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2011-11-11

<ヒューマン・シネマ・フェスティバル>に関して

 もう3週間近く前のことですが――先の記事で紹介した映画『君を想って海をゆく』と『ジェニンの心』は、イオンが協賛となっている<ヒューマン・シネマ・フェスティバル>にて観ました。
 <ヒューマン・シネマ・フェスティバル>は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が主催となって行われた上映会です。映画を通して少しでも多くの方々に世界の難民問題に関心を抱いてもらいたいから、入場料は無料でした。
 日本では殆ど問題にならない難民問題も、東日本大震災以降、他人事ではなくなったと思います。被災難民というのもありますから。海外の、しかも特殊な歴史を持つ特殊な国の特殊な時期の出来事、と日本では考えがちですが、それは違うのです。確かに日本に世界でいうような「難民」はいません。しかし、「難民」的な存在はいます。非常に困っており、救済を必要としているような方々です。そんな方々に対し、何をして上げられるのか、何を考えれば良いのか、それは他人事ではありません。
 東日本大震災で多くの方々が亡くなりましたが、日本は毎年同じかそれ以上の人数が自殺しています。この事実は恐ろしい。毎年毎年、人知れず大災害が起きているのかと恐くなります。

 『君を想って海をゆく』を観て、韓国の『クロッシング』を想い出しました。北朝鮮の圧政から命がけで逃げ延びようとする貧しい一家――息子1人とその両親の3人家族――の物語です。
 父親は、北朝鮮に妻と息子を残し、脱北する。結核に臥せる妻の薬が北朝鮮では入手できないから、命がけで脱北するしかなかった。何とか脱北し、薬を入手するも、既にその頃、北朝鮮に残された妻は病死。1人残された息子は孤児となるも、父親との再会を目指し、国境を目指すが、力尽きて死んでしまう。
 とても悲惨な物語です。北朝鮮では富裕層でなければ入手できない薬が、国境を越えるとタダで貰える。あの場面の父親の顔。あの無常。それが『クロッシング』を作り上げています。父親が呟く、神様は裕福な国にしかいない、という悲惨な批判。
 『クロッシング』の無常感と、『君を想って海をゆく』の最後のカフェの場面、その後に現れる『Welcome』という原題の無常感は似ています。似ていますが、映画としては『君を想って海をゆく』の方が上だと思います。

 『ジェニンの心』を観て、全く関係のない、『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』でも有名なバンクシーさんを想い出しました。
 パレスチナ人を閉じ込めるための巨大な壁。そこに自由を描いたバンクシーさん。無関心は罪だという怒りの芸術。

 難民問題とは少しズレますが、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の『ビューティフル』も想い出しました。移民や不法滞在者の政治社会的な問題、ハビエル・バルデムさん演じる主人公の周りの社会、それらの悲惨さの中にある無常と希望を描く作品。題名からは美しく感動的な印象を受けますが、実際はとても激しい作品です。
 黒澤明監督の『生きる』を題材としているようですが、かけ離れすぎています。主人公の、死期を目前に人助けをしようとして悪化させてしまう様は、滑稽と恐怖がない交ぜになった「因果鉄道な旅」で、壮絶。下手に関心を抱いて下手な手助けをすると超大変、という内容でもあり、間違いなく感動作ですが……一般的な感動作を想像して観ると大ダメージを受けます。

 今の日本は、高齢化社会になり、不況が長引き、じわりじわりと様々な悪影響が現れています。大災害もあり、大事故もあり、それらに伴い日本人の心が弱くなっているかもしれません。世の中が大変な時期だからこそ頑張ることを頑張る余り、無理がたたってストレス障害に陥り、死を選ぶ方もいるでしょう。阪神・淡路大震災の翌年、神戸市助役が焼身自殺を遂げました。海岸で灯油を被り、点火したのです。もっと楽な死に方があったのに、なぜ強烈な苦痛を伴う死に方を選んだのでしょうか。
 今年の9月、<カナザワ映画祭2011>の開催期間中、「午前十時の映画祭」にて『ショーシャンクの空』を久しぶりに観、思わず泣いてしまう場面がありました。今までそこで泣いたことはなかった場面です。刑務所で50年間も凄し、高齢者となったブルックスが仮釈放されるのですが、“外”に居場所はなく、自殺してしまう場面。自分はここにいた、と人知れずささやかな反抗をして。
 難民の問題の1つは、世界からの無関心と可能性のなさです。そこに一石を投じようとする<ヒューマン・シネマ・フェスティバル>は、素晴らしい試みだと思います。

 今回、<ヒューマン・シネマ・フェスティバル>で上映された作品は、『ジェニンの心』、『君を想って海をゆく』、『ウォー・チャイルド』、『ウォー・ダンス/響け僕らの鼓動』の4本。この4本が全て観られるわけでなく、なぜか上映地域毎に2本しか観られません。イオンシネマ金沢店では、『ジェニンの心』と『君を想って海をゆく』。
 21(金)、22(土)日の2日間に渡って開催される中、私は21日に観ました。2作品とも上映前に国連UNHCR協会職員による挨拶と作品紹介があり(公式サイトには「質疑応答あり」と記載されていたけど、実際はなかった)、問題意識を高めます。「今回の映画のこと、難民問題のことを色んな人と話し合い、広げて下さい」と仰ってましたので、今こうして文章を作っている次第です(随分と日にちが経ってる上に横道に逸れた内容だけど)。
 楽しみながら政治社会問題も考えられる機会をタダで提供する、そんなイベントはもっと続けてほしいと思います。入場料金はタダでしたが、会場前に募金箱があったので、2千円入れました(いつも千円で映画を観てるから、1作品千円として)。
 たーだーし、素直に「素晴らしい上映会だった」とは絶賛できません。
 まず、190人も入る会場に、観客はパッと見20人未満。観たのが平日だったからかもしれませんが、少な過ぎ! 公式サイトでは「当日劇場窓口受付先着25名様にポストカードをプレゼント」と記載ありますが(今知った)、貰えませんでした(いらないけど)。観客は25人もいなかったと思うんですよねぇ。『君を想って海をゆく』は観客が30人近くはいたかもしれませんが、『ジェニンの心』は「十人は超えていたかも?」という程度。
 予算が少ないのか知りませんが、もっと宣伝しないと! 上映会当日は劇場のロビーに大きなポップが設置されていましたが、以前にはありませんでした。1ヶ月以上前から設置してあればもっと観客が増えたのでは? せっかく問題提起しても少人数しか視聴しなけりゃ意味ないです。翌日の土曜日はもっと人数が増えていたと思いますが、それでも会場の半分も埋まらなかったのではないかと……
 あと、上映がDVD上映だったようで、画質が悪かったです。しかもスクリーンサイズが合ってなく、大きなスクリーンの真ん中に一回りは小さな画面が映ってまして、とても違和感がありました。『ジェニンの心』は簡単に観られないでしょうが、『君を想って海をゆく』はレンタルで簡単に安く観られるわけですから、「劇場で観る良さ」をもっと味わえるようにするべきだったと思います。イオンシネマ金沢店だけのことなのかもしれませんが。
 4作品のうち2作品しか観られないのも意味がわかりません。
 作品は良かっただけに、もったいないな、と思いました。また上映会を行うようなことを仰っておりましたので、次回は上記問題点を改善してもらいたいです。関係者の皆様、ありがとうございました。
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テーマ : 映画祭
ジャンル : 映画

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プロフィール

Author:ばっどていすとさんどいっち
テクノ好き。
アンダーワールドのRez大好き。
映画大好き。
ジャッキー・チェンが生涯の英雄。
生涯1位作品は『ミミズバーガー』。
2位が『溶解人間』。
泣き虫で、馬鹿。
itsuka-omoi-dasu-bts@hotmail.co.jp

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