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2008-11-15

『ピクサー・ショート・フィルムズ』でピクサーの良さを再認識

 『ピクサー・ショート・フィルムズ&ピクサー・ストーリー完全保存版』を観た。いや~、感動しました。
 ピクサーの一番古い短編は、24年前の『アンドレとウォーリーB.の冒険』で、私が大好きな『ルクソーJr.』は、その次に古い22年前の作品だ。『アンドレとウォーリーB.の冒険』はさすがに今観ると古臭いんだけど、『ルクソーJr.』は、アイデアの素晴らしさゆえに、全く古臭さを感じさせない。収録されているので最も新しいのは、2年前の『メーターと恐怖の火の玉』になり、全部で13作品が収録されている。その中で最も素晴らしいのは、やはり『ルクソーJr.』だ。

 高校生の頃、『ルクソーJr.』を観て衝撃を受けた私は、思い入れが強いから、ちょっと贔屓目に見ている部分はある。しかし、スティーヴン・スピルバーグ監督にとってのアンブリンロゴになった『E.T.』のワンシーン、ディズニーにとってのミッキーマウスジブリにとっての『となりのトトロ』、それらと同じような価値が『ルクソーJr.』にはある。だから、ジョン・ラセターさんが監督している作品、初期作品が最も面白い。その頃はまだピクサーとして長編映画を作ってなかったから、長編を作るようになってから作られたのものよりも、意気込みが強い。数分間の短編で世界を驚かしてやろうとしている。
 全作品に製作者の音声解説があって、それによると、『ルクソーJr.』で最も難しかったものは、波打つコードの動きと、ボールの回転だったそうだ。コードの動きは手作業で行ったけど、ボールの回転だけはそうもいかず、ラセターさんは高価なコンピュータを前にして、ボールの回転を電卓で計算。何度やってもボールがちゃんと回転しないから、結局、新たにプログラムを開発してもらったそうだ。常に最新技術が求められるCGアニメだけに、アニメ作家の「やりたいこと」とCG技術者の「できること」の衝突がピクサーを育てたんだなー、と音声解説を聞いているとわかる。ピクサーの発展は、そのまま世界のCG技術の発展と繋がっている。
 
 『ルクソーJr.』は、物語のあるCGだけのアニメーションなんて見たことのない時代に登場した。一般的に3DCGは、円錐や球体がクルクル回って動いたり、ガラス球が球体内に屈折した画像を反映させながら動くような映像しか知られていない時代だ。ポリゴンなんて技術は知られておらず、例えばTVゲームで当時の最高技術を使ったものは、セガの『アウトラン』だった。
 その頃に最も話題となったアニメは、大友克洋監督の『AKIRA』だけど、その作品内で使われたCGですら、『ルクソーJr.』に比べたら貧弱なものだった。使われたCGは、超能力の「力」を示す立体グラフの表現で(他にあったか覚えていない)、かなり誇らしげに「カッコイイだろ!」みたいなことを喧伝していた。確かに、当時の私は「凄い! カッコイイ!」と思った。まだ『ルクソーJr.』を知らなかったし。
 ちなみに『AKIRA』は20年前のアニメ映画だけど、今観ても大傑作だ。怒根性を要する手描きアニメの極限作品だと思う。もしも宮崎駿監督の『崖の上のポニョ』が『AKIRA』と同時期に公開されていたら、大してヒットしてなかっただろう。『崖の上のポニョ』は映画として素晴らしいけど、アニメの歴史の中では凄い作品ではない。手描きアニメなんて昔は当然だったし、それが売りになる時代が来るとは想像もしなかったし。
 『AKIRA』の登場によって、日本のアニメは「密度」を競うようになった。大友監督はその方向性で未だに誤った道を歩んでいる。ピクサーは同じ頃、全く別の方向性で「密度」を高めていた。

 アニメーションの魅力は、止まっている画像が動くことにある。同時に、ピクサーのアニメは、「常識の視点」でない視点で物事を捉えている点に魅力がある。それが最も上手に表現されているのが『ルクソーJr.』だし、ピクサーの全ての長編映画はその発展系といえる。世界には「常識の視点」でない視点がある可能性と、その可能性の魅力を示している。
 空想の世界に浸ったことのある人なら、『ルクソーJr.』の凄さがわかると思う。あれが手描きのセルアニメだったなら、凄いと思わなかった。写実的な3DCGアニメだったから、凄かったんだ。何というか、心の目が開くような衝撃を受けた。
 『ルクソーJr.』の発想は、ピクサーの代名詞になるような短編アニメを作ろうと考えていた時、机の上にあったライトを見て閃いたそうだ。ライトが人間みたいに動いたら面白いだろうな、と。実際、面白かった。日常を見る目が変わるくらいに。
 今、アニメで日常を見る目が変わるくらいの作品はあるだろうか? ピクサーの作品以外には、殆どない。学生や素人が作るアニメを観ても、単純な物語表現に堕したものばかりだ。その物語がずば抜けて面白くて、アニメでしか表現できないならまだしも、別にアニメで作らなくてもいいのに、という作品ばかりだ。さらにいえば、子供の想像力を刺激するようなものとなると、皆無に等しい。辛うじて宮崎監督だけは、物語に堕することから逃れられている。
 私もオタクの端くれだから、日本のオタク向けアニメは好きだけど、そんなのばっかな状況にはゲンナリだ。だから、『ルクソーJr.』を観ると、原典に戻った感じがする。アニメの――空想の――基本がここにある、と。

 しかし、正直いって、短編集に収録された殆どの作品は、面白いだけで、技術的に凄いけど、大した作品じゃない。凄いのは、『ルクソーJr.』、『レッズ・ドリーム』、『ティン・トイ』、『ニック・ナック』の4作品だけ。つまり、初期作品だ。それらは、常識を覆す視点に満ちたアイデアと、それを実現させた技術力の融合が高い次元で実現されている。今観ると技術的には古すぎるけど、アイデアが価値を貶めていない。
 初期作品は、ビデオの『Tiny Toy Stories』にしか収録されていないので、今回の短編集を買う価値はある。他の短編作品は、『バグズ・ライフ』以降の長編作品のDVDにオマケとして収録されているので、そちらを揃えているなら、短編集を買う必要はない。あ、でも、アメリカ版には付いていないピクサーのドキュメンタリーが付いているから、ピクサーのファンならやっぱ買って損はないか。

 ところで今回の短編集、アメリカでは1年前に発売されていた。その時に買おうか考えたんだけど(特に英語力を必要としないし)、何か理由があって諦めた(理由を覚えてない)。ようやく発売された待望の日本版を購入すると、題名に、アメリカ版にはあった「Vol.1」が付いていないことに気付いた。「Vol.1」となっているのだから、続きが出るんだろうけど、日本版はそうじゃないのだろうか? 基本的に発表された短編は揃っているので、「Vol.1」は今後を見越してのナンバリングなんだろう。
 あと、アメリカの『WALL・E/ウォーリー』の公式サイトを見たら、11月18日にもうDVDとブルーレイが発売されるようだ。ま、アメリカの公開は6月だし、そんなもんか。
 うーん、買って日本公開前に観てしまおうか我慢するか……

 どうでもいいことだけど、日本で最も優れたアニメのジャンルは、実はアダルトアニメではないだろうか?

Luxo Jr.
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テーマ : 映画関連ネタ
ジャンル : 映画

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プロフィール

ばっどていすとさんどいっち

Author:ばっどていすとさんどいっち
テクノ好き。
アンダーワールドのRez大好き。
映画大好き。
ジャッキー・チェンが生涯の英雄。
生涯1位作品は『ミミズバーガー』。
2位が『溶解人間』。
泣き虫で、馬鹿。
itsuka-omoi-dasu-bts@hotmail.co.jp

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