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2009-09-11

TVの影響力

 8月末くらいに「探偵ナイトスクープ」が『シェラ・デ・コブレの幽霊』を扱ってから、検索数が倍増どころか数十倍増していて、当ブログの閲覧数も比例して増加している。『シェラ・デ・コブレの幽霊』のちゃんとした記事を作ったのは初期の頃の2回だけなのに、閲覧数が最高で通常の百倍も増加したんだから、TVの影響力は本当に凄いのだと実感。

 『シェラ・デ・コブレの幽霊』以外にも「幻の映画」というのはある。
 たとえば……『殺人ブルドーザー』とか(インパクトのある邦題だが、原題の『KILLDOZER』の方が素晴らしい)? 昔、TVで放映されたっきりで、ビデオにもDVDにもなっていないから今は観ることが叶わない。まあ、馬鹿映画として有名なだけなので、ソフト化しても誰が観るんだっつー感じではある。
 他には、ビデオ時代に廃盤になったっきり再ソフト化されていないもの。「幻」ではないけど、観るのが困難な映画だ。曾根中生監督の『くノ一淫法 卍百花絡み』とか(割高な価格の中古品をこないだ購入した。何とかしてDVDとかにコピーして保存しておきたいんだけど、装置がなくてできず……日本以外の国でソフト化してくんないかなぁ)? レンタル店に行けばまだ残っているだろうけど、それがなくなってしまうと、観るのが困難な映画になってしまう。

 当然ながら「幻」の映画は、殆どが人気のないものだ。需要がないと想定されるから、供給がない。差別などの人権問題絡みでどうしても再放送やソフト化できないというものもあるけど、実はその問題は大したことがない。だって、海外で出せばいいんだもの。現に日本では無理な石井輝男監督の『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』はアメリカでDVD化された。「幻」ではないけど、私が偏愛する『ミミズバーガー』も、ビデオ化された後は何にもなかったのを(海外版のDVDはあったけど)、奇特な方がわざわざ千枚限定で邦版DVDを作って販売してくれた(DEATH VIDEO 2000)。もちろん、私は買いましたよ限定千枚の『ミミズバーガー』DVD。ありがたやありがたや。
 そーゆー稀な例はあるけど、基本的に需要と供給で決まってしまう。だから、あえていえば『シェラ・デ・コブレの幽霊』は需要が多くない映画だ。と思っていた。マニアだけが垂涎の映画なんだろうな、と。しかし、「探偵ナイトスクープ」で放送された以降、最初にも述べたように、倍増で済まないくらいに注目度が上がっている。これは確実に儲けに繋がる筈。
 たとえば海外の権利所有者を探し当てられたとして、権利所有者に「確実に儲かりますよ」と囁けば、ソフト化はあっという間だろう(無茶な権利料をふっかけられなければ、だが)。つまり、『シェラ・デ・コブレの幽霊』の場合、とりあえず権利所有者を見つけないことには話が進展しない。上記にある『ミミズバーガー』を販売したファイブスさんはその後、プロデューサーであるテッド・V・マイケルズさんが監督した『アストロゾンビ』の邦版も販売しようと考え、連絡したら、既にマイケルズさんに権利はなく、別の人が所有しているといわれたそうだ。というように、製作者に権利がないことなんていくらでもあるので、探し出すのは大変だろう。

 ソフト化する以外で「幻」の映画を観ることは叶わないのか? というと全く別の方向で可能かもしれない。観た人が同じようなものを作る、という方法で。
 『シェラ・デ・コブレの幽霊』をどうにかして観たことがある人ならわかると思うけど、『リング』を作った中田秀夫監督の『女優霊』はかなり『シェラ・デ・コブレの幽霊』に近いものがあると思う。脚本担当の高橋洋さんは『シェラ・デ・コブレの幽霊』を知っていたので、「『幻』の映画による恐怖」を『女優霊』で再現した、と考えることは可能だろう。
 実際、『リング』による「Jホラー」のブーム到来前だった『女優霊』の公開は、衝撃的なものがあった。有名な話だけど、『リング』でほぼ完成された「Jホラー」の演出は、石井てるよし監督の『邪願霊』の発展形だ。その基本構造を作ったのは、脚本を担当していた小中千昭さんだ。そこから『女優霊』が生まれ、『リング』が生まれ、最恐の黒沢清監督『回路』が生まれた。元祖は『邪願霊』だけど、現在のJホラーの基本は『女優霊』。で、その『女優霊』が公開された当時は、まだ中田監督と高橋さんの名前は有名でなかった。
 我が金沢市で『女優霊』が上映されたのは、『シェラ・デ・コブレの幽霊』と同じく、駅前シネマだった。日本で残り僅かになってしまった、50年以上の歴史を持つポルノ映画館だ(昔はポルノ映画館じゃなかったそうだけど)。明らかに時代遅れで廃れている外観と内装の中、全く予備知識なしで出会った『女優霊』は、とても恐ろしかった。鑑賞環境が駅前シネマだったのも映画内容と一致する雰囲気があり、恐怖効果を煽った。事前に「映写技師が物凄い怖がった」という煽り文句くらいはあったけど、最高の出会いを果たした映画の1本だ。そして思ったものだ。「これは新しい恐怖映画だ!」
 その時点で考えられる最高の恐怖演出を総動員した『女優霊』は、その後の『リング』から『呪怨』までの全てが詰まっていた。『シェラ・デ・コブレの幽霊』も、その時点で考えられる全ての恐怖演出を詰め込んだ感じだった。
 もしも『女優霊』が何らかのアクシデントにより二度と上映も公開もできなくなってしまうと、駅前シネマで観た経験だけが歴史に残り、ずーっと何十年も語り続けられることになっただろう。得体の知れない凄い怖い幽霊映画がある、と。
 『女優霊』の劇中で柳ユーレイさん演じる主人公は、フィルムに映った謎の映像――黒々と口を広げて笑っている女――を子供の頃にTVで観た覚えがあり、「やたらと怖かったんだよね。でも、その後は覚えていない」という。「昔観た映画でずっと気になってるのない?」
 『シェラ・デ・コブレの幽霊』も、TV放映時に観た人の意見は一様に「トラウマになるくらい怖かった」が、細かい部分はうろ覚えで、とにかく嫌な場面があった、と語る。確かにそんな映画ではある。

 たぶん、権利所有者が見つからなければ、一般公開は難しい。しかし、観ることが叶った少数の人々が種をまいた結果の1つは、間違いなく『女優霊』のような形で残ることになる。観られないことは惜しいけど、それはそれで楽しむべきなんだろう。
 想像すれば、『悪魔のいけにえ』や『赤い影』のようなインパクトのある映画が全く観ることが叶わない映画になっていたとしたら、それはそれは物凄い噂に名高いホラー映画に成長していただろう。そして、運良く観られた人は必ずこういう。「想像を超えるものではないけど、間違いなく凄い」
 結局は、記憶というか想像力――幽霊の正体見たり枯れ尾花――に勝る恐怖はないのだ。だから、誰もが忘れた頃に、深夜の映画番組か何かでひっそりと放映されるべき映画なんだろう。全く知らずに観た人は、「何だこの嫌な映画は!?」と驚く。観た立場からいうべきじゃないけど、考えれば考えるほど、『シェラ・デ・コブレの幽霊』は、注目を浴びずに注目されてほしい映画だ。その場合、やはり視聴は映画館よりはTVの方が良いのだろうなぁ。親しみのあるTVが裏切るような恐ろしいものを見せた、という感じで。TVの影響力というか、TVというだけで演出される雰囲気は、もしかしたら映画館で観る以上に効果があるのかもしれない。
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テーマ : 映画関連ネタ
ジャンル : 映画

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お、お、お、お、面白い…!!
とっても興味深く読ませて頂きました。

ネットで調べている内にもうひとつ面白い話が。
もちろん未確認ですが、シェラ~がテレビ放映された時って、
関西地区は台風が接近していてかなりの雨嵐だったらしいんですよ。

カラッカラの晴天の下で観るより、
雨風に晒されてガタガタと震える家の中で観る方が絶対に怖い。

『親しみのあるテレビが裏切った』という状況以外にも、
もしかしたらそういう自然の演出もあったのかも知れないですよね。

この仮説が本当だとすると、恐怖の振り幅というものは作品だけで終わらないっていうんだから、面白い。

そ、そうですかっ

>ネルソンさん
色々と情報を探していますね。
私は結構飽きっぽいので、熱心に情報を探していたのって、最初の頃だけ。
だったんですけど、「探偵ナイトスクープ」ひいてはネルソンさんのお陰で、
最近また改めて『シェラ・デ・コブレの幽霊』について興味が湧いてきました。
最初の頃、IMDbなんかを観たのですが、本国ですら情報的にも状況的にも日本とあまり変わらず、
つくづく「幻」なんだなぁ、と思いました。が、ネルソンさんみたいな方の出現により、
希望の光が見えてきたような! (←超他人任せ)
もしも一般公開できる日が訪れた暁には、やはりTVで放送すべきですね。しかも深夜帯に。
TVの影響力ってのは、視聴環境の効果だけではないと思うんですよね。
プロフィール

ばっどていすとさんどいっち

Author:ばっどていすとさんどいっち
テクノ好き。
アンダーワールドのRez大好き。
映画大好き。
ジャッキー・チェンが生涯の英雄。
生涯1位作品は『ミミズバーガー』。
2位が『溶解人間』。
泣き虫で、馬鹿。
itsuka-omoi-dasu-bts@hotmail.co.jp

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