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2008-05-14

『隠し砦の三悪人』は隠したままにしておけい

 樋口真嗣監督版の『隠し砦の三悪人 The Last Princess』を鑑賞。観る前から散々罵倒した以上、観なければいかんでしょう。観もしないで貶して終わり、というのは映画ファンとして間違ってるしね。

 正直なところ、想像より出来は良かった。腹立つ程の駄作ではない(つまり、駄作ではある)。黒澤明監督版と比較しない、が前提だけど。
 副題からして「ラスト・プリンセス」だし、公開日付に「REBORN」と記述されてたし、題名以外は無関係といっても過言でない。黒澤監督版の設定だけ拝借して、7割方は新たに創られた物語。お姫様と百姓の身分違いの恋愛が核の1つになっている。それなら最初から完全に新しい作品を作ればいいのに。「隠し砦の三悪人」て題名に惹かれた観客からすると、詐欺だよ。

 「全くの別物」がどんな感じかというと、ほぼ『スター・ウォーズ エピソード4』。黒澤監督版『隠し砦の三悪人』から着想を得た『スター・ウォーズ エピソード4』を逆輸入して時代劇にしたら、樋口監督版『隠し砦の三悪人』になる。ダース・ベイダーも出るし。たぶんあれは、大半の観客がダース・ベイダーと思うんじゃないか。私の脳内では、ダース・ベイダーのテーマ曲(インペリアル・マーチ)が鳴り響いたですよ……
 他にも、『ロード・オブ・ザ・リング』テイストも盛り込まれている。最も類似しているのは深作欣二監督の『里見八犬伝』だ。というか、基本的に何もかもが借り物。オリジナルな点は皆無。そして、宮崎駿監督の『ルパン三世 カリオストロの城』だ。
 
 何かね、途中からこれは宮崎駿監督のアニメ映画の実写化を試みたんじゃなかろうか、と思えて仕方なかった。一度そう思うと、そうとしか思えなくなった。最後の砦の攻防場面なんて、完全に宮崎映画(あの場面で、「ジャッキー・チェンさんが主演だったなら!」と思ったのは私だけか?)。アクションの基本が上下運動だし。
 さらには最後の場面、武蔵新八が立ち去った後、六郎太雪姫に『ルパン三世 カリオストロの城』の銭形警部の決め台詞、「やつはとんでもないものを盗んでいきました。あなたの心です!」をいうんじゃないかっ!? とドキドキハラハラしたよ。もちろん、いわなかった。それが駄目なら、庭師の爺さんの決め台詞、「何と気持ちのいい連中だ」はいうかもしれないっ! と緊張して待ち構えていたら、それもいわなかった……当然ですー。
 最後の最後で銭形警部または庭師の爺さんの台詞を丸パクリしていわせていたら、万人が罵倒しても、私は絶賛した。映画としてどれだけ駄作でも、あえて絶賛した。「何て恥知らずな凄い脚本だ!」と。どうせなんだから、無茶苦茶やってほしかった。

 黒澤監督版からかけ離れた物語になっているのに、その結果は、何もかもが予定調和の、ありきたりな映画。元々はアクションとサスペンスが見事に融合した傑作なのに、樋口監督版からはそのどちらも欠けている。
 百姓とお姫様という対照は、コメディにはなっても、決して恋愛方向へは進まない。現代的にすると恋愛要素が必須という安直な発想が、樋口監督版を駄目にしている。樋口監督の腕の良し悪し以前に、脚本の出来が圧倒的に悪い。
 恋愛要素の描写に手間取っているため、全体のテンポも悪くなっている。黒澤監督版にあった詰め込むべき要素がほぼなくなっているにもかかわらず。あと30分は上映時間を削れた。しかし、黒澤監督版からかけ離れている点から、映画好きを相手に作ったものでないことは明白で、そこから考えると、無駄に思える場面は必要なのかもしれない。

 脚本の出来が悪いなら、監督の腕はどうだったか? 無論、悪い。
 数多くのショットにCGを使用し、キレイな風景とか作ってあるんだけど、決め手となるここ一番のショットが1つもない。アクション場面、武蔵と雪姫が見詰め合う場面、風景……映画鑑賞後の思い出となるような、「これ」という場面が何もない。単調で、物語をただなぞっているだけの画ばかり。アニメ経験者なのに構図がダメダメ。だから、映画を殆ど観ないような漫画好きやアニメ好きが観てもつまらないかもしれない。構図にこだわりの強い人多いだろうし。

 というわけで樋口監督版は、黒澤監督版を観てない人であれば、単なる冒険ロマンとして楽しめるだろう。まー、それでも出来は悪いと思うけど、そこを突くのは映画ファンだけだろうし。
 じゃあ、黒澤監督版と比較したらどうか? そりゃー当然、黒澤監督ファンに殺されてもおかしくない超激烈な駄作でしょ!
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テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

tag : 隠し砦の三悪人

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ばっどていすとさんどいっち

Author:ばっどていすとさんどいっち
テクノ好き。
アンダーワールドのRez大好き。
映画大好き。
ジャッキー・チェンが生涯の英雄。
生涯1位作品は『ミミズバーガー』。
2位が『溶解人間』。
泣き虫で、馬鹿。
itsuka-omoi-dasu-bts@hotmail.co.jp

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