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2008-10-27

『ハンコック』は、とっても惜しいけど、駄作

 ウィル・スミスさん主演の『ハンコック』を観た。スミスさんの前作である『アイ・アム・レジェンド』と同様に、前半は面白いけど、後半は丸ごと駄目な映画だった。

 超人的な身体能力を持つ主人公ハンコックは、その能力を持て余し、人助けをしても逆に迷惑をかけてばかりで、みんなに嫌われていた。銀行強盗を退治しても、その過程で多大なる器物損壊をし、後始末に途方もないコストがかかるため、せっかくの善意が無駄になる。
 しかし、それを見るに見かねた広告プランナーが、ハンコックをみんなに好かれるスーパーヒーローへと作り変えようとする。まずは謝罪。ヒーローには欠かせないコスチュームの用意。みんなに好かれるための礼儀作法。
 最初は訝しがっていたハンコックだけど、効果はてきめん。みんなに好かれるヒーローへと変わっていく。

 はっきりいって、ハンコックは今のアメリカそのものだ。頼まれもしないのに正義の味方面して、莫大なコストのかかる戦争をおっ始め、まとめるどころか大混乱に陥らす。『ハンコック』はふざけた映画のフリして、その実、深いテーマを内包している。
 監督は、アメリカのイラク攻撃を辛らつに批判した『キングダム/見えざる敵』のピーター・バーグ監督。『キングダム/見えざる敵』から一転してアホみたいなヒーロー映画を撮ったかと思えば、それは表面だけで、中身はまたアメリカの現状批判だ。
 後半、ハンコックは、不死身で空まで飛べて超怪力のスーパーヒーローなのに、普通の武器しか持たないチンピラ悪党3人に苦戦し、危うく殺されそうになる(最後は素手で負ける)。この展開もアメリカ批判だろう。つまり、圧倒的武力でもって簡単にねじ伏せられると思ったベトナムに苦戦し、イラクでは最悪のどん詰まりを見せているアメリカを、ハンコックがチンピラ3人に苦戦する状況と被せてあるのではないか。
 バーグ監督作品には『ベリー・バッド・ウェディング』というブラック・コメディがあり、『ハンコック』もその系統だけど、バカ映画を装った社会批判の映画なのだ。ただし、前述したように、面白いのは中盤まで。

 中盤以降は、スーパーヒーロー同士の恋愛と痴話喧嘩という、かなりどうでもいい展開になる。『アイ・アム・レジェンド』も、今だからこそ活きる現代的なテーマを内包した面白い展開にできたのに、後半で一気に駄目になる。『ハンコック』も同じ。何で最初の意気込みで最後まで突っ走らないのだろう? 『キングダム/見えざる敵』みたいに最後まで徹底的に批判的な映画にしたら傑作になっただろうに。
 後半、たかがチンピラ3人組に苦戦するのが、面白くなさに拍車をかける。何で苦戦するのか、理由はある。あるが、恋愛絡みなため、無駄に娯楽性が削がれてしまい、面白くない。強いヒーローは、強いままに苦戦しなければならない。
 結局、社会批判+コメディ+SFアクション+ロマンス、というムチャな贅沢を望もうとして、全てが中途半端になってしまっている。それぞれの要素を入れたはいいが、統一できてない。明らかに脚本の失敗だ。ロマンスは省くべきだった。

 スミスさん自身が製作者に名を連ねているので、作りたくて作った映画なんだろうけど、想った通りの映画になったのだろうか?
 主人公・ハンコックの名前は、アメリカの独立宣言に署名した最初の人であるジョン・ハンコックさんが由来だろう(白人だけど)。ハンコックさんはまた、当時の「黒人には大した知性がない」という常識を批判した人でもある。そのハンコックさんの名前を使用したのは、意図があるに決まっている。『アイ・アム・レジェンド』では、ボブ・マーリーさんを物語内での思想の核とし、『ハンコック』では、ハンコックさんの名前を主人公としている。つまり、『ハンコック』もスミス節の俺様世界一映画なのだ。偉人を譬えに出し、自らが偉人を演じようとしているスミスさんに対抗できるのは、メル・ギブソンさんくらいのものだろうなぁ。
 一番最後にハンコックがいう台詞である「世界を変える」は、素晴らしい響きを持っているけど、実際には空疎なだけで、ちっとも響かないんだよねぇ。そこまで考えた上でのアメリカ批判映画というなら、素晴らしい傑作だと思うけど、それはないか。
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テーマ : 映画館で観た映画
ジャンル : 映画

tag : ハンコック

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プロフィール

ばっどていすとさんどいっち

Author:ばっどていすとさんどいっち
テクノ好き。
アンダーワールドのRez大好き。
映画大好き。
ジャッキー・チェンが生涯の英雄。
生涯1位作品は『ミミズバーガー』。
2位が『溶解人間』。
泣き虫で、馬鹿。
itsuka-omoi-dasu-bts@hotmail.co.jp

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