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2011-09-28

<カナザワ映画祭2011 フィルマゲドンⅡ>7日目

 9月22日――<カナザワ映画祭2011 フィルマゲドンⅡ>の7日目でございます!
 映画祭も残すところあと1日。もう寂しくなってきました。お金はありませんが、もっと続けば良いのに……
 私が観たのは、『マンディンゴ』、『夜と霧』の2本。

 『マンディンゴ』は、名匠リチャード・フライシャー監督の名作。プロデューサーであるディノ・デ・ラウレンティスさんは、本作を「自分にとっての『風と共に去りぬ』」とおっしゃっておりますが、いやいやいや! それにしてはあまりにも過激な内容すぎるでしょ!
 舞台は、黒人が奴隷であることに疑問を抱くわけもない超保守の村。北部では黒人奴隷を問題視する声が出ているのに、それは頭のオカシイ奴らがいってるだけのこと、と思っているような。“黒んぼ”が人間と同じ扱いである必要はない、と思っているような。まるで馬か牛のように“黒んぼ”を交配させて優良種を作る「黒人奴隷牧場」、それが主役。自由と愛と平等と正義を信じ、唱えているアメリカの黒歴史が舞台です。
 物語は、そんな「黒人奴隷牧場」の栄枯盛衰を描いています。といっても真面目な社会派ドラマってわけじゃなく、基本的な流れは昼ドラみたいな愛憎劇です。波乱万丈な物語でも何でもありません。物語は、“これから波乱万丈になる物語”を描いているのですから。ですから、物語は唐突に終わりを迎えます。全ての登場人物を物語の中に放置するような、突き放した描き方。
 フライシャー監督は、登場人物の誰かに寄り添うこともなく、淡々と物語を演出します。当然のような不幸の結末、見事なショットで描きます。とても衝撃的な内容ですし、考えると無理のある展開なのですが、そうは感じさせません。所々に驚くようなショットがあり、はっきりいって『風と共に去りぬ』なんかより遥かに出来の良い、そして賞味期限の長い作品です。
 たとえば“黒人奴隷”同士の格闘場面でのカメラワーク。優良種である「マンディンゴ」のミードが相手を殴り倒す瞬間の、一瞬のズーム。日本のアニメやゲームなんかではよく使われていますけど、実写映画で抜群のタイミングで行われるのは、なかなかお目にかからないと思います。そして最後のショット。殺され床に寝そべっている父親、それを見下ろしている息子、この2名を感傷的にならないよう、冷徹に突き放して見えるよう、最高のアングルで撮っています。撮影はリチャード・H・クラインさんでフライシャー監督とよく組んでいる方(『絞殺魔』の撮影もこの方)。屋内も屋外も、とても撮影が素晴らしい。画面を見ているだけでも飽きません。
 音楽も良い。最初と最後に流れるブルースが物語の悲惨さを強調しているだけでなく、全編に流れる音楽がほのぼのしていて、画面との組み合わせが最高!
 内容の衝撃さばかりが取り沙汰されている可哀相な作品ですが、とても良く出来た傑作です。DVDも今年ようやく発売されましたし、他国の黒歴史を野次馬的に楽しむためにも、広く観られるべきです。

 『夜と霧』は……30分ちょいという短い上映時間ながら、初めて観たこともあり、見終えてからの疲労が今映画祭で最高の作品でした。
 ナチスによるユダヤ人虐殺の酷さ……それが当時の記録映像で淡々と描かれます。人間石鹸とか、人毛の毛布とか……常識な話ではありますが、実録映像ならではの寒々とした容赦ない画面が、歴史が観客を打ちのめします。ブルドーザーで“ゴミ処理”されるユダヤ人の遺体、腐りかかっているユダヤ人の遺体、ところどころが“ほつれている”ユダヤ人の遺体……劇場内の空気が圧縮されていく感じ!
 音楽担当がハンス・アイスラーさんで、美しくも静謐なメロディーが画面を一層凍らせていました。アイスラーさんといえば、フリッツ・ラング監督の大傑作『死刑執行人もまた死す』の音楽担当で有名ですね。こちらも反ナチ映画。
 ナレーションがまた淡々としていて。担当はミシェル・ブーケさん。私にとってはジャコ・ヴァン・ドルマル監督の『トト・ザ・ヒーロー』の方。『エスピオナージ』や『ボルサリーノ』よりも。
 残酷な行為も、役人のように「命令だから行っただけ。私に責任はない」と、日本でもよく聞くお決まりの台詞で片付けられる。それでは、どこに責任があるのか? ユダヤ人虐殺は他国の頭の狂った連中が行った過ぎ去った歴史の1行である、と片付けて良いのか、と『夜と霧』は最後に問う。ああ、これって、福島原発なんてで未だに揉めている震災復興の諸問題と同じだなぁ、と思いました。そう、扱われていることは異なっても、これは他人事ではないのです。

 7日目は、今映画祭で最も帰り道の気分が重苦しい日でした。アメリカの黒歴史とドイツの黒歴史、どちらも日本には全く関係のないことなんですが、無理解による福島県差別とかを見ると、本当に他人事ではないな、と。何十年経ってから、後の世代に馬鹿にされるのかもしれません。
 それにしても……『マンディンゴ』の後に『夜と霧』を上映するとは……この配置を考えた方は、観客を超落ち込ませてやろう、とサディスティックな喜びを感じる方なのでしょう!
 重苦しい日でしたが、そんな気分を味わうのも娯楽!
 観客数はやはり少なく、2本とも30人前後だったように思います。しかし、大満足の一日でした。
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テーマ : 映画祭
ジャンル : 映画

tag : カナザワ映画祭

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プロフィール

Author:ばっどていすとさんどいっち
テクノ好き。
アンダーワールドのRez大好き。
映画大好き。
ジャッキー・チェンが生涯の英雄。
生涯1位作品は『ミミズバーガー』。
2位が『溶解人間』。
泣き虫で、馬鹿。
itsuka-omoi-dasu-bts@hotmail.co.jp

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