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2009-12-01

『沈まぬ太陽』は、沈みかかってるから困ったな

 渡辺謙さん主演の『沈まぬ太陽』を観た。今、またもや大人気になっている山崎豊子さん原作の映画化で、JALをモチーフとした巨大企業内のギスギスした物語だ。
 JALといえば御巣鷹山墜落事件で、『沈まぬ太陽』もそれを扱っている。物語は前半と後半ではっきりわかれているんだけど、主軸は組織内の闘争を描いているにすぎず、つまりいつもの山崎さんの物語だ。

 ぶ厚い原作を1話完結の映画にしようとして3時間を超えるのはしかたないことだけど、長い。よくまとめた、とはいえるけど、長い。そもそも作る必要があったのか疑問だ。物語は事実に則しているから、長くなるのは当然なんだけど、やっぱ長い。小説より事実の方が奇なんだから、物語が面白くないんだよね。つーか、『白い巨塔』と基本は同じだし。
 JALの組織闘争は、映画よりももっと複雑で、既にはっきりと問題化してしまい、周知の事実となっている。組合が8つもあったんだから、そんな組織がマトモなわけない。どうやってまとめろというんだ、そんな組織。映画で石坂浩二さんが演じる国見会長がまとめようとしたけど、実際はさらに組合を増やしてしまった。悪化させるだけ悪化させてしまい、物凄い権力を持った会長ですらどうにもできない程に組織が大きくなり、そして根元から腐っていた。
 組織闘争を簡単に片付けるには、組織をぶっ潰すしかない。だから、物語としては、破壊の方向に向かわなきゃスペクタクルがない。が、山崎さんの興味はそっちにはなく、あくまでも現実的な組織闘争にしかないので、結局いつもの山崎節に納まってしまう。つまり、すっきりしない後味の映画になっている。

 長いと思えてしまう理由は、映画的な興奮が全くないから。
 展開は、淡々と原作に描かれている事柄を積み重ねているだけ。予算が許すなら、TVドラマで作ればいいレベル。積み重ねるわけだから、人によっては緻密と感じるかもしれないけど、本当にただ積み重ねているだけなんだよね。ゲームの『ぷよぷよ』で、連鎖する気どころか消す気すらなく、黙々と「ばたんきゅー」に向かっている感じ。嘘でもいいから観客はすっきりしたいわけですよ。悪が徹底的に懲らしめられ、正義が勝つ物語を見たいわけですよ。だのに、『沈まぬ太陽』は現実的なのでそんな勧善懲悪は見せない。そんならさぁ、現実的でない主人公の人の良さとかおかしいだろ。
 細かい設定が全く説明不足のままなのもいけない。いや、常識的な知識を持ち合わせている大人なら知っていて当然の事柄ばかりではあるんだけど、とってもTVドラマっぽい『沈まぬ太陽』なんだから、もっと状況説明のナレーションでも入れた方が良かったんじゃないの? 多くの観客にとって親切であるとは思えない。
 墜落事故以降の展開にしたって、「日本人ならあの事件の悲惨さは描かなくても知ってるでしょ?」と手抜き描写。乗客の搭乗時の描写には無駄なくらい時間を割いているのに、そこだけは災害映画のお約束として、後々の感動を演出するために、死ぬだけの脇役のキャラ立ちのために挿話をいちいち入れてんのに、肝心要の墜落場面は全くなし。阿鼻叫喚を描けるチャンスをわざと逃すとは、映画として大失格だ(遺族に配慮した、というのはわかるけど)。
 TVドラマっぽくても骨太な物語が面白いならそれで十分なんだけど、時間軸を前後させる展開のために、物語へ没頭することが阻害される。時間軸を前後させる意味がわからん。そもそも物語が面白くない。組織闘争と御巣鷹山墜落事件とのバランスが悪く、物語の主軸がぶれまくりで、全体的に散漫。つまり、何がいいたいの? 「沈まぬ太陽」という意味が無意味な響きしかない。だってさぁ、沈むどころか堕ちてるし、JALは。原作をもっと改訂して映画独自の展開にすれば良かったのに。
 画作りも下手。せっかくのアフリカの自然の描写に雄大さはないし、渡辺さん演じる恩地がストレスから発狂する場面の芝居がかった演出といい、どこもかしこもこじんまりとしている。香川照之さん演じる八木が自殺するシークエンスにしたって不穏感が全くなし。そもそも何で八木が上司に命じられるままに汚職をしていたのかさっぱりわからない。八木が単なる馬鹿にしか見えない。
 CGの出来も悪い。滑走路から飛び立つ飛行機がCGで描かれてるんだけど(JALから撮影許可が下りなかったんだろうな)、はっきりとCGとわかってしまう雑な出来。

 監督がクリント・イーストウッドさんだったなら、いや、オリバー・ストーンさんだったなら、もっと面白いものに仕上げただろう。今現在、「沈まぬ太陽」といわれても、経済的にも落ち目な日本だってのに、説得力ない。そんな現状だからこそ観るべき価値がある、とかいわれても、すっきりしない結末のために、観るべき価値を見出せない。
 何のために作られたのか、さっぱりわからない映画だ。
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テーマ : 映画館で観た映画
ジャンル : 映画

tag : 沈まぬ太陽

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プロフィール

ばっどていすとさんどいっち

Author:ばっどていすとさんどいっち
テクノ好き。
アンダーワールドのRez大好き。
映画大好き。
ジャッキー・チェンが生涯の英雄。
生涯1位作品は『ミミズバーガー』。
2位が『溶解人間』。
泣き虫で、馬鹿。
itsuka-omoi-dasu-bts@hotmail.co.jp

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