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2011-06-10

『デッドクリフ』は、1粒で2度美味しいと思ったら不味かった

dead
  『デッドクリフ』を観ました。
 題名からわかるように、山登りの恐怖映画。そしてポスターやチラシのデザインからわかるように、単なる山登りで終わらない恐怖映画。ゆえに、これは『ディセント』のような作品なのだろう、と想像できました。即ち、山登りホラー映画。ありそでなかった新型の恐怖映画です。

 物語は単純。仲良し(という程でもない)5人組が山登りをしていたらとんでもない目に遭う。要するに「楽しい休日にとんでもない目に遭う」展開なので、『ハロウィン』や『13日の金曜日』なんかと似たり寄ったり。
 食傷気味なこの手の作品群に於いて久々に驚いたのは『ディセント』でした。洞窟探検が怪物との苛烈な殺し合いに発展するとは想像もしませんでした。『ホステル』もそうですね。『フロム・ダスク・ティル・ドーン』風味です。本作も、前半は緊張感溢れる山登り、後半は謎の殺人鬼と命がけの戦闘、と展開が明確に分かれています。

 前半は、怖い。山登りが断崖絶壁のフリー・クライミングなので、高所恐怖症の人は見ているだけでハラハラします。部分的にはシルヴェスター・スタローンさん主演の『クリフハンガー』に並ぶくらいの場面もあり、幸先がいいなこれは、と思えます。
 物語に選ばれし5人は、カップル2組4人と、うち1人の元彼で構成されています。元彼は当然のように今彼といがみ合います。この今彼が頼りなく狭量な上に高所恐怖症なため、皆の足を引っ張って無駄に危険度を高めます。仲良しカップル2組の中に元彼を参加させるとはありえない設定ですが、高所恐怖症者がフリー・クライミングに参加することはもっとありえない設定です。ありえない要素が2つも揃っていれば、最悪の事態に陥って当然です。最初から「絶対に無事に済まないな」という雰囲気が漲っています
 とにかく今彼の存在が前半を盛り上げます。他の4人だけなら楽しいフリー・クライミングで終わるところを、今彼が危機的状況へと誘うのです。恐怖映画ですから、おっそろしい吊り橋を渡る場面があっても「吊り橋効果」なラブ風味は皆無。ただただ今彼がギャーギャー騒いでみんなを困らせます。恐怖映画好きとしては今彼を応援せずにはいられません。頑張れ! もっとみんなの足を引っ張れ!
 しかし、後半に入り、山登りの不安から解放される間もなく謎の殺人鬼によって犠牲者が出ると、一気に面白くなくなります。理由は簡単。山登りの緊張感に匹敵する恐怖感を殺人鬼によって演出できていないからです。

 本作の恐怖の対象は、山と殺人鬼です。どちらが怖いかは人それぞれでしょうが、画面的には、断崖絶壁の方が恐ろしく感じます。
 山は、場所であり存在そのものですから、逃げ場がなく、正体が最初からちゃんと映ります(映さなきゃ怖くない)。主人公らは山登りする直前に「登るな危険」という注意書きを見つけ、無視する無謀を犯します。親切な注意書きを無視したのですから、危機的状況に陥って当然、という前提ができます。また、主人公らが登る場所は、実は既に人の手が入り、登れるように援助されている場所です。他人の介入がある以上、始まる山登りは必ず危機的状況に陥る、と予測させます。今彼という不安要素が危機的状況に拍車をかけますし。
 だのに後半からは緊張感が薄くなるのは、前半と後半で緊張感の質が異なるためです。最初から正体がわかっているのに怖い“自然”と、正体が不明であればある程怖い殺人鬼とでは、恐怖の質が異なります。質の異なる恐怖が同一作品上に並んでいるのですから、注意深く物語を作り込まないと面白いものになりません。
 謎の殺人鬼は、キチガイでなく、殺人狂でもなく、怪物でもない。山頂付近で色んな罠を仕掛けて人間狩りをしているだけの、普通のオッサンです。まあ、ちょっと頭がオカシく凶暴で汚らしいですけど。ジェイソンやマイケル並みに神出鬼没でなく、怪力なわけでもない。ずーっと山頂で過ごしているから特殊な進化をした、ということもない。一応その登場には驚かされますが、観客の期待を遥かに下回ります。我々が期待するのは、超人的な異常者です。街中にいてもおかしくない頭がオカシイ凶暴で汚らしい普通のオッサンではありません。

 最終的に本作で最も怖かったのは、山でも殺人鬼でもなく、人間の理性が崩れる瞬間でした。危機的状況に追い詰められると恋人をも見捨ててしまう――理性を保てなくなるような状況、それこそが最も恐ろしいわけです。
 5人の中心的存在が最初に殺人鬼の犠牲者となり、5人の仲が崩壊しないようにバランスを取っていた中心がなくなるのですから、残り4人はあっという間に仲違いを始めます。裏切ったり裏切られたり。殺人鬼のオッサンの方がマトモに思える程です(一応、殺人鬼のオッサンにもちゃんと殺人鬼となってしまった理由が説明されます)。本作は、昼ドラみたいなギスギス人間ドラマでもあるのです。今彼は後半も大活躍し、ギスギス度を高めてくれます。

 90分未満の上映時間に、「山登り+殺人鬼+昼ドラ」を詰め込んでいるのですから、1粒で2度美味しいどころか3度美味しいのですが、前半に比べて後半が薄味すぎて、締め方も予定調和で意外性がないため、前半の美味しさは相殺されます。せっかくの山登りが後半殆ど活かされないのがもったいなかった。「新型の山登りホラー」になれませんでした。
 『ディセント』や『ホステル』、『フロム・ダスク・ティル・ドーン』なんかは、前半の魅力が後半を活かしているのに、本作は逆。本作の印象を簡単にたとえるなら、前半がジェット・コースター、後半がショボイお化け屋敷。狙いは良かったのですが、まさか楽しみにしていたお化け屋敷がショボイとは想像もしないじゃないですか。ガッカリです。こーゆー作品は、単純に一点突破な展開を目指すべきでしたね。
 後半から徐々に緊張感が薄れ、先の展開を見たい欲求も薄れてくるので、作品の賞味期限は観ている最中に切れます。
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テーマ : 映画館で観た映画
ジャンル : 映画

tag : デッドクリフ

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前半は怖かったですね

これは高所恐怖症の私にはつらかったですよ~。風景がキレイなだけになおさらでした。

nasuさんへ

コメントありがとうございます。
本当、前半は怖かったです。私は高所恐怖症ではありませんが、高いところが好きなわけでもありませんので、普通に怖かったです。特に吊り橋が。
後半は……殺人鬼がスパイダーマンのように山肌を動くとか、何かギョッとする展開があれば良かったのに、と思いました。

あ、もう何ヶ月か前ですが、ホラー映画向上委員会(nasuさん)の『デッドクリフ』評を読ませて頂きました。ホラー映画向上委員会のはいつもコンパクトに書かれており読み易いのに、同じ作品を扱っても何で私はこう長々としてしまうのか……いつも悩んでおります。

No title

放送で見ました。最初は引き込まれましたが、だんだん興味が無くなりました。その辺が全く一緒の感想でした。
プロフィール

Author:ばっどていすとさんどいっち
テクノ好き。
アンダーワールドのRez大好き。
映画大好き。
ジャッキー・チェンが生涯の英雄。
生涯1位作品は『ミミズバーガー』。
2位が『溶解人間』。
泣き虫で、馬鹿。
itsuka-omoi-dasu-bts@hotmail.co.jp

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