--------

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2007-11-25

映画秘宝 批判①

 本屋で、『映画秘宝』の最新号を立ち読みした。『映画秘宝』は、数ある映画雑誌の中でも、よく読んでいる雑誌だ。理由は簡単、私がよく観る映画ジャンル(ホラー映画、特撮映画、アクション映画など)の傾向に当てはまる映画を取り上げてくれるのが『映画秘宝』くらいしかないから。ただ、大好きな雑誌というわけでもない。嫌いな部分も多い。特に最新号は、ちょっと残念。

 特集記事に、織田裕二版『椿三十郎』が来月公開されるから、黒澤明監督特集がある。特集といっても、短くて、内容が「黒澤映画の見方を教える」わりに、中途半端。しかも結論は「考えるな、感じろ」。手抜きだなぁ。でもまあ、それはいい。1つ、気に入らない点があった。黒澤監督版『椿三十郎』の紹介について。

 『映画秘宝』の読者なら常識だろうけど(いや、知らないかもしれないから紹介しているのか)、『椿三十郎』最後の場面、三船敏郎さんと仲代達矢さんの一騎打ち場面で、斬られた仲代さんの胸元から血しぶきが3mは吹き出す描写が紹介されている。で、これまた『映画秘宝』読者なら常識だろうけど、その場面は、スプラッター映画の歴史上、後世への貢献度から、とても重要だ。特集記事でもそれに言及し、いかに黒澤映画が凄いか、としているわけだけど――
 あの血しぶき描写は確かに凄い。凄いけど、本当に凄いのはそこじゃない。あの場面、三船さんと仲代さんが対峙して話している間は、辺りにいる小鳥のさえずりがずーっと聞こえる。「チュンチュンチュンチュン」て。ところが、2人が刀を抜かんと身構えた瞬間、小鳥のさえずりが、すーっと消える。2人が抜刀する瞬間まで、無音が続く。私は、この演出が何よりも凄いと思う。
 2人の殺気に気圧され、小鳥まで鳴くのを止め、勝負が決する瞬間を固唾を飲んで待っている――そう思わされる。考えてみれば納得だけど、思いつくようで思いつかない演出だと思うのだ、音を消すって。

 小鳥のさえずりまで消え、周囲は静謐に包まれる。互いに微動だにせず、睨み合いの時間は、十秒か、数十秒かと経つ。
 観ているこっちまで、緊張に手に汗握り、座席からぐっと身を乗り出し、今か今かと訪れる勝負の瞬間を、人によっては思わず息を止めて待つ。時間の経ち方が、実際は短いのだろうが、長く感じる。
 そして2人の刀が同時に抜かれる! どっちが斬られた!? コンマ数秒置いて、仲代さんから血しぶきが上がる! 三船さんが勝った! 
 この場面の血しぶきの勢いは現実離れしすぎてるけど、何もおかしくはない。勝負の瞬間を待った観客の緊張感を開放するには、あれでいいのだ。緊張から弛緩への反動。緊張感の開放として、あの大袈裟な血しぶきは、決して大袈裟ではなくなる。血しぶきの場面だけを見ると大袈裟に思うけど、場面を通して見れば、とても計算されたものだと思う。

 『映画秘宝』だけでなく、『椿三十郎』の解説とか紹介記事はの大半は、血しぶきの凄さを書くけど、「小鳥のさえずりが消える」凄さを書いているのは多くない。娯楽活劇映画としては当然の演出ではあるけど、その当然をちゃんと書かないのはいかんと思うんだよなぁ。
スポンサーサイト

テーマ : 映画関連ネタ
ジャンル : 映画

comment

管理者にだけメッセージを送る

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
プロフィール

ばっどていすとさんどいっち

Author:ばっどていすとさんどいっち
テクノ好き。
アンダーワールドのRez大好き。
映画大好き。
ジャッキー・チェンが生涯の英雄。
生涯1位作品は『ミミズバーガー』。
2位が『溶解人間』。
泣き虫で、馬鹿。
itsuka-omoi-dasu-bts@hotmail.co.jp

最近の記事
プルダウンリスト
プルダウンタグリスト
ブログ内検索
ブログ全記事表示

全ての記事を表示する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。