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2008-07-30

『スピード・レーサー』は懐かしい映画

 『スピード・レーサー』を観た。聞きしに勝る馬鹿な映画で、私は大喜びしてしまった。予告篇を見る限りでは、「ちょっといくらなんでも酷すぎる駄作だな。ウォシャウスキー兄弟も終わったな」と思っていたけど、まさかの大逆転(個人的に)。映画館内も静まって盛り上がるどころか失笑だらけだったのに、私ときたら感動で涙が止まらなかった。おかげでよーくわかった。私は物凄い馬鹿なんだってことが。

 いや、でも、真っ当に映画を評価するなら、間違いなく駄作だ。人物描写は薄っぺら。殆どの会話場面では、登場人物は上半身しか映らず、しかも向き合って話すことがほぼなく、演出は左右横移動のワイプばっか。喋っている間に背景が激しく移り変わる。レース場面は、CGに頼りすぎで、かつその演出がマリオカートワイプアウトみたいで、車が走っているというよりは、ツルッツルと滑っている感じで、迫力も緊張感もなく、盛り上がらない。色彩が原色すぎて、目がチカチカする。物語は単純すぎて、子供向けアニメ以下。良い部分は殆どない。アメリカで興行成績が大惨敗したのも当然。駄目なハリウッド映画の典型。
 では、私にとってどこが良かったのかというと、その駄目な点の全て。余りの酷さに、楽しくなってしまって、終いには大好きになってしまった。
 
 最も感動したのは、何が起きているのかさっぱりわからないレース場面だ。本当に、何が起きているのかさっぱりわからない。車が「バーンッ!」て跳ね上がって、「ぐるぐるぐるーっ!」て回転して、カメラはそれを上回る勢いで車の周りを動く。カメラアングルが異常なテンション。誰がどこを走っているのか位置関係がさっぱりわからない。
 最後のレースなんて、コース自体が一時も落ち着かない色彩で、その後半部分は最早、ドラッグムービーだ。スタンリー・キューブリック監督の『2001年宇宙の旅』の最後のスターゲートの場面(幾筋もの光が溢れる場面)を何十倍も凄くしたような場面が延々と続く。それが「マッハGoGoGo」のテーマ曲に乗って繰り広げられる。
 さらに、レース後の表彰台での主人公のキスシーン、それがまた異常。観客席やマスコミのカメラのフラッシュの光がハート型に光る世界がハート型に、ピンク色に染まる。あの色彩感覚、どう考えてもドラッグムービーだし、ゲイっぽい。

 私は、そんな最後のレース場面だけで『スピード・レーサー』を絶賛する。宇川直宏さんのPVを超える狂気っぷり。VJで使えるよ。それが大きなスクリーンで味わえるんだから、最っ高だ。フラッシュの光がハート型になるのなんて、爆笑したもの。やりすぎ!
 映画館でわけの分からないものを見られて、感動してしまって、泣いた。こんな私は、絶対に馬鹿だ。今考えると、何であんなものに感動したのかさっぱりわからないけど、たぶんも一度見ても同じように感動する。
 しかし、あんなムチャクチャな演出、よく誰も文句いわなかったな。ハリウッド大作の娯楽映画としたら、絶対に駄目でしょ。売れるわきゃないよ。『劇場版 エスカフローネ』の戦闘場面以上に状況把握ができないんだもん。

 というわけで、何が「懐かしい」のかというと、今さらドラッグムービーのような映像を見られたから。でも、それは最高レベルのものだった。
 クスリでハイになってる人は、是非とも映画館で『スピード・レーサー』を観るべき。もっと気持ち良くなれること請け合い。あと、馬鹿にもお薦め。自覚ある馬鹿な人は、是非とも映画館で『スピード・レーサー』を観るべき。

 あと最後に一応、ちゃんと書いておく。
 映画単体としては馬鹿映画だけど、思った以上に『マッハGoGoGo』に忠実に作ってある。異常とも思えるカメラアングルも、アニメっぽいし。ワイプの多様だって、アニメ自体がワイプだらけなんだから、忠実だ。登場人物だって、かなりアニメに忠実だ。ウォシャウスキー兄弟は、ちゃんと原典に尊敬の念を示している(それはエンドクレジットでよーくわかる)。
 家族愛を前面に出した(書き割りみたいな感触の)物語も、ちゃんと筋道立ってて、面白い。
 世評でいわれている程に駄目な映画ではないと思う。そう思うのは私が馬鹿だからかもしれないし、常識的な大人には不向きであることも間違いないけど。
 音楽も良かった。ちゃんと『マッハGoGoGo』している。その点は冗談抜きでかなり良いと思う。エンディングテーマなんて、『マッハGoGoGo』とそのアメリカ版である『スピード・レーサー』の主題歌がミックスされていて、良い。思わずサントラの購入を考えたくらいだ(今でも悩んでいる)。
 ただーし。ここだけは絶対に駄目だ、と思う点が1点だけある。最後にミスターXの正体を懇切丁寧に説明しなくても良かったと思う。あれは、物凄~く、蛇足だ。説明しなくてもわかるのに……ちょっと、観客を馬鹿にしすぎ。子供だとわからないと思ったのかもしれないけど、それはそれでちょっとわからない感が残る程度がいい湯加減だと思う。最後の説明を削れば、も少しすっきりして短くできた。勿体ないな。

 『スピード・レーサー』は、普通の映画史には残らないだろう。ドラッグムービーとして、変な映画史には確実に残るけど。


『スピード・レーサー』の主題歌↓


ついでに、『2001年宇宙の旅』のスターゲート↓
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テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

tag : スピード・レーサー

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プロフィール

ばっどていすとさんどいっち

Author:ばっどていすとさんどいっち
テクノ好き。
アンダーワールドのRez大好き。
映画大好き。
ジャッキー・チェンが生涯の英雄。
生涯1位作品は『ミミズバーガー』。
2位が『溶解人間』。
泣き虫で、馬鹿。
itsuka-omoi-dasu-bts@hotmail.co.jp

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