないんだけど、ちょっと馬鹿すぎでしょ。
 どう好意的に見ても、実写版のだめは、単なるアホというか馬鹿というか頭の足りない子だ。漫画だからこそ魅力のあったキャラなのに、そのまま実写化しちゃうと本物の馬鹿にしか見えない上野樹里さんは、上手に演じているけど、それが馬鹿さを倍増させている。あ、でも、チェレスタの演奏をルイに奪われた時の、千秋に「空気読め」っていう時の上野さんの演技は巧かった。のだめという役柄を知らなくても面白い演技で、馬鹿キャラから瞬時にキレキャラに変化する瞬間は笑ってしまった。
 む。そう考えれば、実写版のだめは既に上野さんのキャラで、漫画版のだめと異なった魅力を出すことに成功しているのか? ギャグ展開時の上野さんの動き、表情は漫画版のだめと明らかに異なっており、最初は「巧く漫画っぽさを演じているなぁ」と思っていたけど、のだめが凹んだ時の「貞子」のような暗い表情なんかは(特に子牛のような表情の演技は)素晴らしいと思う。となると、やはり駄目なのは演出だ。
 部分的に外国人を日本人(ハーフもいるけど)が演じているのは失笑もので、特に竹中直人さんが酷かった。しかしまあ、上野さんののだめがあれだけ突出したキャラである以上、脇を固めるキャラもメチャクチャにしなきゃバランスは取れないから、あのキャスティングのせいでTVドラマ版は見る気が失せたんだけど、おかしなキャスティングは正しい。でもやはり、凄い中途半端だ。外国人が喋る時は、台詞はみんな日本語吹き替えになっているのだけれど、どうせならば画面に映る外国人を全員、日本人に演じさせるべきだった。そうすりゃもっと完璧に過剰な馬鹿演出となり、漫画版を超えられたのに。
 一見して馬鹿すぎると思ったけど、全然中途半端なんだよなぁ。中途半端な馬鹿は最も質が悪い。

 予想外に面白かったけど、観る価値は全くないとしか思わない。馬鹿っぷりが中途半端で、物語が物凄く面白くない。ただし、それは映画版の責任じゃない。映画版を観ると、そもそも漫画版の終盤の展開が全然面白くなかったことがよ~くわかってしまう。飛び抜けたキャラはおらず、展開は愚鈍で間延びしており、のだめと千秋のロマンスも同様で、2人の魅力が日本を舞台にしていた時に比べて激減していた。だから、当然のように映画版は盛り上がらないし、面白くない。後編は盛り上がるのかもしれないけど、それなら無駄な前編を作らないでほしい。
 映画版は、コンセプトが間違っている。演奏場面に迫力があっても、だから何だってんだ? それは「のだめ」の魅力ではない。「のだめ」でなくても実現できる程度のものだ。製作費をかけた唐突に始まるギャグ展開も物語に全く貢献せず、時間の無駄。アニメと合成してるってのに、躍動感が全くないし。
 物凄く悪くはない。でも、良くもない。上野さんの演技の馬鹿っぷりは素晴らしく、全体的に70~80年代に作られたメチャクチャな実写漫画映画に近いテイストはありつつも、真面目な部分をギリギリで脱線できないから、中途半端。上野さんが好きなら観て損はないけど、4ヶ月も間を置いて公開される後編を観る価値は全くない。
 実写版を見るなら、TVドラマ版だけで十分だと思う。映画版は、ファンに対するプレゼントというより、単なる蛇足だ。
 
ついでに『Vフォー・ベンデッタ』の爆破場面の動画。

 こっちのチャイコフスキーの序曲「1812年」の方が絶対にいいよねぇ。
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テーマ : 映画館で観た映画
ジャンル : 映画

tag : のだめカンタービレ

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うるせえカス
プロフィール

ばっどていすとさんどいっち

Author:ばっどていすとさんどいっち
テクノ好き。
アンダーワールドのRez大好き。
映画大好き。
ジャッキー・チェンが生涯の英雄。
生涯1位作品は『ミミズバーガー』。
2位が『溶解人間』。
泣き虫で、馬鹿。
itsuka-omoi-dasu-bts@hotmail.co.jp

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