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2008-12-21

『252 生存者あり』はサブプライムな結末の映画

 『252 生存者あり』を観た。想像を絶する駄作だった。だったけど、駄作っぷりに感動するくらいの駄作は久々なので、むしろ観る価値はある。いや、絶対に必見!

 内容は、東京が巨大台風に襲われる大パニック映画――ではなく、数人のこじんまりとしたトラウマを物語る、地味ぃ~な小パニック映画
 はっきりいって、物語はどうでもいい。重要なのは……次々に現れるクライマックス場面! そもそも開始からいきなりクライマックス! 凄い! 明らかに編集を間違っている!!
 まずアバンタイトルがあるんだけど、緊迫感のあるやかましい音楽が流れ、クライマックスの如き盛り上がりなのだ(実際は何にも盛り上がらないけど)。
 なぜか地下に閉じ込められた人々が鉄パイプで壁を叩いている。叩くことで生存者がいることを知らせ、救助を求めているようだ。しかし、何度叩いても反応がない。パイプを持つ掌はボロボロ。そこへ、主人公を演じる伊藤英明さんが現れ――画面は暗転。壁を叩く音だけが響き、真っ暗な画面には、叩く振動によって揺れる水面がCGで演出され、その後にタイトルが現れる。この叩く回数が律儀にゆっくりと2回、5回、2回と行われ、その度にCGがゆらゆら~と揺れて、「いつまで続くんだーっ!」とイライラさせられる。まさかそのイライラ感が全体的なものとは、開始直後は思いもしなかった……
 
 物語は2日前に戻って始まるんだけど、戻っても全く何の説明にもなっていないのが素晴らしい。それならアバンタイトルなくてもいいのに。「前代未聞の巨大台風が接近している」という説明だけで十分なのに、登場キャラの説明のために無駄な場面がたくさん続く。というか、この時点で温水洋一さんがウザい役立たずキャラで登場するんだけど、パニック映画の定石として、こーゆー役立たずキャラが最後に役立つ……かと思ったら、最後の最後まで全く何の役にも立たない。何のために存在してるんだ! 脚本家(または原作者。あ、同じ人か)はアホだね。
 基本的にパニック映画は『ポセイドン・アドベンチャー』を手本にすれば良い。限られた(観客が飽きない長さの)上映時間内に多彩な登場人物の説明と物語の展開を見せるには、本当に教科書のような映画だ(ちなみに『ポセイドン・アドベンチャー』の上映時間は2時間以内。『252 生存者あり』は2時間13分)。教科書的なのは、登場人物に無駄がないから。物語を展開するのに必要不可欠、かつ盛り上げるために必要不可欠な最低限の登場人物が用意されている(豪華俳優陣ではあるけど)。しかし『252 生存者あり』には、無駄で邪魔な人物しかいない。恋愛要素がないのがせめてもの救いか。

 登場人物の設定が色々と間違っているけど、それ以外にも映画の演出として色々と間違っている部分がある(というか、間違ってない部分が少ない)。
 まず、真っ先に思うのが、音楽がやかましい。超やかましい。そこはかとなくハワード・ショアさんっぽい旋律なのに、どんな場面でも「クライマックスどんとこんかーいっ!」の勢いで音楽がけたたましく鳴り響くので、逆に興ざめする。

 大災害の映画なのに、人がたくさん死なない。いや、死んでいるようだけど、死屍累々な場面が1つもない。大災害映画の醍醐味は、死体溢れる地獄絵図にあるってーのに。超手抜き。金返せ。

 スローモーションが多い。しかも、全く効果的でない。全ての無駄なスローモーションの場面を通常の速度にするだけで、上映時間を5分は縮められる

 結末が『マグニチュード  明日への架け橋』と『ホワイトアウト』を足したような駄作っぷり。いや、ホントあり得ない! 思わず噴出して笑ってしまった。
 地下から、他の要救助者はヘリのロープで吊り上げられて救助されているのに、伊藤さんったら、自力で這い上がってくる! しかも、要救助者を背負いながら! どうやって!? まるでマジック革命セロ!
 直前まで伊藤さんが死んだような展開があって、そのどんでん返しとしての演出なのはわかるんだけど、やりすぎだ! もしも伊藤さんの役をベン・スティラーさんが演じていたなら明らかにギャグの場面であることがわかるような結末。あれで感動しろって!?

 その伊藤さんたちの救出劇は、レスキューが伊藤さんたちがいる地下の上部地面を爆破し、穴を開けて地下へ降りて行われる。穴の上空にはヘリが待機しているんだけど、台風のせいで長時間は待機できない。数分間の勝負なのだ。それなのに、地下ではどうでもいい兄弟のほのぼの場面が。さっさと逃げろよ。しかも、台風が変化してヤバイ、と気象庁の人が警告しているのに、無線で地下の伊藤さんらに知らせもせず、ほのぼの。さっさと逃げろっつーの。
 また、穴付近の崩落が凄い筈なのに、伊藤さんが生き残っていると知るや、「252ぃー! 生存者ありーっ!」と叫んでみんな穴に近寄る。おいおい、崩れ落ちてみんな死ぬぞ。

 パニック映画の定石として、主要人物の誰かが死んで犠牲になってみんなが助かる、という展開があるべきなのに、誰も死なない。死ねよ。ムカつくキャラばかりなんだから。
 特に伊藤さんの娘役。他人様に力一杯迷惑かける馬鹿は子供といえども死ぬべきだ。ちなみに、その娘が救助され、母親と感動の対面をする場面が、まだ他にも要救助者がいるってのに、『252 生存者あり』のクライマックスになっている。しかも、その場面は全てスローモーション。脚本家は本気でアホだと思います。

 娘といえば、理由は不明なんだけど、唖で喋れない設定になっている。それが最後、伊藤さんが死んでしまったドッキリ展開の場面で、「ぱぁー……ぱぁー……!」と泣き叫ぶ。本当ならここで感涙すべきなんだろうけど、この娘のせいで危機に陥ったことを考えれば、むしろその身勝手さにムカついてしまう。
 あと、どう考えても唖になったのは父親である伊藤さんに原因がある裏設定がありそうなんけど、それを劇中で説明しないと、それまで一言も喋らなかった娘が最後に泣き叫んで呼ぶ展開が盛り上がらない。
 例えば次のような展開でもあれば良かった。
 伊藤さんには最初は子供が娘と息子の2人いた。運悪くその2人が事故に巻き込まれて、レスキューに駆けつけたのが伊藤さん。しかし、その事故で息子は死亡。その様子を見ていた娘はショックから喋れなくなった。それ以降、伊藤さん夫婦の仲も冷めてしまう。
 ベッタベタの展開だけど、これなら最後に娘が喋る意味があるし、夫婦仲が戻って万々歳だ。そんなことすら放棄して、下らない兄弟の絆(何の役にも立たない)を描いて(しかも下っ手くそに)どーすんだ。やっぱアホだろ脚本家は。クレジットされている脚本家は2人いるのに、2人がかりで何してたんだろ。

 たぶん、それなりに科学的検証を行っているんだろうと思われるけど、めっちゃくちゃ。『ボルケーノ』みたい。
 それに、途中から巨大台風の話は完全に忘れ去られてしまう。同時に、何の映画だったのかも忘れてしまいそうになる。運悪く地下鉄構内に閉じ込められた人々の話……だったっけなぁ?

 そもそも、よーく考えたら、いちいち「252ぃー! 生存者ありぃー!」と叫ばなくても、「252ぃー!」か「生存者ありぃー!」のどちらかを叫べばいいんだよね。
 何度も何度も題名を叫ぶのは、サブリミナル効果を狙っているのかも

 全ての展開が確率的に絶対にあり得ない(東京の人口が約1300万人だから、諸々の展開はことごとく数京分の1以下だろう)。偶然の連続にも程がある。特に、輸血のシークエンス。笑った。大災害に巻き込まれる人の中に、新開発した熱帯魚用の水槽の循環器を肌身離さない人と要輸血者と研修医と元レスキュー隊員が一緒にいる確率って、どんな都合の良い話だよ。
 パニック映画としては、『ポセイドン・アドベンチャー』より、『デイライト』を思いだすなぁ。

 エンドクレジットで、主人公らのその後が描かれている――と思いきや、あれ? 既に見たことのある場面が映されるので、もしやNG集!? かと思いきや、単なる名場面集だった。しかし、ちっとも名場面でない、どうでもいい場面ばかり。何の意味があるのだ?
 最後に思い出に浸ることすら許されない

 他にも色々あるけど、とりあえず総括的にいえることは、「脚本が酷い」と「演出が馬鹿」の2点に絞れる。小森陽一さんはもう映画に関係するなといいたい。せめて『ポセイドン・アドベンチャー』の完全パクリにでもなってりゃ良かったけど、それすらできてない。考えれば『海猿』だってつまんなかったんだ。もうね、漫画原作でもレスキュー関係の話はやめたらどうですかね。つまんないんだし。
 監督の水田伸生監督は、前作の『舞妓 Haaaan!!!』が意外と面白かったんだけど、あれは脚本家の宮藤官九郎さんの全面的な手柄だったのだなぁ、と今は実感。『舞妓 Haaaan!!!』が中盤以降から面白くなかったのも、脚本のせいだし。
 やっぱ、まずは脚本が良くないと駄目かも。最低限のレベルってのはある。物語がメッチャクチャでも演出だけで面白く見せられる宮崎駿監督は、本当に特別なんだと思う。普通、脚本が駄目なら『252 生存者あり』みたいになってしまうから。

 しかし、ツッコミ甲斐のある映画なので、映画にツッコミを入れるのが好きな人、駄目さ加減を喜べる人には超オススメ。私は、根がヒネクレているから、かなり好きだ。今年のベスト10に入れてもいいくらい。
 これなら来年公開の『感染列島』も大いに期待できそう(悪い意味で)。
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テーマ : 映画館で観た映画
ジャンル : 映画

tag : 252 生存者あり

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プロフィール

ばっどていすとさんどいっち

Author:ばっどていすとさんどいっち
テクノ好き。
アンダーワールドのRez大好き。
映画大好き。
ジャッキー・チェンが生涯の英雄。
生涯1位作品は『ミミズバーガー』。
2位が『溶解人間』。
泣き虫で、馬鹿。
itsuka-omoi-dasu-bts@hotmail.co.jp

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