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2008-12-17

『崖の上のポニョ』で想うこと

 私が『崖の上のポニョ』を観たのは4ヶ月以上前。それを今さら感想っていうのも何だけど、上映している映画館はまだある。物凄い人気っぷり。確かに、間違いなく傑作で面白い。面白いけど、異常な映画だ。しかし何よりも異常なのは、そんな異常な映画が大ヒットし、観客から絶大な支持を得ていることだ。
 観客に自主的な物語の補完を促す、非常に手抜きな映画。にもかかわらず、大ヒットし、感動を呼んでいる。考えると、その傾向は『紅の豚』から始まっている。宮崎監督は、意図的に「何だこりゃ?」という映画を作るようになってきている。
 『もののけ姫』から宮崎監督作品の質が変わった、と1つ前の記事で述べたけど、同時に興行成績もそこから一気に跳ね上がっている。宮崎監督作品の歴代の興行成績は次のようになっている。
 
 『風の谷のナウシカ』(1984年) 7.6億円
 『天空の城ラピュタ』(1986年) 5.8億円
 『となりのトトロ』(1988年) 5.9億円
 『魔女の宅急便』(1989年) 21.5億円
 『紅の豚』(1992年) 28億円
 『もののけ姫』(1997年) 113億円
 『千と千尋の神隠し』(2001年) 304億円
 『ハウルの動く城』(2004年) 200億円

 『ルパン三世 カリオストロの城』は、興行成績の記録がないので不明。
 こうやって見てみると、『もののけ姫』から宮崎監督作品の質は変わり、同時に興行成績が今までの4倍にも跳ね上がっているのがわかる。ちなみに、『もののけ姫』の製作費は、23億円。『紅の豚』の興行成績の約8割。殆ど冒険に近い投資だ。下手すると赤字かトントンの可能性が高かったのに、何でそんな冒険ができたのか?
 『もののけ姫』が公開された1997年は、『新世紀エヴァンゲリオン』の劇場版が公開された年でもある。何となく、アニメの世間的認知度がそれまでと違ってきた頃だった。実際、『もののけ姫』と『新世紀エヴァンゲリオン』が対決するような雰囲気もあった。そんな時代の雰囲気の後押しもあったろうけど、それにしたって一気に興行成績が4倍になる理由にならない。だって『もののけ姫』、わけわかんない物語なんだもん。その次の『千と千尋の神隠し』は、さらにわけわかんない物語になり、『ハウルの動く城』も意味不明度がパワーアップし、『崖の上のポニョ』は投げやり映画だ。『崖の上のポニョ』を最初に観た時、まず思ったのが「こんな変な話に感動する奴はいるのか? みんな、理解できるのかなぁ?」だった。大してヒットしないだろう、とも。しかし実際は違った。
 『もののけ姫』以降の宮崎監督作品は、観客の多くが理解できていないと思う。映画自体がムチャクチャなんだから当然だ。しかし、それなのに大ヒットしている。そこにはブランディングの成功がある。

 今では邦画史上のベストの1本として挙げられる『となりのトトロ』は、宮崎監督作品中、興行収入ではワースト2位。だのに今では「トトロ」がジブリのトレードマークだ。どうしてそんなことになったのか。
 昔、『天空の城ラピュタ』や『ルパン三世 カリオストロの城』は地方のTV局でも日曜日の昼とかに放送されていたけど、ある時期から全くそれがなくなった。ジブリ作品の製作に日本テレビが加わってからだ。『紅の豚』以降から製作に日本テレビ放送網が加わっているので、日本テレビが独占放送できている。権利料は地方局が払えないくらい高額なのだ。
 日本テレビが独占放送するようになってから、ジブリアニメのブランド化が始まった。興行収入は跳ね上がり、作家としての認知度は国民的なものにまでなった。宮崎監督が亡くなったら、間違いなく国民栄誉賞が授与されるだろう。今の邦画界で、それだけの監督は他にいない。

 『もののけ姫』以降の宮崎監督は、傍若無人だ。『崖の上のポニョ』には、それが如実に表れている。あと何本作る気があるのか知らないけど、もっともっと傍若無人になってほしい。
 例えば、好き嫌いを別にして評価すれば、私の今年のベスト1である『WALL・E/ウォーリー』は、『崖の上のポニョ』の足下にも及ばない映画だった。日本のアニメがいかに優れているか、『WALL・E/ウォーリー』を観ることでとてもよく実感できる。また、メジャーな大作の邦画を観ると、宮崎監督作品と比べ、いかにショットが駄目かよーくわかる。傍若無人な宮崎監督作品は、映画はいかにして映画であるか、それを学ぶに適している。何といっても子供向けだから、映画の英才教育にはもってこいだ。
 もしかしたら宮崎監督は、邦画史上初めての監督かもしれない。中身がなくても映画らしい映画を力業で撮り、大ヒットさせられる監督として。その異常性は、スティーヴン・スピルバーグ監督と同等のものだろう。
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テーマ : 映画関連ネタ
ジャンル : 映画

tag : 崖の上のポニョ

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プロフィール

ばっどていすとさんどいっち

Author:ばっどていすとさんどいっち
テクノ好き。
アンダーワールドのRez大好き。
映画大好き。
ジャッキー・チェンが生涯の英雄。
生涯1位作品は『ミミズバーガー』。
2位が『溶解人間』。
泣き虫で、馬鹿。
itsuka-omoi-dasu-bts@hotmail.co.jp

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