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2012-10-04

<カナザワ映画祭2012 XXX>7日目(9/20)

 <カナザワ映画祭2012 XXX>の7日目です。
 実はこの日は何も観ていません。翌日(最終日)のことを考えて『瓶詰め地獄』を観ておくべきか悩んだのですが(最終日は『死の翼アルバトロス』と『少女椿』が上映されるため、しかも『少女椿』はクロージングの特別上映なため、長蛇の列が出来上がると予測されるため、もしかしたら入場規制がかかって入場できないかもしれないため、『瓶詰め地獄』を観終えてから列に並ぶのは不利)、休息日としました。
 休息日なので特に語ることもないのですが、シンポジウムのことでも改めて――
 とはいえ、かなざわ映画の会の代表である小野寺生哉さんが仰るには、いずれ公式サイトにてシンポジウムの一部始終を公開するそうですから(文章起こしなのか動画なのかは不明)、ここでシンポジウムのことを説明する意義は殆どありませんが、徒然に。

 シンポジウムのパネリストは、東京国立近代美術館フィルムセンター主任研究員であるとちぎあきらさん、翻訳家であり映画評論家でもある柳下毅一郎さん、シネマヴェーラ渋谷館主の内藤篤さん、そして我らが小野寺代表の4人。

 話し合われた内容は、「4日目」の記事でも述べましたが、「フィルムをどのように遺すか」です。それに対する答えも至極簡単、「お金と技術があれば問題なし」です。
 世界には、フィルムすら消滅し、VHSでしか存在しない映画作品がたくさんあります。柳下さん曰く、「小津安二郎監督作品や黒澤明監督作品のような名作・傑作・有名作・大ヒット作なんかは放っといても常に最新のメディアで遺されるけど、誰にも気に留められない作品は消えてしまう」恐れがあります。これはお金の問題です。
 しかし、とちぎさん曰く、「既に小津監督の白黒作品のような古いフィルムになると、オリジナルフィルムの品質劣化が進行しており、デジタル化することは難しい」そうです。カラー作品でも色の退色はかなり進行しているそうです。これは技術の問題です。

 お金の問題としては、フィルムをどうやって保管するか、ということが挙げられます。場所と手間、そのコストをどこまでかけられるのか。
 フィルムセンターの所蔵は現在約65,000本。毎年2,000本近い本数を集めているそうです。フィルムを廃棄するにもお金はかかるため、映画会社から寄贈されることも多くあり、たとえば<カナザワ映画祭2012 XXX>で上映されたうち、『バタリアン』、『チャタレイ夫人の恋人』、『ショーガール』、『フリッツ・ザ・キャット』、『上級生』、『ザ・異色ドキュメント 馬と女』、『縄と犬と人妻』の7本は寄贈作品だそうです。ちなみに<カナザワ映画祭>はフィルムセンターから毎年9本前後借りているそうです。
 35mmのフィルムは保管するのも大変なので、人気のない作品だと映画会社も見捨てることが多く、「映画芸術の記録」としてアーカイブを作るフィルムセンターとしては選り好みせずに何でも集めたいところですが、「フィルムの状態がより悪いもの」と「フィルムの価値がより高いもの」を優先するのが実情だそうです。ですので、デジタル化に伴い、映画会社がフィルムを管理するのも面倒臭いしみんな捨ーてよ、とならないか戦々恐々です。どうせ捨てるくらいなら、フィルムセンターに寄贈してほしい、と。内藤さん曰く、「フィルムセンターは映画の墓場」だとか。

 小津監督作や黒澤監督作のDVDを観ますと、デジタル化に際して色々な手を加えており、そのリマスターが“売り”になっているものもあります。しかし、たとえばDVDは、どれだけリマスターを“売り”にしても、保存可能な情報量が少ないため、フィルムの情報量には遠く及びません。それがBlu-rayであっても同じです。情報量を大きくするだけで、アナログ・データをデジタル・データに変換することは、情報の取捨選択を行うことです。映画をフィルムでなくDVDで上映すると画質の劣化がよくわかります。
 情報量の問題は、メディアの大容量化が進めば解決するとはいえますし、デジタルならではの利便性の高さを考えれば――過去の作品のことを深く考えないなら――デジタル化は良いことだと思いますが、とちぎさん曰く、「フィルムの基本となる素材の耐久度は、理論値で1,000年くらい持つ。それが白黒なら500年くらいになり、カラーだと100年くらいになる。デジタル・メディアはそれに比べると圧倒的に短く、数十年持てば長い方」ということですので、維持管理の困難さ以上にメディア自体の耐久度が低いわけです。
 また、フィルムの管理には知識も当然必要とされます。たとえば一般的な発想なら、大切なものを保管するためには「丁寧に密封して、開封しないこと」と考えますが、フィルムの場合は、その材質ゆえに、定期的に“解放”することが重要だそうです。大切に密封したままだと逆にフィルムが傷むのです。フィルムが巻かれて缶に入っている状態は、フィルムに圧力がかかっていることになりますので、外に出して巻き直すことが必要になるのです。

 厳重過ぎる保管をしてもフィルムには逆効果になるなら、定期的に観てあげれば良いわけです。フィルムセンターにもホールはあるのですが、とちぎさん曰く、「日本で最も堅っ苦しい」ホールだそうで、フィルムセンターは、映画の保管には頑張っていますが、映画文化の保全には積極的でないようです。ですから、古くて誰も相手にしないような作品を積極的に借りようとする<カナザワ映画祭>には協力を惜しまない。小野寺代表の熱意に思わず積極的に協力したくなる、ととちぎさんは仰っておりました。
 <カナザワ映画祭>は、権利をクリアする面倒なことをちゃんと行ってます。権利者を探し、交渉する。それがいかに大変か。小野寺代表は、「観客は簡単に、あの映画を上映してこの映画を上映して、とかいうけど、権利問題をクリアするのがどれだけ大変か」と愚痴を少々こぼしておりました。
 フィルムセンターは、フィルムを保管しても、フィルムに関わる権利を所持しているわけではありません。フィルムセンターに保管されているフィルムをフィルムセンターの外部で観るには、フィルムの権利者と交渉しなければなりません。フィルムセンターには所有権しかないわけです。著作権の切れたフィルムに関してはフィルムセンターのさじ加減だそうですが。
 権利問題のクリアは、日本で90年代以降の主流となった製作委員会方式が厄介です。複数の出資者による製作委員会は、権利の主権者を特定することが難しいからです。
 数々の面倒事を片付けながら上映し、それが全国から支持される<カナザワ映画祭>は、とても偉く、自治体からもっと積極的に支持を受けても良いくらいです。ま、内容が内容ですけど。

 最後に、サプライズでご登壇された金沢市長は……内容が内容なだけに、<カナザワ映画祭>に挨拶に出るのは悩んだそうです。しかし、金沢市が助成していることを知り、マジメなシンポジウムも行っていますし、県外客も多く呼んで経済効果もありますから、挨拶はしておこうと。
 金沢市長の挨拶でわかったことは、「4日目」時点で<カナザワ映画祭2012 XXX>の来客数は、のべ3,000人くらいで、そのうち7割が県外客だそうです。金沢市長とすれば嬉しい話でしょうが、相変わらず県内客の数が少ないようで、少々寂しい感じ。いや、でも、だからこそ<カナザワ映画祭>はもっと存続するべきです。県外客を多く呼ぶ実績は、金沢市としても嬉しい話ですから。

 小野寺代表はこの1週間のために1年かけているようなものですが、今後ともよろしくお願いいたします。
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テーマ : 映画館で観た映画
ジャンル : 映画

tag : カナザワ映画祭

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プロフィール

ばっどていすとさんどいっち

Author:ばっどていすとさんどいっち
テクノ好き。
アンダーワールドのRez大好き。
映画大好き。
ジャッキー・チェンが生涯の英雄。
生涯1位作品は『ミミズバーガー』。
2位が『溶解人間』。
泣き虫で、馬鹿。
itsuka-omoi-dasu-bts@hotmail.co.jp

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