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2009-07-19

後出しジャンケンの「新劇場版」

 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』を、私の周りではみんな絶賛している。貶しているの、私だけだ。
 何がそんなに良いのか尋ねてみると、「こんなエヴァが見たかったんだ!」という意見が多勢。いきなり観客席が映されて嫌な思いをさせられるとか、その挙句に「気持ち悪い」と罵倒されるとか、そーゆーのがなくて、今度こそ、自分たちの望んだものが観られる(予定)から、だとか。
 そんなもの、面白いのか?

 もちろん、期待通りのものを観られて面白いものはたくさんあるけど、私にとっての「エヴァ」は期待通りでないものを観られるところに価値があるので、多勢を占める意見に共感できない。
 私にとっての「エヴァ」は、いきなり観客席を見せられたり、軍隊に殺されまくる阿鼻叫喚を見せられたり、みんながグチャグチャと液体になってしまったり、「気持ち悪い」と決め台詞を吐かれたり、次々に大迫力の女性上位を見せられていたたまれない気持ちにさせてくれるものだ。
 しかし、「新劇場版」は私のそーゆー期待通りでないので……私の論理的には最高の映画となってしまう……ぞ。あれ? ま、そこは無視しましょ。

 この世にまだ「エヴァ現象」が存在しないとして、完全なる新登場のオリジナル・アニメとして『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』を観たとしたら、絶対に面白いと思えない。
 TV版があり、旧劇場版があり、漫画版があり、複数の「Ifエヴァ」があり、さらに無数の同人があり、その総括として登場した「新劇場版」は、後出しジャンケンみたいなものだ。TV版と「学園エヴァ」と同人の微妙な重なりの末に生まれたものだ。確かに、それはみんなが夢想していたものだけど、そんなものを生産することに何の意味があるのかさっぱりわからない。それら全てを裏切ってこそ、だと思うんだよな。

 TV版と旧劇場版のフォロワーとして、最も「エヴァ」を意識していた――というより、20世紀を意識していた――アニメに、『交響詩篇エウレカセブン』がある。「エヴァ」で実現できなかった部分を実現しようと頑張っていた。結果的には失敗したけど。
 「エヴァ」には「セカンド・インパクト」、「サード・インパクト」というものがあったけど、「エウレカ」では「セカンド・サマー・オブ・ラヴ」だった。音楽通(というかサブ・カルチャー通)なら誰でも知ってる言葉だ。正直いって、私は「セカンド・インパクト」よりも「セカンド・サマー・オブ・ラヴ」の方がしっくりくる。過ぎたる日々に憧れた時期があったし、もしかしていつか体験する日が訪れるかも、と「サード・サマー・オブ・ラヴ」を期待してもいる。
 「エウレカ」はある程度までは論理的に話を進めようとしたけど、結果的には「愛が全て!」で片付けてしまった(ま、何つっても「ラヴ」で革命だからねぇ)。私はそれでもOKだと思うけど、やはり物語的にはどうなんだろう、とも思う。「エヴァ」と違って長い期間を使えたのに、結局はそれかよ、と。「エヴァ」同様に引用だらけでポストモダンな物語だったのに、物語のスペクタクルと面白さはその先にある、とでもいわんばかりに強引な愛の物語として締めた。
 で、「新劇場版:破」の終盤にも似たような場面がある。それは少ぉ~しだけ、『天元突破グレンラガン』みたいでもある。庵野監督は「現在の閉塞した日本アニメ界に新たなムーブメントを起こしたい」といったけど、「エウレカ」や「グレンラガン」は「エヴァ」の「その後」を「その前」に戻そうとするものだったのに、なぜか「エヴァ」はまたもや「その後」に戻して、さらにその上で「その前」に戻そうとしている。

 未だに「エヴァ」のその後を明確に示すロボットアニメは日本には存在しないと思う。ロボットという枠組みを外せば、『崖の上のポニョ』はかなり「その後」で、荒野といってもいいような作品だった。作品として、何かに寄りかからない作品を宮崎駿監督は作り続けているけど、庵野監督にそれはできていない。後出しジャンケンみたいな「新劇場版」を観る限りでは、それを絶賛しているみんなにはどうしても納得できない。「え? ホントにそれでいいの?」と。
 動物的なポストモダンの先に待っているのは、やはり動物的なだけのモダンなのかなぁ? 『愛のむきだし』も回顧的な映画で、「新劇場版:破」と似ているけど、POV的な視点で要素だけを取り出して語るものではなかった。「新劇場版」も全て3時間以上の作品にすればいいんだ。それでいて濃密な時間を過ごせるようなものを作れるんなら、それは本物だろう(アニメで3時間以上の濃密な映画を作れというのは過酷なことだけど)。
 「新劇場版」には過剰さがちっとも足りないのだ。私は、過剰じゃないところに不満を感じている。情報量は圧倒的だけど、最早そんなものは珍しくない。自主映画みたいなもんだけど、世界最大の自主映画は『スター・ウォーズ』だし、あっちの情報量だって豊富だし、情報量のSF映画だけなら『スター・トレック』の方が上だ。
 後出しジャンケンのくせに過剰じゃない、そこが駄目なんだと思う。だからこそ、「え? ホントにそれでいいの?」と「新劇場版」に対して思ってしまう。が、絶賛している人にそれを説明しても、「あれだけサービスしてもらって何が不満なんだよ?」といわれてしまう。欲張りな人には不向きなのかもしれない、「新劇場版」は。
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ばっどていすとさんどいっち

Author:ばっどていすとさんどいっち
テクノ好き。
アンダーワールドのRez大好き。
映画大好き。
ジャッキー・チェンが生涯の英雄。
生涯1位作品は『ミミズバーガー』。
2位が『溶解人間』。
泣き虫で、馬鹿。
itsuka-omoi-dasu-bts@hotmail.co.jp

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