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2009-02-08

貧困者予備軍が読む門倉貴史さんの『貧困ビジネス』

 門倉貴史さんの新書『貧困ビジネス』を購入。大いにためになる。なるけど、再読するほど価値があるかというと、それほどでもないと思う。

 門倉さんの新書は数多い(単行本も多いけど)。気が付くと出版されている。最近では最も多く新書を出している1人じゃないだろうか。
 門倉さんの仕事は、大きく分けて、「BRICs関連」、「貧困問題関連」、「地下経済関連」の3つになる。専門としては「BRICs関連」なんだけど、最近は専ら「貧困問題関連」の仕事が目立つ。まあ、3つとも共通項があるんだけど。
 本書は、「貧困問題関連」と「地下経済関連」を合わせたような内容。「貧困ビジネス」とは、NPO法人自立生活サポートセンター・もやい事務局長湯浅誠さんによると、貧困層をターゲットにした、貧困脱却に資することのない、貧困を固定化するビジネスを指す。貧乏人がずっと貧乏でいてもらわないと困る人たちがいるわけだ。目次から、各章の題名を見ると――

 第1章 食いものにされるワーキングプア
 第2章 世界中に蔓延する「貧困ビジネス」
 第3章 ますます悲惨な非正規雇用の実態
 第4章 「安全」より「安さ」を選ぶしかない人たち
 第5章 台頭する貧困対応型セックス・ビジネス
 第6章 「規制強化」は貧困層を救うのか

「貧困問題関連」と「地下経済関連」が合わさっているがよーくわかる。最近ので最も面白かった『セックス格差社会 恋愛貧者 結婚難民はなぜ増えるのか?』に関することも入っているし、新書の中での代表作ともいえる『ワーキングプア いくら働いても報われない時代が来る』や宮崎学さんとの共著『大恐慌を生き残るアウトロー経済入門』も入っている。
 要は、いかに貧困者は貧困であるためにもっと大損するか、ということを豊富な例で説明してある。

 富裕層と貧困層の経済市場規模は、貧困層の方が大きく金額も高いらしい。つまり、それだけ貧困者を対象にしたビジネスが多いということだ。その総括的なルポとして、広く浅く簡単に読めることから、本書は価値が高い。読み終えた時点で貧困問題には何が付きまとっているのか目次的に語ることができるようになる。
 しかし、それ以上――軽い世間話で使うよりも深く――知りたい人には物足りないと思う。本書は、貧困問題の入門書の入門書だから。各章は、長くても約40ページに収まっている。短い章は、20ページに満たない。基本的に、問題を紹介するだけに終わっている。だから、現在進行形の貧困者が、どうして自分が貧困なのかを理解するには役立たない。既にどうにもならんだろうし。今後、貧困者となる未来が見えている人には、価値がある。注意しましょう。騙されて食いものにされないために知っておいて損のない知識ばかり。

 本書をきっかけに貧困問題をもっと知りたい人には――ちゃんと門倉さんの別の著作が用意されている。私は気が付くと門倉さんの著作を20冊近く所持している(のに本書を買ってしまった)。きっかけは『日本の地下経済―脱税・賄賂・売春・麻薬』だった(門倉さんの著作は、やはり地下経済関連が最も面白い)。えーっと、今から6年前か。
 この手の「貧困本」を買うのは貧困者予備軍だろうから(本当に困窮している貧困者は買ってる余裕ない)、考えようによっては、「貧困本」も「貧困ビジネス」の一環といえるかもしれない。実際、読むだけ損な、または無闇矢鱈と危機感だけを煽るような、不安に陥り易い人から搾取するような本がある。必要なのは冷静な視点。自分(または社会)のことを客観的に観察できるような。本書のような専門書(新書といえども)に求められるのは、そのような視点の育成・維持にある。
 正直いって本書は、客観的な視点の育成・維持をするには不十分ではあるけど、役立つことは間違いない。近い将来が不安な人は、簡単に読めるので、必読すべし。
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テーマ : こんな本を読んだ
ジャンル : 本・雑誌

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プロフィール

ばっどていすとさんどいっち

Author:ばっどていすとさんどいっち
テクノ好き。
アンダーワールドのRez大好き。
映画大好き。
ジャッキー・チェンが生涯の英雄。
生涯1位作品は『ミミズバーガー』。
2位が『溶解人間』。
泣き虫で、馬鹿。
itsuka-omoi-dasu-bts@hotmail.co.jp

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