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2011-04-16

『雨に唄えば』は、画面から幸せ光線が乱れ撃ち

 <午前十時の映画祭>にて『雨に唄えば』を観ました。何十回も観ている作品ですが、初めて味わった大きなスクリーンと音響は、小さなTV画面とは比較にならない幸福感に満ち溢れていました。
 何十回も観ているわけですから、そりゃーもう、超大好きな作品です。何度観ても徹頭徹尾全く飽きず、むしろ観る度に感涙が止まりません。泣くような場面は全くないというのに、なぜか必ず泣いてしまいます。

 まず、ジーン・ケリーさんの躍動感溢れる素晴らしきダンス! 長い足! 逞しい腕! そして、笑顔でいるだけでロマンティックな雰囲気をまとうケリーさんの楽しそうな表情! ケリーさん主演の作品となると『雨に唄えば』よりも『巴里のアメリカ人』や『踊る大紐育』を推す人が多いかもしれませんが、私は断然『雨に唄えば』派です。
 最高に楽しいミュージカル場面ですが、少し振り付けが単調な部分はあります。似たようなタップ・ダンスが繰り返されたり、後半の夢想する場面は無駄に長いとも思います。思いますが、単調さはケリーさんの魅力でごり押しして隠しています。ケリーさんが世界の中心なんだといわんばかりに。
 カメラは、ケリーさんの大活躍には必ずケリーさんを中心にしています。世界の中心はケリーさんなのです。余計な編集もなく、心行くまで存分にたっぷりとケリーさんの踊りを楽しめます。

 ミュージカル映画でなくとも、マイケル・ジャクソンさんのPVやジャッキー・チェンさんの映画でも同じことなのですが、観たい場面を心行くまで存分にたっぷりに楽しませてくれないとストレスが溜まります(残酷映画に於けるゴア場面も)。
 チェンさんやジャクソンさんやケリーさんを好きな人がその作品を観る時、作品に対する期待の殆どは画面で活き活きと動き回るその雄姿をいかに心行くまで邪魔されずに存分にたっぷりと堪能させてくれるかにあります。物語は二の次。小技を効かせた編集なんかされていると逆にムカつきます。「大スターに対しては、真正面にカメラを構え、常に画面の中心で撮れ!」と。

 ミュージカル映画の名作・傑作に『ウエスト・サイド物語』があります。<午前十時の映画祭>で『雨に唄えば』の前に上映したのは『ウエスト・サイド物語』で、もちろんこれも観ましたが、途中で寝てしまいました。今までに十回は観ているのですが、最後までちゃんと観られたことがありません。必ず途中で寝てしまいます。ので、十回も観たくせに未だに『ウエスト・サイド物語』の物語の細部がよくわかっていません。いつも気付くと知らない間にトニーとマリアが相思相愛になっていたり、シャーク団とジェット団のリーダーが殺されています。TV放送用にカットされたような、謎の超展開です(寝ているからね)。
 毎回寝てしまうくらいですから、『ウエスト・サイド物語』は好きではありません。寝てるくせに何ですけど、悪い作品だと思います。音楽は間違いなく素晴らしいと思いますが、正直、「何でミュージカルにしなきゃならんのだ?」という思いをどうしても払拭することができません。
 やたらと長いタイトルでまず眠くなるのですが(実際、初めて観た時は寝た)、冒頭から悪ガキが踊る場面で白けてしまいます。ちょっと待て、何で悪ガキがあんなに清々しく踊るのだ、と。意味がわかりません。振り付けも面白くありませんし。カメラのアングルと編集で誤魔化しているだけで、躍動感ゼロ。踊るなら「ダンスで抗争」という平和的な話でもいいのに、物語そのものは現実的で、その演出だけをミュージカルにしているから面白くない。正直、何でこんな作品が今でも名作として称えられているのか理解できません。
 ソウル・バスさんの凝り凝りな画面デザインが足を引っ張っています。私にとってミュージカル映画は、編集に工夫がなくても構わないので、見事な歌や踊りを画面のど真ん中で見せてほしいのです。『ウエスト・サイド物語』は、工夫が凝らされた作品ですが、それゆえに映画としては全く面白くありません。大画面を活かしているとかいわれていますが、どこが? それならミュージカル要素なしに作った方が良かった。そうすると今度は物語の面白くなさが目立ちます。
 根本的には物語が稚拙で面白くないのも悪い。『ロミオとジュリエット』を何の工夫もなく下敷きにした物語は、無駄だらけでダラダラしています。そりゃー眠くもなりますよね。何よりも悪いのは、歌や踊りが物語に全く貢献していないことです。たとえばエミネムさん主演の『8 Mile』は、どん底の青春劇であると同時にヒップ・ホップの映画ですから、ヒップ・ホップが物語に貢献しています。『雨に唄えば』もそうです。踊りたくて踊りたくてしょうがない気持ちが画面に溢れています。ミュージカルである必然性は、踊りたくてしょうがない衝動が画面にあることです。それなしにミュージカル映画が成立することはありません。そうでないミュージカル映画は、ただ登場人物が踊っているだけの映画です。 

 『雨に唄えば』は、ケリーさんを中心に捉え、まるで世界がケリーさんに振り回されているような、ケリーさんによる遠心力で観ている私たちまで振り回されているような、そんな気分になる作品です。大スターとは、観る人を虜にするとは、そーゆーものだと思います。
 物語に対する演出も面白い。ミュージカル映画ですが、ミュージカル場面そっちのけで物語の展開が面白い。初のトーキー撮影に挑み、大失敗する件なんて大爆笑です。完全なドタバタ劇で、ミュージカル抜きに楽しい。ミュージカルであることと映画であることが違和感なく成立しています。
 映画史に残る有名な「雨に唄えば」の場面は、本当に見事で、撮影中に高熱を出していたことが信じられないくらいの名場面。私の友人は、『雨に唄えば』を観る前に「雨の中、傘を差さずにずぶ濡れになって楽しげに歌い踊るなんて異常だ。そんな気分は考えられない」といっていましたが、観てからは考えを変えました。むしろずぶ濡れになりたくなるくらい幸せな時があるわけです。何もかもが祝福してくれているような。

 幸せが溢れている――そうとしか形容できない作品です。
 東日本大地震の被災地で巡回上映してもらいたいと思いました。私は被災者の大変さをわかっていませんが、こんな幸せな映画なら、少しは元気を貰えるのじゃないかと。ただ物語だけを追っかけている映画にはできないことだと思うのです。
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テーマ : 映画館で観た映画
ジャンル : 映画

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プロフィール

Author:ばっどていすとさんどいっち
テクノ好き。
アンダーワールドのRez大好き。
映画大好き。
ジャッキー・チェンが生涯の英雄。
生涯1位作品は『ミミズバーガー』。
2位が『溶解人間』。
泣き虫で、馬鹿。
itsuka-omoi-dasu-bts@hotmail.co.jp

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