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2009-12-13

現実を創り変える空想

 『カールじいさんの空飛ぶ家』を、前回と映画館を変え、また観た。
 2回目ともなると感動が薄れるかと思いきや、1回目よりも感動した。1回目では未確認だった部分がよく見えたりして、感心させられた。相変わらず、ボロボロと泣いた。
 感心したのは『カールじいさんの空飛ぶ家』だけでない。いつも通り本編より先に上映される短編にも前より感心した。『晴れ ときどき くもり』という作品だ。

 コウノトリが運んでくる赤ちゃんは、どうやって提供されているのだろうか? 『晴れ ときどき くもり』は、それを描く。
 各家庭(人間だけでなく、犬や猫も)にコウノトリが赤ちゃんを運んでくる。運び終わったコウノトリは空の上、雲がたくさん集まっている場所まで飛んで行く。そこに神様でもいるのかな、と思ったら、いたのはたくさんの雲の神様(?)。
 雲が、自らの身体(雲)をちぎって、こねて、魔法(雷)をかけると赤ちゃんの完成。コウノトリはそれを各家庭へと運ぶ。
 ただし1つだけ、外れたところにくもり雲がいて(他のみんなは晴れの白い雲)、それはどうしてか赤ちゃんを創るのが下手。下手というか、ワニやハリネズミやサメなど、危険な赤ちゃんを創るのが得意。
 くもり雲の担当になったコウノトリが大変で、噛み付かれたりタックルされたり刺されたり、怪我が絶えない。くもり雲の担当のコウノトリは、他の雲は安全で可愛らしい赤ちゃんを創っているから、羨望の眼差しで眺めたりして、遂に我慢できなくなったのか、くもり雲を見捨てて晴れの雲のところへ行ってしまう。
 見捨てられたくもり雲は、憤然と怒り、雲をゴロゴロと鳴らして大きくさせ、雷をビカビカと発生させる。そして、悲しくなり、わんわんと泣き出してしまい、雨をざぁざぁと降らす。
 しかし、くもり雲担当のコウノトリは見捨てたわけでなく、他の雲に防護具を創ってもらっていただけだった。噛まれても刺されても平気なように。コウノトリは防護具を身に着け、くもり雲のところに戻り、ドンとこいと赤ちゃんをせがむ。泣いていたくもり雲は一転して笑顔になり、また赤ちゃんを創る。んだけど、創ったのが電気ナマズの赤ちゃんだから防護具が役に立たなかったりして、コウノトリの受難はまだまだ続く……

 とまあ、そんな物語だ。私は最初、何てガキっぽい話だ、と思った。コウノトリが赤ちゃんを運んでくるなんて、今時、子供騙しすぎるだろ、と。雲が赤ちゃんを創るってのも子供っぽいなぁ、と思った。しかし、その表現力の素晴らしさに驚いた。
 展開や設定はよくあるものだ。外れ者がいて、そいつはちょっと要領が悪くて。面白いのは、くもり雲は失敗作(不細工な赤ちゃん)を創るのでなく、「危険な赤ちゃん」を創るところ。んで、コウノトリがいっつも酷い目に遭う。見捨てられたと思ったくもり雲が怒って雷雲になり、悲しんで雨雲になる。地上に住む人間からすれば迷惑な話だけど、不必要な存在なんて何もない、という考えの下に作られている。ネガティブ要素が一切ない。さすがディズニー。
 はっきりいって物語や脚本や演出力は平凡なんだけど、CGの技術力によって物凄く底上げされている。ふんわりとした柔らかさが、今まで見たことないくらい見事に表現されていて、実際に間近で見たことはないけど、「これぞ雲!」と思える質感だった。技術が日進していることがよーくわかる。比べちゃ悪いけど、日本のフルCGアニメ映画『よなよなペンギン』なんか表現力(技術力)で『晴れ ときどき くもり』の足下にも届いていない(『よなよなペンギン』は予告編しか観てないけど、あれはいかんだろ。ギリギリでPS3って感じだよ)。
 技術力による表現力の底上げは重要だ。表現力が稚拙だと、説得力がなくなってしまう。現実を超えたものを描くのにアニメよりも適している表現方法はない。単なる物語の鑑賞だけなら『よなよなペンギン』で十分かもしれないけど、鑑賞後、現実を今までと違った側面から見ることが可能になるような想像力は、表現力が優れていないと与えられない。技術的な面で『よなよなペンギン』は物足りない。しかし、『晴れ ときどき くもり』の技術力は凄く、その凄さはそのまま表現力として発揮されている。雲の質感はレンブラントの絵のようだった。
 ↓ちなみにレンブラントの絵ってこんなの(クリックすると拡大)。ちょいと暗いけど。
rembrandt

 『晴れ ときどき くもり』を観終えた後、空に浮かぶ雲を見ると、ついつい「赤ちゃんを創っているのかなぁ」と思ってしまう。雨が降ると、「いじけてんのかなぁ」と思ってしまう。そんなことを考えると、何でもなかった空が楽しく見えてしまう。雨天だってちょっとは楽しくなるかもしれない。
 現実を違った視点から面白く見させてくれる――アニメにはそんな魅力を描くのに適している。それは高い技術力あってのことで、『晴れ ときどき くもり』はその点で見事だ。そして、あくまでも子供視点を忘れていない。極端な話、アニメは大人に理解されなくても構わないと思うんだけど、見事な空想は時として大人を驚かせる。「あ、そんな発想したことなかった」と。しかしその空想を作っているのは同じ大人だ。
 子供を楽しませるだけでなく、大人をも唸らせるアニメを作るピクサーは、凄い大人がたくさんいるんだろう。

 意図したのかわからないけど、『カールじいさんの空飛ぶ家』と微妙に重なっている感じも『晴れ ときどき くもり』を面白くさせている。
 
 検索したら見つかったので、『晴れ ときどき くもり』の動画を貼り付け。
『晴れ ときどき くもり』↓

 くもり雲が泣いている時、奥の方にいる晴れ雲がくもり雲の方を見ている細かな演出が素晴らしい。早く戻ってあげなよ、とコウノトリにいっているようで、とっても優しい世界が描かれている。
 映画館で観ていない人は、絶対に大きなスクリーンで観るべきだと思う。
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テーマ : 映画館で観た映画
ジャンル : 映画

tag : カールじいさんの空飛ぶ家

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プロフィール

ばっどていすとさんどいっち

Author:ばっどていすとさんどいっち
テクノ好き。
アンダーワールドのRez大好き。
映画大好き。
ジャッキー・チェンが生涯の英雄。
生涯1位作品は『ミミズバーガー』。
2位が『溶解人間』。
泣き虫で、馬鹿。
itsuka-omoi-dasu-bts@hotmail.co.jp

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