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2007-12-20

アイ・アム・レジェンド

 『アイ・アム・レジェンド』、すっげー面白い!

 題名の「アイ・アム・レジェンド」、リチャード・マシスンさんの原題をそのままを使っているので、知らない人には馴染みのない題名でしょう。しかし、「地球最後の男」と書けば、内容は知らなくても聞いたことくらいある人は多いと思います。今までに何度も映像化されてますから。

 個人的に地球最後系(そんなジャンルあるかな?)で最も好きなのは、『地球最後の女』です。え、知らない? そりゃそうかもしれませんね。何つっても、ロジャー・コーマンさんの作品ですから。確か日本では未公開だったと思います。原題は、『Last Woman On Earth』です。マシスンさんの原作は『I Am Legend』なんですが、その映画版が『地球最後の男』で、その原題は『The Last Man On Earth』ですから、そのパチもんであることは一目瞭然ですね。とぉっても、つまらない逸品です。ま、コーマン監督のパチもんが恐ろしくつまらないのは自然の摂理です。
 内容は、こうです。知らない間に地球最後の人類になったらしい男女3人が、三角関係のもつれで痴話喧嘩をする話。嘘じゃないですよ。舞台はどこだったかよく覚えてませんが、暖かそうな場所だったと思います。コーマン作品は極めて低予算なので、人類が死滅したとわかる陰惨な描写が、田舎町の田舎道で数人倒れているだけというもの。その後、バーみたいなところでも数人倒れているのですが、同じ人が倒れていたような気がします。「え? 終末描写、そんだけ?」と驚きのあっさり風味。最も盛り上がる場面が、終盤の痴話喧嘩場面、男2人が女を奪い合って殺しあう場面でした。結局、片方の男が生き残り、女と「これからどうしよう……」と途方に暮れて終わったような。よりにもよって馬鹿しか生き残らないと大変なことになるということがよーくわかる、正に終末的な映画でした。観る機会があったら、是非観ないことを強くオススメする所存であります。

 で、『アイ・アム・レジェンド』は、そんな『地球最後の女』に比べたら、ムチャクチャ面白い映画なのです。
 まあ、ここまで回りくどく書けば嫌でもわかってしまいますが、はい、面白くありません。というか、悪くもないのですが、とっても普通なのです。騒音で訴えられるくらいの大声で叫びたくなるくらい、普通です。ここまで普通の映画を観たのは久しぶりな気がします。その前に観た普通の映画は……普通すぎて忘れました。ただ、アーカイブ的な作品という意味でなら、映画的記憶を刺激される作品ではあります。
 例えば、人が誰もいない街の描写は、黒沢清監督の『回路』、ダニー・ボイル監督の『28日後...』。人々が逃げ惑う描写は、スティーブン・スピルバーグ監督の『宇宙戦争』。化物化した人間が猛烈な勢い襲ってくる描写は、またもや『28日後』、ザック・スナイダー監督の『ドーン・オブ・ザ・デッド』、ニール・マーシャル監督の『ディセント』、ウェズリー・スナイプス主演の『ブレイド』。などなど、あらゆる場面で、「あ、これ、観たことある」と映画的記憶を刺激されるわけです。
 はっきりいえばオリジナリティ皆無なだけですが、そもそも『ゾンビ』や『宇宙戦争』はマシスン原作から多大な影響を受けているので、『アイ・アム・レジェンド』は、原作から影響を受けて実らせた実を強奪した感じです。でも、全くオリジナリティがないわけではありません。雰囲気からして原作と大きく異なります。

 原作と『アイ・アム・レジェンド』の違い、それは「レジェンド(伝説)」の違いです。説明しますと、原作に近いのは、ヴィンセント・プライス主演の『地球最後の男』で、『アイ・アム・レジェンド』はチャールトン・ヘストン主演の『オメガマン』と同じなのです。題名は『I Am Legend』ですが、その中身は『オメガマン』です。
 原作とプライス版『地球最後の男』の「レジェンド」はこうです。
 人類は謎の病原菌によって大半が死に、死なずに済んでも化物になってしまう。感染せずに生き残った主人公は、自分が最後の「まとも」な人間だと思い、化物の殲滅を日課とし、孤独に耐えて過ごす。しかしある日、襲ってくる化物にも知性があり、新たなコミュニティーを構築していることを知る。彼らからすると主人公は、日々自分たちを殺して廻る恐怖の存在だった。そして主人公は知らされる、「今や俺は旧時代の伝説の生き残り」で、伝説は生き残っていてはならない存在なのだと。
 対して『オメガマン』と『アイ・アム・レジェンド』は、基本設定は原作とほぼ同じですが、主人公は少ない未感染の生き残りのために命をかけて感染を治す血清を作り、生き残った人々から「あの伝説の人」と敬われる存在になります。「レジェンド」はありますが、「アイ・アム」はかかりません。
 同じ「レジェンド」でも、扱われ方に大きな違いがあるのです。
 原作では、最後に世界の価値観がひっくり返り、悲しみと恐怖が訪れます。これに忠実なのはプライス版『地球最後の男』ですが、先に挙げた映画では『ブレイド』もかなり近い。『回路』も似ています。『アイ・アム・レジェンド』には価値観そのものが描かれていません。ただ単に状況が描かれているだけです。ですので、原作を知らずに、「地球最後の男」ということで『アイ・アム・レジェンド』を観てしまうと、「最後の男じゃねーじゃねーか! 騙された!」と思ってしまうでしょう。重要なのは状況でないのです。

 なぜ状況だけを描いているのかは、昔のヘストンさんがそうだったように、ウィル・スミスさんも自分自身を伝説とする映画を作りたかったからではないでしょうか。つまり、単に「俺って伝説だぜ!」とスミスさんはいいたいだけなのです。でなければ「アイ・アム」で「レジェンド」な必要は皆無。
 俺伝説を物語仕立てで映画にしたので真っ先に思いつくのはマイケル・ジャクソン主演『ムーンウォーカー』です。長淵剛さんの映画も含めてもいいでしょう。そこに並べて考えると、『アイ・アム・レジェンド』には決定的に足りないものがあります。スミスさんの主題歌です。劇中にボブ・マーリーの話をしたり曲を流したりしないで、「ウィル・スミスって伝説のアーティストがいたんだけど」と話をすれば良かった。世界平和を成し遂げた伝説のアーティストで、と。そしてエンドクレジットでスミスさんの主題歌が流れる。もしもそうだったら、文句なく傑作であったでしょう。なので私はこういいたい。
 『ID4』で宇宙人をぶん殴った時のアンタはもっと伝説だった!
 惜しい、惜しいなぁー。

 あ、ちなみに、さすがに最新作だけはあり、ゴーストタウンと化したNYの描写とかはお金がかかっているだけはあり、見応えがあります。
 また、原作を知らなければ素直に楽しめるでしょう。『ドーン・オブ・ザ・デッド』も『ブレイド』も『回路』も『28日後...』も『宇宙戦争』も『オメガマン』も『地球最後の男』も観てなければさらに楽しめるでしょう。それら全てを鑑賞済の人は……スミス伝説を支える気があるなら面白いかもしれません。伝説となるかならないかがわかるのはまだ先でしょうけど。
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テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

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プロフィール

ばっどていすとさんどいっち

Author:ばっどていすとさんどいっち
テクノ好き。
アンダーワールドのRez大好き。
映画大好き。
ジャッキー・チェンが生涯の英雄。
生涯1位作品は『ミミズバーガー』。
2位が『溶解人間』。
泣き虫で、馬鹿。
itsuka-omoi-dasu-bts@hotmail.co.jp

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