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2007-11-21

小さい“つ”が消えた日と、濁点が誘拐された日

 去年の本を今さら取り上げるのも何だけど、今日、本屋で『小さい“つ”が消えた日』を立ち読みした。
 本に付いている帯を見ると、感動した読者がたくさんいるみたいだけど、感動するかぁ?

 ある日、様々な文字が暮らす五十音村から、「っ」がアイデンティティクライシスに陥り、姿をくらましてしまう。他の文字はちゃんと母音があるのに、「っ」にはなかったからだ。「っ」がいなくなってしまうと、例えば、「鉄器」は「敵」に、「失態」は「死体」に聞こえてしまい、世の中は大混乱に陥ってしまう。

 発想は面白い。私も昔、似たことを考えたことがある。いっちゃあ何だけど、この程度の発想なら簡単だ。ただ、それを突き詰めて物語にするには、頭を使わなけりゃいけない。『小さい“つ”が消えた日』の著者であるステファノ・フォン・ローさんは、その点を上手にクリアしている。
 いわれてみればなるほど、と思える発想を基に、「自分探し」を前面に出し、教訓と説教を上手に織り込んで、学校の授業に使われてもおかしくないものに仕立て上げている。でも、それだけ。
 単純な人なら感動するだろうけど、物語としてはありふれてて、何の深みもない。「小さい“つ”が消えた世界」をもっと描いてほしかった。これが例えばガルシア・マルケスさんやボルヘスさんだったらどんなものになったか。または、筒井康隆さんだったなら。

 あと、よゐこだったなら。
 ある日、濱口さんの家に「お前の濁点を誘拐した」と電話がかかってくる。いわれてみれば、確かに濁点の言葉がいえない。だから、濁点を返せといっても、声に出るのは「たくてん返せ!」
 「“たくてん”なんか誘拐してない。誘拐したのは“だくてん”だ」
 有野さん(誘拐犯)は、クイズを出すので、それに正解したら濁点を返すという。しかし、答えはみんな濁点の付く言葉ばかり。

 これは、よゐこの「濁点誘拐」というコントだ(正式名称は知らない)。これは素晴らしいと思った。何年も前(十年くらい前?)にTVで1回見たっきりなので、うろ覚えになってるけど。『小さい“つ”が消えた日』は昨年のもの。ステファノ・フォン・ローさんは知らんのか「濁点誘拐」を? まあ、外国人だし、知ってる方が変だわな。と思ったら、著者経歴を見ると、日本にずっといたんじゃないか。考えりゃ、五十音村とか、「小さい“つ”が消える」なんて骨格は日本向けだ。もしかしたら、「濁点誘拐」を知ってたりして。感動した読者たちも「濁点誘拐」を知らんのだろう。

 濁点を誘拐された濱口さんは結局、「濁点」を「てんてん」と言い換えることを思いつく。それに対し有野さんは、「む、やるな」といって、電話を切る。同時に、濁点は濱口さんに戻る。

 『小さい“つ”が消えた日』の結末もそれなりに「む、やるな」ではあるけど、よゐこのコントよりは出来が落ちる。
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テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

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ばっどていすとさんどいっち

Author:ばっどていすとさんどいっち
テクノ好き。
アンダーワールドのRez大好き。
映画大好き。
ジャッキー・チェンが生涯の英雄。
生涯1位作品は『ミミズバーガー』。
2位が『溶解人間』。
泣き虫で、馬鹿。
itsuka-omoi-dasu-bts@hotmail.co.jp

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