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2007-12-04

椿三十郎 かなり頑張っている

 織田裕ニ版『椿三十郎』を観た。感想をたった一言でいうなら、「微妙……」だ。

 はっきりいって、悪くない。むしろ面白い。いや、凄い面白い。古き良き良質なハリウッド映画を彷彿とさせる、娯楽映画らしい娯楽映画だった。全てが最良の展開を見せる、最高の映画だ。しかし、それは元々の黒澤明版が面白かったからにすぎない。
 つくづく思い知りましたよ、土台と主柱がしっかりしてれば、家はそう簡単に崩れないって。

 黒澤明版を観たことがあれば、絶対に比較し、無数にある粗探しをしてしまうだろう。するなという方が無理だ。製作サイドだって比較されるのは臨むところだろう。
 粗はある。たくさんある。まず、テンポが悪い。黒澤版が96分なのに、織田版は129分。30分も長い。観る前から駄目というか引っかかるのが、織田さんでは三船敏郎さんを超えられないところ。無理なのホント最初からわかってたんだけどね。豊川悦司さんも仲代達矢さんに遠く及ばない。線が細すぎ。他にも、風景が作り物すぎて駄目。画が貧しくて悲しくなる。また、カラーになってんのに、逆に画面が綺麗に見えない。あと、多くの人が指摘するだろうけど、最後の一騎討ちの演出、これが最大の粗といえる。あれはないよ。黒澤版と同じである必要はないけど、あれはない。
 まだあるけど、これじゃあただ単に織田版を全否定したいだけみたいなので、もう止める。私はどっちかというと、肯定派なので。
 映画マニアというかオタクはたぶん、織田版を否定するだろう。「織田裕ニなんかにゃ荷が重かったんだよ」と織田さん否定をするだろう。私もマニアというかオタクなので、否定したい。演技以前に、声質からして駄目なのだ。織田さんの声質では、三船さんの椿三十郎に見劣りしちゃう。そう、はっきりいってしまえば、何もかもが黒澤版より劣っている。間違いなく絶対的に。
 ただし、黒澤版を観てない人はどうだろう? たぶん、普通に面白いと思う。それも間違いなく絶対に。

 黒澤監督が作った『椿三十郎』という家は、凄まじく土台と主柱がしっかりした造りだったのだ。そこに下手なアレンジを加えようが、ビクともしない。私が織田版を肯定するのは、そこ。面白いんだもん。黒澤版と比較すりゃ見劣りするけど、それでも面白いんだもん。これだけ面白いものを否定することは、私にはできません
 黒澤版を観てない人は、観ないまま織田版を観た方がいい。その後で黒澤版を観る。織田版にもちゃんと黒澤版の良さは受け継がれている。受け継がれているというか、ちっともイジれなかったんだろう。あまりに隙がなくて。黒澤版『椿三十郎』は、映画そのものが椿三十郎なのだ。怖くて、可笑しくて、照れ屋で、頭良くて、人情味があって、強い。今、そんな映画は殆ど見当たらなくなった。
 例えば昔の作品なら『十二人の怒れる男』、最近の作品なら『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(ちっとも最近じゃないな)、それらを観た後の感動。凄いものに出会ってしまった、という興奮。ギリギリではあるけど、その興奮は織田版にもある。ガス・ヴァン・サント版『サイコ』みたいな無意味極まりないものにはなってない。その功績の全ては黒澤版のものだ。それ程までに黒澤版は、崩そうにも崩れない程、しっかりしている。
 だから、黒澤版を観てない人は、先に織田版を観て、後に黒澤版を観た方がいい。その方がどっちの『椿三十郎』も素直に楽しめる。織田版を観て、物語のダイナミズムに酔いしれ、黒澤版を観て、土台の凄さに驚けばいい。
 じゃあ、黒澤版を観ている人はどうすればいいか? とりあえず織田版も観てみればいい。オタクにありがちな偏屈姿勢で観る前から全否定するより、まず「映画ファン」として観てみればいい。改めて黒澤版の凄さがわかるから。

 あと、やっぱどうしても気になるのは、最後の一騎打ちの演出だ。あれは黒澤版を知らなくても、どうかと思うような演出だった。他にやりようがなかったのだろうか。ただ、黒澤版と同じように、睨み合いが始まった瞬間、無音になるのまでちゃんと継承しているのには驚いた。その後がなぁ……

 たぶん賞賛よりも批判の方が多い織田版『椿三十郎』、私もどっちかというと批判しているけど、それでも「面白くない」とは決していえません。こんな面白い物語を否定できる程、頭が良くないので。
 この文章を作成している時点で既に夜も遅いんだけど、作成し終わったら、黒澤版を観返したいと思う。何度も観ているのに、今からワクワクしている。明日も仕事だってのに。
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テーマ : 映画感想
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プロフィール

ばっどていすとさんどいっち

Author:ばっどていすとさんどいっち
テクノ好き。
アンダーワールドのRez大好き。
映画大好き。
ジャッキー・チェンが生涯の英雄。
生涯1位作品は『ミミズバーガー』。
2位が『溶解人間』。
泣き虫で、馬鹿。
itsuka-omoi-dasu-bts@hotmail.co.jp

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