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2007-10-29

榎本俊二『ムーたち②』を読む

 榎本俊二さんの漫画は、代表作である『えの素』と『ゴールデンラッキー』共に傑作だけど、それ以外の短編集とかも傑作揃い。個人的に最高傑作だと思うのは『enotic』だと思う。地下沢中也さんとの合作「われら動物家族!」が収録されているからだ。

 地下沢中也さんは熱心な漫画読みなら知っている作家だと思うけど、そうでない人にはあまり知られていないかもしれない。凄い作家なので、知らない人は探してでも読んでほしいな。

 「われら動物家族!」は、動物園にいる動物親子の話。お父さんが象、お母さんがキリン、長男がライオン、次男が猿、末娘が蛇、お爺さんが和式便所。ここがとんでもない設定。お爺さんが、便所なのだ。それで何の違和感もなく話は展開する――
 お爺さんは、みんなのウンコをもっしゃもっしゃと食べる。食べながら、家族の体調を心配したりする。お父さん象に「お前、最近、呑みすぎだな」とか。悩みを聞きつつ、答えつつつ、ウンコやオシッコを飲食する。ただ、水洗じゃないから、ちりし(トイレットペーパーのこと)で喉を詰まらせたりする。
 とりあえず、家族は仲良しだ。末娘蛇を除いては。
 末娘蛇は、次男猿と一緒の檻に入っている。次男は猿だけに悪戯好きで、末娘蛇は一緒の檻なのが嫌でたまらない。何とかしてお兄ちゃん猿と違う檻に行きたいと、お父さん象にいつも頼むのだが、聞いてもらえない。しかも、猿は人気があるからと、次男猿がいつも優遇されるので、「お兄ちゃんばっか、ずるい!」と怒る。お父さん象は、「猿は人気者だしな。蛇は嫌われ者だから、仕方ない」と冷たくいう。
 そこである晩、末娘蛇は、エロに目覚めている長男ライオンに、セックスさせてやる代わりに次男猿を食べるようそそのかす。エロの誘惑に逆らえず、末娘蛇と寝、次男猿を食う。
 朝、次男猿がいないことに気付いたお父さん象に、良心の呵責に耐え切れず、長男ライオンは、自白する。「ごめん! 弟食べたんだ!」と。お父さん象は、叱責するかと思いきや、「ま、俺たちゃ野生動物だ、弱肉強食なんだし、しょうがねぇな!」と怒らない。
 その上、末娘蛇が妊娠してしまったので、長男ライオンは、「ごめん! 妹犯したのも俺なんだ!」と自白する。お父さん象は、「ま、俺たちゃ野生動物だ、何でもありだ! めでてぇ!」と喜ぶ。
 みんなに怒られるどころかお祝いされた長男ライオンは、お爺さん便所へウンコついで喜びを伝えに行く。「じいちゃん! 俺、オヤジになるんだぜ!」
 ウンコを食いながら、お爺さん便所は、「そうか、めでてぇな!」と喜ぶ。その時、食べているウンコから声がする。
 「じいちゃん、俺だよ。クソになっちまった」次男の猿だった。
 「おー、猿か。お前、兄ちゃんを恨んじゃいけねぇぞ。野生動物の世界は弱肉強食だからな」
 「ああ、別に恨んじゃいないよ。俺思ったんだ。こうやって俺は兄ちゃんに食われて、クソになった。どんだけ強くても、食われりゃクソになる。そのクソをじいちゃんが食ってる。てことは、弱肉強食の頂点にいるのは、便所のじいちゃんじゃないのか、って。だから俺も次は便所になるよ」
 「駄目だ! 止めとけ! 便所だけにはなるな!」
 お爺さん便所の心配も空しく、その後、次男猿は宣言通り、便所に生まれ変わる。お爺さん便所の隣で、洋式水洗便所として。和式より洋式の方が人気があり、水洗ですらない和式便所のお爺さんは、洋式水洗便所の次男にウンコオシッコを独り占めされ、飢えてしまう。どこの世界にも弱肉強食はある。

 ――と、こんな話。こんな凄まじく変な話、他にあるだろうか? ムチャクチャなのに、変に整合性がある。哲学的なようで、バカ。バカなようで、真理。そして、センス・オブ・ワンダーという点で、SF。私は大傑作だと思っている。この短篇を読むためだけに『enotic』は購入する価値がある。何となく気になった人は、迷わず買いましょう!
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テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

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プロフィール

Author:ばっどていすとさんどいっち
テクノ好き。
アンダーワールドのRez大好き。
映画大好き。
ジャッキー・チェンが生涯の英雄。
生涯1位作品は『ミミズバーガー』。
2位が『溶解人間』。
泣き虫で、馬鹿。
itsuka-omoi-dasu-bts@hotmail.co.jp

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