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2008-03-22

『ホステル2』はますます変な映画

 『ホステル2』、劇場公開を観逃し、DVDを購入してようやく観ることができた。前作には明らかに負けて劣るけど、間違いなく面白い映画だ。

 前作は、近年のホラー映画ではぶっちぎりで出来の良い映画だった。21世紀を代表するホラー映画の1本でしょ。
 というか、『ホステル』はホラー映画というジャンルには収まらない傑作だ。ホラー映画、怪奇映画、残酷映画、ショック映画……この中のどれでもない。社会派映画、政治映画、サスペンス映画、ミステリー映画、SF映画、アクション映画、恋愛映画、エロ映画……このどれかでないことも間違いない。

 考えてみると、イーライ・ロス監督長編デビュー作『キャビン・フィーバー』も変な映画だった。「13金」のようなスラッシャー系かと思いきや、型破りにも程がある変な映画だった。感触的に最も近いのは、80年代の安い変なホラー映画群で、その中でもハーシェル・ゴードン・ルイス監督の映画。何ともいえない嫌ぁ~な気分になる映画。そのくせ妙に明るかったりする。70~80年代のホラー映画にはそんな映画がたくさんあった。今もあるけど、その頃は変な映画が圧倒的に多かった。
 ロス監督作品は、その頃の雰囲気を抜群のセンスでもって現代に再現する。単なる残酷なホラー映画を撮る監督じゃない。じゃないけど、現時点でその才能はホラー映画というジャンル内でしか発揮されていない。もっと色んなジャンルの映画を撮ってほしい監督だ。

 前作の『ホステル』も、『キャビン・フィーバー』同様、基本は定型通りの設定――頭の悪い若い男子大学生が、美女に釣られて、あっさり殺された方がナンボもマシな酷い目に遭う――だが、構成が少し凝っていて、前半と後半を対象的に描いている。
 前半は馬鹿男子学生の青春もの、後半が恐怖の逃亡劇。タランティーノ監督の『フロム・ダスク・ティル・ドーン』に近い。話題になった残酷描写は後半に集まっていて、それがかなりエグくて最高なんだけど、注目すべきはそこじゃない。エグい描写なんかなくったって十分に面白い映画ってとこだ。
 前半の無駄に冗長で能天気な明るさは、サービスカットも満載なので、邦画なら『パンツの穴』で洋画なら『ポーキーズ』や『アメリカン・パイ』な趣き。前半は無駄で要らない、という批判をよく見るけど、この前半があって初めて後半の地獄の体験が活きるのだ。『デス・プルーフ in グラインドハウス』みたいなもん。
 後半は、前半では売春宿で売春婦を品定めしていた主人公らが、逆に品定めされる側へ回る。そこからの迫力は圧巻。スピルバーグ監督の『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』並みの迫力。『悪魔のいけにえ』に匹敵する(かもしれない)傑作。
 この後半の逃亡劇が、『ホステル』を特徴的な映画にしている。そこら中にあるようで、ないのだ。

 さて、じゃあ『ホステル2』はどうだったかというと、最初に書いた通り、とても良く出来ているけど、迫力不足という点で圧倒的に前作より劣る。続編ということで、かなりしっかりした話になっているのがマイナス要因になってしまっている。
 今作の核は、前作で謎だった処刑集団の詳細。主人公の女子大生3人組と同程度に処刑集団の描写に時間を割いているので、構成的には主人公はいていないようなもの。
 また、続編なので、主人公たちがどんな目に遭うのかは最初からわかりきってるし、前作を踏襲する描写は巧妙に避けてある。つまり、前作の意味不明で野蛮で原始的な残酷性が薄れている。
 『ホステル』の良さの1つは、『食人族』のような得体の知れない野蛮さな残酷性だ(デオダード監督も出演しているしね)。その野蛮さを踏襲しないようにしている以上、それが「ジャンル映画」に対してどれだけ真摯な姿勢で作られているとしても、『ホステル2』は『ホステル』には勝てない。

 気が狂ったようにただ喚き散らす――そんな映画だった『ホステル』は、『ホステル2』で大きく進化した。ただしその進化は、もっと理知的なものだったので、映画としての面白みがなくなってしまった。同じ理知的な進化でも、被害者側の視点を一切描かず、処刑者側の視点だけで推し進めたものだったら、たぶん『ホステル』以上の凄い傑作になっていただろう。惜しいなぁ。
 
 ところで、個人的に猛烈に気になったのが、DVDに収録されている、「KNBエフェクツ」という特典映像。
 KNBとは、「KNB EFX」という特殊メイク専門の会社の名前だ。ホラー映画好きなら、その名を知らない者はいないだろう(ホラー映画以外でも大活躍しているけど)。
 その「KNB EFX」の特典映像なんだから、要は『ホステル2』に於ける残酷場面のメイキングを見せてくれるわけだ。ホラー映画好きとしては、残酷な特殊メイクがどうやって造られているかは非常に興味があるので、この手の特典映像は有難い。

 『ホステル2』で最も強烈な場面に、処刑者の1人が主人公に捕まり、ペニスを切り落とされる場面がある。その切り落とされるペニスがどのように造られているのかを、特典映像では説明してくれる。
 型抜きして、ゼラチンを流し込んで、ドッグフードを混ぜて(!?)、乾いたのに着色して完成。これが、物っ凄いリアルなの。色といい、柔らかさといい、さすが世界最高の特殊メイク技術。匠の業によるペニス、凄ぇ。
 で、余りのリアルさに、「この映像に修正加えなくていいのか?」と思った。だって、「わいせつ」なんだもん。これは、作り物だから「わいせつ」に当たらないのか? それなら、ブギー・ナイツ』の最後の場面にボカシが入るのはおかしいだろう。贋物ペニスの作成場面を見て、私は真っ先に『ブギー・ナイツ』のことを想ってしまった。

 『ブギー・ナイツ』の最後の場面は、起死回生を図る主人公のやる気を示す、物凄く肝心な場面だ。鏡に映っている自分に向かって活を入れる。ズボンからペニスを出し、空手の構えを取って、気合を入れる。
 はっきりいって、アホな場面だ。こんなラストシーン、他にない。でも、感動的な場面でもある。落ちぶれて最底辺にいる者が、上に昇るための希望を見出す。その希望が、ペニスなんだよ! その希望に、映倫はボカシをかけやがった。しかも、DVDでもボカシはかかったままだ。どうにかしてくれ! 

 本当、何が「わいせつ」で何が「わいせつ」でないのか、さっぱりわかんない。同じ贋物ペニスでも、特殊メイクのメイキングではOKで、本編での物語の流れの中ではNG。日本の「わいせつ」判定は、間違っているよ!
 『ブギー・ナイツ』を「わいせつ」の範疇に混ぜる奴は、です。
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テーマ : DVDで見た映画
ジャンル : 映画

tag : ホステル2 ホステル

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プロフィール

ばっどていすとさんどいっち

Author:ばっどていすとさんどいっち
テクノ好き。
アンダーワールドのRez大好き。
映画大好き。
ジャッキー・チェンが生涯の英雄。
生涯1位作品は『ミミズバーガー』。
2位が『溶解人間』。
泣き虫で、馬鹿。
itsuka-omoi-dasu-bts@hotmail.co.jp

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