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2012-06-04

『マーガレット・サッチャー鉄の女の涙』は、涙で錆びている

ironlady
 『マーガレット・サッチャー鉄の女の涙』は、原題は『アイアン・レディ』ですから、そのままで『アベンジャーズ』と同時期に公開しておけば勘違い客がたくさん入ったかもしれません。よりによってサッチャーさんの涙を見たいと思う観客は多くないと思います。
 そもそも「女の涙」を喜んで見たがるのは、男なのか女なのか。男なら趣味悪く、女なら意地悪い。どちらにしても「女の涙」という題名は駄目ですね。こんな題名を付けているから少子化対策が全く進まないのですよ日本は。

 物語は、認知症が絶賛進行中のサッチャーさんの回顧録です。既に亡くなった夫が周囲をウロウロする中、あん時はあーだった、こーだった、と想い出に耽る……そんな物語。
 見所は、サッチャーさん演じるメリル・ストリープさんの演技――というか、メイクアップ。他には全くなし。アカデミー主演女優賞を獲ったストリープさんばかりが目立っていますが、実際はメイクアップ担当者を絶賛すべきです。ストリープさんの演技は、メイクアップに大敗しているといって過言でありません。女優の演技力というのであれば、『情婦』のマレーネ・ディートリッヒさんなんかには及びもしませんし、同じビリー・ワイルダー監督の『サンセット大通り』に於けるグロリア・スワンソンさんの恐るべき印象に敵うべくもありません。あれこそが演技であって、ストリープさんのそれは大がかりな物真似王者決定戦に過ぎません。
 ストリープさんの演技がなる物真似に堕しているのは、脚本の拙さがあります。現在と過去を交互に交互に語る展開は、余りにも出来が悪い。我々が「鉄の女の涙」と聞いて想い描くのは、嫌われ者としての敏腕政治家にも情緒的な面があったのか、ということです。しかし、そもそもサッチャーさんに「女の涙」なんて演歌節を求める必要はあったのでしょうか? 「鉄の女」とまで呼ばれるに至ったサッチャーさんの政治面を映画的に見たいのであって、演歌節なんて矮小化には全く興味ありません。脚本家には「嫌われ者の辣腕政治家」を映画的に面白く見せる手腕が皆無で、たぶんそれは脚本家自身が自覚されているのでしょう、情緒に訴える方法しか思い付かなかったのだと思います。認知症のサッチャーさんを登場させるのは、最初と最後だけに止めるべきでした。

 上映時間は2時間を切り、政治を扱う作品にしては短くまとまっていますが、現在と過去を交互に交互に描く構成のため、無駄に長く感じ、体感的には2時間以上あります。認知症を表現するために亡くなった夫が登場し、サッチャーさんが亡くなった夫と自然に会話する演出が無駄に長くしている要因です。「ああ、あの『鉄の女』といわれたサッチャーが見る影もない……」と思わせたいのでしょうが、正直、「スター・ウォーズ」エピソード1~3に登場するジャー・ジャー・ビンクス並みのウザさです。おとなしく死んでろ、と思わされます。
 最初と最後だけを現在の描写にし、「実はサッチャーは認知症を患っており、夫はサッチャーさんだけに見えている幻覚」を最後に明かす、そのような展開にすれば、物語はまとまり、政治面とサッチャーさんの魅力をもっと大きく描けました。実際がどうであれ、映画的に面白くすることは必要です。
 画面にも面白さは皆無で、史実を陳列するだけ。実際のニュース映像まで使う体裁の悪さ。現実味を高めて描きたいくせに、現在のサッチャーさんの描写を幻想的にしているため、作品全体の輪郭がボンヤリとしてしまっています。サッチャー語録には魅力的なものが多いのに、それが薀蓄にしかなっていないのも脚本と演出のバランスの悪さゆえ。
 メイクアップによって化けているストリープさんを魅力的に画面に収めることもできず、ストリープさんがバストショット以上で映っていない画面の方が活き活きしています。サッチャーさんの青を基調にした画面作りは美しく、ストリープさんをロングで収める画面は見事に撮れているだけに、作品を情緒的に傾けた脚本はやはり拙いと思います。

 「鉄の女」が泣けば、塩分を含んだ涙により、せっかくの「鉄の女」も錆びてしまいます。邦題ではありますが、題名から大失敗作だといえます。
 錆びているのですから、観る前から賞味期限切れの作品でした。
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テーマ : 映画館で観た映画
ジャンル : 映画

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プロフィール

Author:ばっどていすとさんどいっち
テクノ好き。
アンダーワールドのRez大好き。
映画大好き。
ジャッキー・チェンが生涯の英雄。
生涯1位作品は『ミミズバーガー』。
2位が『溶解人間』。
泣き虫で、馬鹿。
itsuka-omoi-dasu-bts@hotmail.co.jp

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