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2009-03-20

『ヤッターマン』は昭和の東映漫画映画の匂いがする

 三池崇史監督の実写版『ヤッターマン』を観た。
 予告篇などから、さぞかしとんでもなく出来の悪い映画なんだろう、と想像していたら、“大好きな”映画だった。小学生男子マインドに溢れた、一言でいうと、子供に観せたくない子供映画

 物語は、基本的にアニメを踏襲している。ただし、演出は実写にするにあたってアニメ以上に大袈裟になっている。ヤッターマンとドロンボーの戦いは、都市を壊滅する勢いだし、そもそも決めポーズ1つとっても、アニメの動きを忠実に実写へトレースするだけで大袈裟になってしまう。元々がハイテンションなアニメだから、それを生真面目に実写にするだけで、嫌でも大袈裟になる。三池監督は、躊躇なくそれをやり遂げ、異常な映画に仕上げた。
 まず、誰もが絶賛するだろう、ボヤッキーの見事さ。あれは凄い。『ダークナイト』のジョーカーを演じたヒース・レジャーさん並に、ボヤッキー役の生瀬勝久さんは素晴らしいと思う。「ポチっとな」もハマっていた。ドクロなキノコ雲も、電撃を浴びたら骨が透けて見えるのも、他の登場人物たちの仕草も見事なくらいにアニメのまんま。
 紛れもなく『ヤッターマン』であり、しかしこれまた紛れもなく三池監督映画でもあった。

 『ヤッターマン』を観て、真っ先に想起したのは、アンディ&ラリー・ウォシャウスキー監督の『スピード・レーサー』。そして、スティーヴン・スピルバーグ監督の『フック』。
 『スピード・レーサー』が想起されるのは、同じ「竜の子プロ」のアニメが元となっているからってのがあるけど、異常性が似ているから。『スピード・レーサー』は、子供向け映画なのに、明確にドラッギーだった。
 『フック』は、別にドラッギーではないけど(いや、マリファナ向きか)、観客を置いてけぼりにするハイテンションさがスクリーンの中で繰り広げられる、スピルバーグの幼稚性が悪い形で全開になっていた。スピルバーグの幼稚な異常映画は、『1941』も同格だけど、最たるものは『A.I.』だろう。
 これらに共通するのは、居心地の悪さだ。

 『ヤッターマン』は、子供向けなのか大人向けなのか判断に困る点が多い。映画版の『クレヨンしんちゃん』シリーズが子供向けアニメの形をした大人向けアニメなのとは異なる方向性で、下ネタ&下らないギャグが多い。
 世界中から色んなものが消滅して行き、「そして遂に最も消えてはいけないものが消えてしまった!」ともったいつけて何が消えたのかと思えば、「パチンコ」の「パ」だという下らない小学生男子レベルの下ネタギャグ
 ヤッターワンとオッパイを強調したドロンボーのロボットの戦いは、ヤッターワンは「たまらんワン」と興奮して腰を振り(がっすんがっすんと突進する)、ドロンボーのロボットは「あっはーん。あっはーん」と喘ぎ、紛れもなく交尾として描いている
 終盤の、ドクロベエの頭の蓋が開き、阿部サダヲさん演じる海江田博士の顔が除くホラー真っ青な演出
 深田恭子さん演じるドロンジョ以外の、福田沙紀さんヤッターマン2号と岡本杏理さん演じる海江田翔子の粗雑な扱い。特に翔子は、「なぜに?」と疑問を抱くくらい、痛々しい扱い。アイドルである櫻井翔さんですら、馬鹿としか描かれていない
 最後の、ヤッターマン2号に対して翔子がいう台詞、「ありがとう2号さん」に対するヤッターマン2号の台詞、「“さん”は付けなくていいから。“2号”でいいから」のオヤジギャグ。
 全編、寒々しい。酔ってるか、ラリってれば大爆笑間違いなしな演出の連発ではあるけど。しらふで観るものじゃないかもしれない。親子で鑑賞していると、親も所々で笑えるだろうけど、子供とTVを見ていたらいきなり濡れ場が登場してしまったような居心地の悪さを感じるだろう。しかし、完璧に子供向けに作ってある。嫌がらせかと思うくらいに

 実際、かなり完璧な実写化だと思う。日本で作られた漫画映画史上の上位に入る出来上がり。
 しかし、いち映画作品として見れば、間違いなく駄作。物語がつまらない。テンションは無駄に高いのに、ダラダラしている。画面作りが、TVでスペシャルとして放送すればいいんじゃないか、というレベル。そして何よりも、上映時間が長い。笑わせる場面などで、吉本新喜劇のような“間”を置いたり、無駄が多い。特にガンちゃんとドロンジョの恋愛要素が邪魔。あれさえなければ、20分は縮められた。
 三池監督は、観客の嫌がるものを作るのが上手だ。もしかしたら『ヤッターマン』も厭味た~っぷりで作ったのかもしれない。少なくとも、ニヤニヤしながら作ったのは間違いないだろう。“ちゃんと”作った部分と、自分の欲求に忠実に作った部分とがはっきりしてるし。その折衷がもう少し上手であれば、さらに凄い監督へと進化できるのに。それでも『ヤッターマン』は子供向けの雰囲気をまとっているのだから、十分に素晴らしい職人監督だ。自分が子供だったら真似したくなる場面でいっぱいだったし。アニメキャラがやるのと実際に人間がやるのとでは、アホなポーズの威力も段違いだ。確信犯な馬鹿映画
 ただし、馬鹿映画になったのは、三池監督の功績なのか、脚本のせいなのかはわからない。脚本を担当した十川誠志さんは、TVアニメの脚本を主な仕事にしている人で、実写映画でなら最近はあの超駄作『少林少女』を担当した人だ(同年の三池監督の『龍が如く』の脚本も十川さん)。『ヤッターマン』の脚本を読んだわけじゃないからわからないけど、元々馬鹿映画な脚本だったんだろう。それを三池監督が味付けすることで、『少林少女』にならずに済んだのかもしれない。

 『ヤッターマン』は世界マーケットで売れるだろうか? 『スピード・レーサー』が大失敗しているし、無理だとは思う。が、アニメ版の『ヤッターマン』を好きな人も、三池監督映画が好きな人も、かなり満足できる仕上がりになっている。恋愛要素を削除し、20分短ければ、さらに10年以上経っても記憶に残る異常子供映画となったのに。そこだけが惜しいと思う。
 あと、どうでもいいけど、ヤッターマンのロゴマーク、どう見てもブリーフに見えちゃうのは私だけだろうか?
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テーマ : 映画館で観た映画
ジャンル : 映画

tag : ヤッターマン

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プロフィール

ばっどていすとさんどいっち

Author:ばっどていすとさんどいっち
テクノ好き。
アンダーワールドのRez大好き。
映画大好き。
ジャッキー・チェンが生涯の英雄。
生涯1位作品は『ミミズバーガー』。
2位が『溶解人間』。
泣き虫で、馬鹿。
itsuka-omoi-dasu-bts@hotmail.co.jp

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