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2008-10-22

古川日出男の『聖家族』がG・G=マルケスっぽい

 買ったばっかで殆ど読んでないんだけど、古川日出男さんの最新作『聖家族』は、出だしの1行目から傑作な感じがする。まあ、傑作揃いの古川さんだから、という予測の立て方ではあるけど。

 『聖家族』を一言でいうと、ガブリエル・ガルシア=マルケスさんの『百年の孤独』のような感じ。そんな感じの日本の小説、最近もありましたな。桜庭一樹さんの『赤朽葉家の伝説』だ。
 あれは、完全に『百年の孤独』だった。誰が読んでも、『百年の孤独』だった。1行目から、誰がどう読んだって『百年の孤独』だった。だったけど、『百年の孤独』を読んでいれば読む必要はない、という作品じゃあなかった。そもそも全体が『百年の孤独』ってわけじゃなかった。どっちから出会うべきか、人によっては評価がわかれそうな傑作だった。
 血湧き肉踊るような娯楽小説も面白いけど、「何なんだこれは!?」と驚きながら読む小説も面白い。『赤朽葉家の伝説』はそのタイプの小説で、そんな小説が私は大好きだ。桜庭さんもマルケスライクな小説を書くけど、古川さんも同じ。前からそーゆー感じはあった。『ベルカ、吠えないのか?』とか。『アラビアの夜の種族』の、話の中に話が入っているのも似ているっちゃあ似ている。

 私は、安部公房さんから強い影響を受けた。安部さんがいなかったら、小説なんて読んでなかった。高校生の時の教科書に安部さんの「鞄」という短編が載っていて、それまで小説どころか教科書どころか文章すらまともに読めない激烈超大馬鹿の私が(漫画でも字の多いのは読めなかったくらい)、なぜか物凄く衝撃を受けた。短編で読み易かったのもあるだろうけど、後から何回思い返しても、なぜ「鞄」に衝撃を受けたのかさっぱりわからない。とまれ、「鞄」がきっかけで小説(というか、漫画以外の活字媒体)を読むようになった。
 マルケスさんを読んだのは、安部さんの影響だ。安部さんが「マルケスは凄い凄い」って褒めてて、「百年に1人の天才」とまで評価していたから読んでみたら、これまた凄い衝撃を受けた。何だこのわけわかんないお話は!? でも、隅々まで面白い! 凄い!
 表現というものに凄い力がある、と感じたのは、マルケスさんのお陰だ。ノーベル文学賞を獲っている作家の中でも、とび抜けて凄いと思うのは、マルケスさんだ。そしてそれを知ることができたのは、安部さんのお陰。今の私は、安部さんの「鞄」と出会ってなければ、存在していなかった。激烈超大馬鹿だから、高校を卒業できず、まともに働くこともできず、無職のままで、親に生活を見てもらって、安っぽい犯罪者になっていたに違いない。今、楽しく生きていられることに関し、安部さんは私の恩人なのだ。安部さんが死ななければ――もう少し長く生きていれば――ノーベル文学賞を獲ったのは大江健三郎さんでなかった(と、大江さん自身も語っていた)。
 ちなみに安部さんは、エリアス・カネッティさんも褒めてたので、カネッティさんも読んだ。正直いって難解だった。私が激烈超大馬鹿だったせいもあるだろう。その頃は他に、ホルヘ・ルイス・ボルヘスさんも読んだし、マリオ・バルガス=リョサさんも読んだし(安部さんはリョサさんを評価してなかったけど)、フリオ・コルタサルさんも読んだ。今まで小説を読んだことがなかったのに、いきなり高難度の作品ばかり読んでしまった。だからか、ちょぉーっとだけ、頭が良くなった気もした。気のせいだったけど。
 娯楽小説で世界最高の1人だと思う、中国の金庸さんの武侠小説も凄い。知人に貸してもらって、そのあまりの面白さに驚愕したものだ。金庸さんも、マルケスさんと同じように出てくる挿話がことごとく面白い。主軸の物語から脱線しまくるのに、その脱線した話がメチャクチャ面白いのだから困る。あれもマジックだ。リアリズムはないけど。
 SFでは、イアン・マクドナルドさんの『火星夜想曲』も『百年の孤独』っぽい。あれも面白かった。
 関係ないけど、スティーヴン・キングさんが安部さんの作品が好きだとエッセイに書いていたのは、ちょっと嬉しかった。キングさんの作品も好きだったので、意外なところで繋がるもんだ。

 話が大幅に脱線してしまったけど、古川さんの『聖家族』は、とにかく面白そう。人を選ぶだろうけど。でも、読むなら、若いうちがいいと思う。色んなものが決まり固まった歳になってからより、まだ何にも決まらない固まってない歳に読んだ方がいいと思う。安部さんやマルケスさんの作品みたいに、人生を揺さぶる感動と驚きに満ちているか、単なるスタイルの模範に終わっているかは、まだわからない。古川さんがデビューしてから十周年目の小説なので、節目の集大成といえる傑作になっているのは間違いない。読み始めたばっかだけど、『聖家族』はそう思わせる。
 大いに期待しています。
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テーマ : オススメ本
ジャンル : 小説・文学

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プロフィール

ばっどていすとさんどいっち

Author:ばっどていすとさんどいっち
テクノ好き。
アンダーワールドのRez大好き。
映画大好き。
ジャッキー・チェンが生涯の英雄。
生涯1位作品は『ミミズバーガー』。
2位が『溶解人間』。
泣き虫で、馬鹿。
itsuka-omoi-dasu-bts@hotmail.co.jp

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