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2009-12-22

『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』は、誕生する前からゾンビだ

 『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』を観た。予告編を観た時点でこれは駄作決定だな、と思っていたら、全く期待を裏切らない駄作だった。
 そんなことを断言してしまう私だけど、実は、「宇宙戦艦ヤマト」に全く思い入れがない。主題歌は昔から大好きだけど。そんな私が「宇宙戦艦ヤマト」を語って良いのかというと、シネコンみたいな映画館でかかる以上、百億円以上の製作費をかけた超大作の実写映画と比較して観てもいいのだし、もちろん良いに決まっている。決まっているので、普通に映画として、今現在の新作として観れば、明らかに駄作だと断言してしまう。

 駄目な理由はたくさんある。キャラデザのセンスの古さ、CGの駄目さ、物語の面白くなさ、脚本の駄目さ、キャラクターの魅力のなさ、演出の拙さ……その中でも最も駄目なのは、演出の拙さだ。演出が巧ければ、他が駄目でも何とかなる。気合でカバーできるもんだ。だのに『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』は、気合が入っているようでスッカスカの穴だらけ。
 最も駄目な演出は、復活ヤマトが発進する場面。他が全て駄目でもここだけは失敗しちゃ駄目でしょ、という肝心要のところで大失敗している。久しぶりにヤマトが発進するってのに、爽快感というか躍動感が全くない。観客によっては30年以上ぶりにヤマトの雄姿を見るだろうに、あーっさりと発進しちゃう。もちろん、その場面の演出には力が注がれているけど、CGも使って豪華にしているけど、肝心の「溜め」がない。思わず拳を握り締めてガッツポーズしたくなるような――人によっては敬礼したくなるような――ものにしなくちゃいけないのに、「え、こんなもん?」て淡白さ。しかも、しかもですよ! ここで使わないでどこで使うの、というオリジナルの主題歌(なぜだか知らないけど、ささきいさおさんでなく、THE ALFEEが歌っている)が流れるってのに、途中でフェードアウト! わかってない! 全っ然、わかってないっ! ヤマトの発進場面では、ささきさんの声でなくとも、宮川泰さんによる名曲を丸々使って、あらゆる角度からヤマトの雄姿をしつこいくらいに映すべきでしょ! だのにっ! 途中でっ! フェードアウトっ!! あったまおかしーんじゃねーのっ!? ヤマト発進場面だけで『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』は駄作だと断言できる!
 ディズニーアニメの『カールじいさんの空飛ぶ家』ですら「発進」(家が飛べなくなった後、再び飛び立つ場面)では溜めに溜めた演出を丁寧かつ迅速に行っている。全然浮かばない、でも少年を助けにいかなければいけない、どうしよう!? カールじいさんは、そこで家具を1つ1つ捨てていって、最後に何もかも捨てた瞬間――ぶわっと家が飛び立つ。あの「溜め」が重要なわけじゃないですか。『カールじいさんの空飛ぶ家』の方が余程ちゃんとわかってるよ(遂にピクサーは宮崎駿監督作品に並ぶものを作ったと思う)。
 他にも、キャラデザが違いすぎる昔の映像を回想場面として使っているのも駄目すぎる。違和感ありまくりで台無し。佐渡先生やアナライザーやミーくんが昔のキャラデザそのままなのも、何だかねー。それとも昔からのファンにはあれがサービスになるのか?
 音楽の使い方も駄目。クラシックの交響曲を何曲か使っていて、それが巧く場面に合っていない。一応は場面に合わせて選んでいるっぽいけど、手抜き感が溢れまくり。『劔岳 点の記』を想い出した。クラシックの交響曲を巧く使った映画で真っ先に想い出されるのはスタンリー・キューブリック監督の『2001年宇宙の旅』だけど、『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』はその真逆の演出で、つまり変なPVみたいな仕上がり具合。ベートーヴェンショパンチャイコフスキーマーラーなんて有名どころを使ってんのに、むしろ場面を盛り下げている。最後の大決戦までクラシック曲の垂れ流しなんだから、本当に手抜きとしか思えない。有名曲の「箔」を借りても重厚感が全くなし。
 最後の大決戦であるSUSの大要塞の戦いも本当に駄目すぎる。ワープしてあっちから「ぴょこっ」、こっちから「ぴょこっ」って、シューティング・ゲームのボス戦だよ。ていうか、単なるモグラ叩き。好意的に見ても、「遂にシューティング・ゲームはここまで進化したのか!?」とでもいいたくなるような感じ。笑ってしまった。
 とにかく、演出が駄目すぎる。時代錯誤なのは物語だけにしてほしい。

 物語が稚拙なのは、原案者である石原慎太郎さんに責任があるのだろうか? 物語は「右寄り」に見えるけど、馬鹿な若造の乗組員が艦長に対して「あんた!」と上から目線で激怒する展開は、どう考えてもナヨっちい左翼だよねぇ。やたらとフレンドリーな軍隊。アホか。
 ご都合主義な展開なのは、別に問題ない。ただ、あらゆる点でテキトーすぎるのは問題あり。細部を考えているのか考えていないのか知らないけど、一見すると考えてないとしか思えない。SUSが地球を狙う理由があるのはいいけど、地球という環境が欲しいだけなら、地球人をいちいち殺さなくてもいーのに。USAのもじりとしか思えない多国籍軍SUSの行動原理が不明すぎる。つーか、あれだけ驚異的な力を持っているならもっと簡単にヤマトを撃沈させられるだろうに。それを負けた後で「こんなもんじゃねーんだぞ俺らは!」と喚くんだもの、盛り上がらんなー。最初から本気出せよ。結末が、地球が助かるのと滅びるのと2種類あったらしけど、今の結末で正解だよ。あんな馬鹿な宇宙人に地球を滅ぼされたとあっちゃ我慢ならん
 脚本で見直すべき点が細々あるのに、放置されているのは、それでいいと思っているからなのか? ずいぶんと進化した未来だってのに、古代進がヒゲ剃りする時にシェービングムースに剃刀って何なのよ? もっと簡単便利なものができてるだろっ! そーゆー細かい点に気配りが足りない。「宇宙戦艦ヤマト」をSFと見ている私が悪いだけなのか? 他にも、娘を助ける場面にしても、人類を救う展開にしても、アマールでの展開にしても、何もかもが中途半端。ヤマトが絶体絶命に陥らないのが致命的に駄目。

 しかし、日本人として、好意的に観られる部分はある。ローランド・エメリッヒ監督の『2012』を観た日本人ならかなりの人数が抱くであろう、「中国が巨大避難船を作るのはおかしくねーか?」という疑問からくる満足感だ。
 エメリッヒ監督は日本人をよく知らないのだろうけど、あのさー、山ん中に秘密基地作って、巨大な乗物を作るっていったらさぁ、やっぱ日本人の技術力が宇宙最高に決まってるでしょ! ガンダムや宇宙戦艦ヤマトやマジンガーZだけならず、都市そのもののマクロス艦なんかを作れる日本人ですよ!? 大災害のための巨大避難船なんざ片手間で作れるっつーの! などとグチをこぼしていた人々にすれば、『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』で溜飲が下がる思いだろう。だって、先に『2012』を観ていたら、「あ、これまんま『2012』だ」と思ってしまうもの。違いは、変な宇宙人が出てこないことくらいでしょ(他にもあるけど、無視)。もちろん、『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』が『2012』のパクリだ、何てアホなことはいわない(順番からしてそれはない)。ただ、「だよなぁー、やっぱ地球の運命を左右する乗物を作るのは、日本人に決まってるよなぁ」と安心させてもらえる。
 だから、だからこそ、もったいない。物語や脚本や演出やキャラデザやCGがもっともっと良ければ!

 正直、これで『崖の上のポニョ』を超える発言をした西崎義展監督は駄目だと思う。続編も作るみたいだけど、誰が観たいんだあんなつまんない物語の続編を? ていうか、あれでいーじゃん。奥さんは行方不明のままだけど、死んだってことで。意味不明のサービスショットを2回も見せてもらえて、私は満足しましたよ、奥さん死亡でも。
 キャラデザの古臭さからしても(『伝説巨神イデオン』や『聖戦士ダンバイン』の湖川友謙さんの仕事だとしても)、公開される前から賞味期限切れの新作だ。仏陀再誕』よりもセンスが古臭すぎ。流行に反対する反体制的な姿勢なのかもしれないけど、何事もほどほどが大事。
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テーマ : 映画館で観た映画
ジャンル : 映画

tag : 宇宙戦艦ヤマト復活篇

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プロフィール

ばっどていすとさんどいっち

Author:ばっどていすとさんどいっち
テクノ好き。
アンダーワールドのRez大好き。
映画大好き。
ジャッキー・チェンが生涯の英雄。
生涯1位作品は『ミミズバーガー』。
2位が『溶解人間』。
泣き虫で、馬鹿。
itsuka-omoi-dasu-bts@hotmail.co.jp

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