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2009-03-03

『WALL・E/ウォーリー』は傑作になり損ねている

 『WALL・E/ウォーリー』を観た――随分と前にだけど。ソフトがもうすぐ発売されるし、今さらだけど観た感想を。

 廃墟となった高層ビル群の狭間に『ハロー・ドーリー!』の歌が響き渡る冒頭から、大傑作の期待を煽る。ウォーリーの動作や細部に至るまで完璧に作り上げられたCGの技術力は世界最高。廃墟となった地上の造形も細部に至るまで作りこまれ、それだけで見惚れてしまう。さすがピクシー、絶対に期待を裏切らないどころか、いつも期待を上回る。全体の質感は、実写のようでいて、実写になりきらず、アニメとしての質感を残している。主要キャラのデザインも素晴らしい。主人公のウォーリーは昔のロボット映画を彷彿とさせる定番デザインだし、イヴはMacなデザインで高感度高し(IBMなウォーリーと好対照)。主人公のウォーリーやイヴは台詞が殆どなく、動作も限定されているのに、人間以上に愛らしい。お掃除ロボットのモーなんて、ただ掃除しているだけなのに、最も可愛い。
 とにかく、前半が素晴らしい。無声映画のように、殆ど喋らないロボットだけで演出される前半は、感動的な場面がなくても泣けるくらい、素晴らしい。前半をみるためだけに3回も観た。アニメ映画としては世紀の大傑作!
 が、映画全体を見ると必ずしも大傑作ではない。間違いなく面白いし、傑作ではあるし、技術的に世界最高だし、演出力もアニメ映画として最高レベル。それなのに駄目だと思う理由は、後半にある。

 人間が登場してきてから途端に本作の魅力は激減する。人間いらん。予告篇でも人間を登場させてなかったじゃないか。文明が進化して人間が退化した、という物語には文明批判が入っていてSFっぽくてそれなりに面白いんだけど、肝心の人間に魅力が全くない。どうせなら、失われた旧世代文明の生き残り、というこれまた定番のSFファンタジーっぽい設定で、登場人物も1人だけにした方が良かったような。ロボットたちと同様に言葉を喋られない設定にして。録画画像に映る人間は実写(?)なのに、登場人物は戯画化されている変な演出も気になる。本作の評価は、登場人物を評価できるかできないかにかかっている。
 物語もかーなりテキトーだ。ウォーリーの存在自体が都合良すぎる。他に同型の仲間が生き残っていない不思議に、感情が「どうしてか出来上がった」状態を前提として物語が作られている手抜き。まあでも、そんなことにちゃんとツッコミを入れて作っていると余裕で3時間程度の映画になってしまうので、しかたない。子供向けのディズニー映画なんだから、そこを批判するのは愚かな行為。重要なのは演出。物語が駄目でも、子供が大喜びできる夢溢れる演出が満載なら何の文句もない。だって、宮崎駿監督なんて、物語はどうでもいいような映画ばかり作ってる。しかし、本作は演出も平凡だった。
 例えば、実写を意識した、手持ちカメラ風の“揺れ”の演出。臨場感を出す工夫なんだろうけど、アニメでワイド画面に“揺れ”なんて基本的にいらない。“揺れ”が許されるのは、スタンダードサイズまでだと思う。イヴが最初に飛行する場面も、高揚感を煽る音楽を鳴らしている割に、平凡な演出だった。あの場面を見て、宮崎監督の演出は本当に優れていると実感した。どれだけCG技術が進歩しても、『天空の城ラピュタ』や『となりのトトロ』の数々の演出にすら太刀打ちできていない。それだけでなく、イヴの飛行場面に関しては、日本のアニメの方が遥かに優れているものがある。日本のアニメは、セル枚数を少なくするためか、「溜め」から「発動」する動きの演出に優れている。「萌え」アニメだって基本はそこにある。アメリカのアニメは、そこが下手だ。
 できれば最初から最後までロボットだけで物語を作ってほしかった。人間を登場させなくても物語を成立させることはできた。変な文明批判を入れなきゃいいだけなんだし。ロボットが感情や生命に興味を抱くなんて話、日本の漫画やアニメには腐るほどあるし。つか、SFには腐るほどある。後半にある超有名なSF映画のパロディも笑えんかった。日本人的には『アルプスの少女ハイジ』に於ける「クララが立った!」なんだけどね。

 しかし、何より最も駄目なのは、『ハロー・ドーリー!』から引用されている歌の歌詞を字幕なり吹き替えなりでわかるようにしなかった点。台詞のないウォーリーとイヴの「心」の交流は、『ハロー・ドーリー!』の歌だけで表現されているだけに、その最も理解していないと駄目な部分を放置するなんて、それだけで作品の出来を貶めていることになる。これはディズニーの責任だ。ちゃんと作品を理解していないと思えてしまうよ。ソフトではちゃんと歌詞の字幕なり吹き替えを入れるんだろうか?
 所々に見惚れるようなショットはある。ウォーリーとイヴが宇宙空間で踊りまくる場面なんかは、ワイド画面を巧く使った構図で、良い場面だと思う(意味不明だけど)。最後の場面を除き、地上の場面もみんな良い。特に冒頭。『ハロー・ドーリー!』の歌がビルの狭間に反響し、砂埃を巻き上げながら走るウォーリーの登場は良かった。
 ホント、前半だけなら年間トップの出来なだけに、もったいない。

当ブログのもう1つの『WALL・E/ウォーリー』感想→2度目の『WALL・E/ウォーリー』を観る
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テーマ : 映画館で観た映画
ジャンル : 映画

tag : WALL・E

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プロフィール

ばっどていすとさんどいっち

Author:ばっどていすとさんどいっち
テクノ好き。
アンダーワールドのRez大好き。
映画大好き。
ジャッキー・チェンが生涯の英雄。
生涯1位作品は『ミミズバーガー』。
2位が『溶解人間』。
泣き虫で、馬鹿。
itsuka-omoi-dasu-bts@hotmail.co.jp

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