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2009-04-30

『バーン・アフター・リーディング』は、神話級の馬鹿映画

 コーエン兄弟の『バーン・アフター・リーディング』を観た。噂に違わぬ、知的な馬鹿映画だ。
 はっきりいって、「スマステ」の「月イチゴロー」に於ける稲垣吾郎さんの、「コーエン兄弟だけに、独特な世界観、テンポ感がある。キャストも豪華だし、とにかくブラピのおバカぶりは見どころ。だけど、ストーリー的にはあんまり内容がないね」という評価は的確だった。

 手抜きといわれてもおかしくない物語を、テクニックだけで最後まで見せる、嫌味ったらしいコーエン兄弟の側面が存分に堪能できるブラック・コメディ映画。
 誰かの小さな勘違いとすれ違いが大問題に発展し、しかし世間的には何事もなく天下泰平である、と終わる。基本的にコーエン兄弟の映画はみんなそんな話ばっかりだ。庶民が悶え苦しむ様を茶化して撮る。シリアスな前作の『ノーカントリー』にしたって、基本は同じ。
 『バーン・アフター・リーディング』は、特に馬鹿度が向上して、何か意味があるようで全くない映画になっている。『ノーカントリー』の後に続けて観ると、『バーン・アフター・リーディング』も深読みしてしまいそうになるくらい、中身は空っぽ。スタイル先行型なのは、『ブラッド・シンプル』から今までずーっと同じだけど、『ノーカントリー』の成功で、遂に単なる「馬鹿騒ぎ」にすぎない『バーン・アフター・リーディング』までヒットさせることができた。
 しかし、考えたらコーエン兄弟って、何か明確なテーマを描いたことなんて一度もない。スタイルだけで今の評価を勝ち得た。ちゃんとした脚本ありきではあるけど、コーエン兄弟くらいそのスタイルが話題になる映画人はそういないだろう。自身の映画でなくとも、『ブラッド・シンプル』の前後には、サム・ライミ監督の『死霊のはらわた』や『XYZマーダーズ』にも関わっていて、それらもスタイル先行型で、かつ「馬鹿騒ぎ」の映画だ。一般的な評価が最も高いと思われる『ファーゴ』にしたって、「馬鹿騒ぎ」だ。基本的にコーエン兄弟は、「馬鹿騒ぎ」しか撮ってない。
 
 オープニングクレジットで主演俳優陣の名前が次々に表示される中、ブラッド・ピットさんはジョージ・クルーニーさんの次くらいに表示されるかと思いきや、なぜか最後だった。特別出演的な「and Brad Pitt」という扱い。なぜかと思ったら……最も美味しい役だから。『バーン・アフター・リーディング』の魅力の半分はピットさんでできている。
 ピットさん演じるフィットネスクラブの従業員は、『バーン・アフター・リーディング』の登場人物中、最も馬鹿だ。と同時に、純粋でもある。その純粋さは、『ノーカントリー』のシガーに近い。中心人物がいない『バーン・アフター・リーディング』で、物語の牽引役となっている。だから、ピットさんの「純粋な馬鹿」演技がなければ、『バーン・アフター・リーディング』の面白さは激減する。
 メチャクチャな物語は、ピットさんを中心に進み、崩壊する。メチャクチャさも崩壊も、綺麗な予定調和。最後も、身も蓋もない締めで終わる。神話のように、「神の意思を下す人物」を配置し、誰もが勘違いしているからこそわけがわからなくなり、一見したら複雑怪奇な出来事を、呆気なく幕切れさせる。物語を第三者に語らせる『ファーゴ』や『ノーカントリー』と同じやり方。
 神の視点で始まり、神の視点で終わる。神話的な枠組みで、中身が空っぽの、馬鹿映画だ。コーエン兄弟の自信の程が窺える、嫌味ったらしい映画だ。

 ところで、コーエン兄弟マニアであれば笑えるトリビア的なネタや、出演者の出演作にちなんだトリビア的なネタがあっちこっちに散らばっているけど、マニア以外にはどうでもいいネタばかり。たとえば、劇中に2回登場する『Coming Up Daisy』て映画のポスターには、原作コーマック・マッカーシー、監督サム・ライミと書かれている。もちろん、マッカーシーさんは『ノーカントリー』の原作者だし、ライミ監督は昔からの友達だ。「それに気付いたからどうした」としかいわれないネタで、気付いた本人も「だからどうした」としか思わないネタだ。

 また、予告編で流れていたエルボーの「Grounds for Divorce」が本編では使われていないのには「詐欺だ!」と思った。あの曲、好きなんだよね。雰囲気も合ってたし……巧く作られてたなぁ。くそう、予告編め!
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テーマ : 映画館で観た映画
ジャンル : 映画

tag : バーン・アフター・リーディング

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プロフィール

ばっどていすとさんどいっち

Author:ばっどていすとさんどいっち
テクノ好き。
アンダーワールドのRez大好き。
映画大好き。
ジャッキー・チェンが生涯の英雄。
生涯1位作品は『ミミズバーガー』。
2位が『溶解人間』。
泣き虫で、馬鹿。
itsuka-omoi-dasu-bts@hotmail.co.jp

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