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2009-07-31

『アマルフィ 女神の報酬』は報酬を与えてくれない

 織田裕二さん主演の『アマルフィ 女神の報酬』を観た。
 絶対に面白くないだろうと、予告編を見た時からずーっと思っていたんだけど、意外に面白かった。『踊る大捜査線』映画版の2作よりは遥かに出来が良い。が、薄い。もっと美味しくできたのに、調理を失敗している。素材(主に役者)の悪さを脚本と演出でカバーしているけど、カバーするにも限界があるようで、結果的に役者に頼る演出となっているため(たぶん織田さんが主演だから)、とっても薄味な作品となってしまった(以下、ネタばれあり)。

 物語はこんな感じ。イタリアで開催されるサミットのテロ対策に派遣された、織田さん演じる外交官・黒田が、無理のある誘拐事件に偶然立会い、テロ対策そっちのけで誘拐事件にかかりきりになってたら、それが偶然にもテロ事件と密接な関係があり、奇跡的な偶然でテロと誘拐事件を同時解決し、ハッピーエンド。
 はっきりいってしまえば、物語が面白くない。サミットを襲撃するようなテロを考えるくらいなら、もっと緻密で綻びのない作戦を考えるべきなのに、偶然だらけで行き当たりばったり。『相棒』映画版と同じような話だ。家族が政府のせいで犠牲になったから復讐する、という。フジテレビの50周年記念として作られた『アマルフィ』と同様に、『相棒』は朝日テレビの50周年記念作品で、50周年記念作品同士が似たり寄ったりな物語になるんだから面白い。

 誘拐事件はテロ(というか大使館襲撃)を成功させるためにやったものなんだけど、必然性が皆無。犯人がその被害者に知人を選んだ理由もさっぱりわからない。テロを成功させるだけなら、日本人観光客を襲う必要はないでしょ?
 テロ襲撃成功の鍵は大使館のセキュリティを切断することにあるんだけど、これまた超偶然に頼っている。誘拐事件からセキュリティ会社の隠蔽工作に気付き、セキュリティ会社に乗り込む展開は、余りに無理ありすぎ。最初から誘拐事件被害者に「セキュリティ会社に行ってセキュリティを切ってもらわないと、子供を殺す」と脅せばいいだけなのに、わざわざとんでもなく手間のかかる画像処理で誘拐事件実行現場の隠蔽をしている。意味がわからん。しかも、それに黒田が気付かなかったらどうするんだ?
 物語の根本的な失敗として、天海祐希さん演じる誘拐事件被害者・矢上の扱い方が悪い。矢上を天涯孤独の状況に落とし込まなければならないのに、そうしていない。単なる民間人の娘一人のためにサミットを危険な目に遭わすわけがないから、イタリアの警察の対応は自然と矢上にとって厳しいものになる。助けてくれる者がおらず、かつイタリア語も理解できず、理解者がいなくて精神崩壊しそうな状況の中、たった独りで助けくれるのが黒田であればこそ物語も俄然盛り上がるのに、そんな展開にならない。
 矢上がセキュリティ会社で拳銃で警察を脅す場面にしたって、訓練された警察なら、矢上の肩とか狙って行動不能にするくらいできるだろうに、そうしない。イタリア警察が無能集団のように描かれている。
 さらに、個人的な怨恨からテロを考えた犯人にしたって、黒田の説得に応じて犯行を思い止まるのはおかしいだろ。あそこまでやったんなら、普通は最後までやり通すぞ。大使を殺す殺さないは別にしても、結局は真相を揉み消すような冷酷な対処があれば、物語の余韻がもっと強くなるのに、変に人情味溢れる結末で面白くない。

 総じていえるのは、中途半端、ってこと。
 複数の事件が別々に動きつつ、最後に全てが絡み合う定石な展開だけど、「確か黒田はテロ対策のために派遣されてきたのに、テロの話はどうなったの?」と誘拐事件にかかりきりになる展開にイライラ。後半ようやくテロの話が登場しても、オマケ程度にしか感じられない。
 無駄な役柄が多数登場するのも駄目で、無駄に時間を使い、登場人物の掘り下げは放棄している。黒田の設定が殆ど明らかになっていないことや、声のみの出演となっている中井貴一さんの存在から、確実に続編かスピンオフを狙っているのがわかり、「なーんか、小賢しいなぁ」と思えてしまう。天海さんの演技はド下手だし、つーか役者がみーんな下手なテレビドラマ芝居にしか見えないのは、西谷弘監督のせいなんだろうなぁ。アクション場面なんかでは織田さんが意外と頑張っているけど、「ジェイソン・ボーン」シリーズのマット・デイモンさんと比べると弱々しすぎる(比べる方が悪いか)。
 まあ、『踊る大捜査線』みたいな「ノンキャリアとキャリアの対立」という食傷気味な展開がないことは評価できるんだけど、結局は警察無能描写があるので、それはそれでどうなのかと。

 大ヒットすればいくらでも続編を考えるつもりがあるのが明確にわかるんだけど、果たして続編を作る時は題名をどうする気なんだろうか? もう「アマルフィ」は使わないと思うんだけど。といって、「外交官 黒田」なんて題名も味気ないしねぇ。
 イタリアの観光地は綺麗に撮ってあるから、アマルフィに行ってみたいな、と思えるけど、怖い場所としても描かれているので、観光映画としてもイマイチ。トム・ハンクスさん主演の『天使と悪魔』の劣化版、て感じの映画だ。
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テーマ : 映画館で観た映画
ジャンル : 映画

tag : アマルフィ

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ばっどていすとさんどいっち

Author:ばっどていすとさんどいっち
テクノ好き。
アンダーワールドのRez大好き。
映画大好き。
ジャッキー・チェンが生涯の英雄。
生涯1位作品は『ミミズバーガー』。
2位が『溶解人間』。
泣き虫で、馬鹿。
itsuka-omoi-dasu-bts@hotmail.co.jp

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