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2011-04-25

『塔の上のラプンツェル』は、髪の長さがそのまま魅力度に

rapunzel
 『塔の上のラプンツェル』を観た。
 謳い文句として「ディズニー・クラシックス50作目」や「3Dで描かれる初のお姫様物語」があり、いわば記念的な作品なのに、丁度良い肩の力の抜け具合で、笑いと感動とロマンスが絶妙の配分で混ざり合った傑作となっている。

 物語は、昔ながらのお姫様物語なんだけど、展開と演出に現代味があり、全く古臭くない。ディズニー久々の真っ当なお姫様物語かと思いきや、かなりの変化球。前作の『プリンセスと魔法のキス』も変化球だったけど。ディズニー定番の動物のお供なんて、カメレオンだし。
 お姫様である主人公のラプンツェルの風貌がまず面白い。21メートルもある長髪という設定の時点で画面的には勝ったも同然。髪をズルズルと引きずりながら画面を横切る場面なんて、いつまで経っても髪の端が映らないから、その長髪ぶりに笑ってしまうくらい。冒頭のミュージカル場面からその長髪が存分に活かされており、その美しさと面白い――髪の毛を道具のように自由自在に使う――演出で、開始早々に観客の心を鷲掴みにする。その姿は、深窓のお姫様でなく、「インディ・ジョーンズ」だ。
 お姫様に対するは、定番なら王子様なんだけど、こそ泥! しかも、自信家でちょいとアホ! 『プリンセスと魔法のキス』の王子様も駄目王子だったけど、今度は王子様ですらない。
 2人の出会いは最悪で、最初の頃、こそ泥のフリンはラプンツェルを疎ましく思っている。しかし、そこから相思相愛に至る道が面白いの何の。やはり「インディ・ジョーンズ」ばりの大冒険が繰り広げられる。
 基本的に物語はコメディ寄りで、そのコメディ要素を一身に背負うのは、フリン。特に、フリンを追いかける騎士団の馬、マキシマスとのやり取りは爆笑! というか、マキシマス最っ高! 馬のくせに、馬とは思えない演出だらけ。フリンを見失った時は、鼻を掃除機のようにして、犬ばりに地面の匂いをかぎ、追跡する。ラプンツェルに甘やかされた時は、これまた犬のように尻尾をブンブン振り、あご下を撫でられれば猫のようにゴロゴロする。馬面のくせに、超可愛く見える。もうね、馬じゃないから!
 フリンとマキシマスのやり取りの面白いこと面白いこと。ラプンツェルとのロマンスが始まらなくても構わない、と思うくらい爆笑の連続。ラプンツェルを助けるためにマキシマスがフリンに協力する際も、ちょっと感動できる場面なのに、やはり笑わせる。動物キャラが主要キャラの一角を担っているのはディズニーの定番だけど、ここまでコメディ寄りなのは今までなかった。マキシマスなしに本作なし、といっても過言でない。
 ディズニー映画でこれだけ爆笑した作品は、本作が初めて

 演出として素晴らしく貢献しているのは、3D効果。
 『アバター』以降、たくさんの3D映画が登場したけど、個人的には『塔の上のラプンツェル』が現時点で3D映画の最高峰だと思う。全体的に無理せず、自然に画面の奥行きを演出している。
 しかし、それだけなら「まあ良く出来た3D演出」で終わるんだけど、「この場面のために3D演出を選んだのか」と思わせるような場面がある。ラプンツェルとフリンが湖上のボートでランタンを眺め、共に歌う場面。2人のランタンが、正に手に届くと思わされるような近さに浮かんで見える。あれには感動した。劇場にいた観客が私1人だけだったなら、ランタンに触れるかと手を伸ばしてみたかも(他にも客がいたから恥ずかしくてできなかった)。
 3D字幕版、3D吹き替え版、2D吹き替え版と計3回を観て、声優の演技力、3Dの効果と合わせて3D吹き替え版が最も観易い。今まで3D映画の殆どは、2D版の方が楽しみ易かったんだけど、本作は3Dで観るべき作品だ。3D版を観た後では、2D版の方が寂しく感じるくらい。

 ディズニー定番のミュージカル演出は一応あるけど、5回くらいしかない。
 印象的なのは、冒頭と酒場「かわいいアヒルの子」(どこが!)でのミュージカル場面。この2つは、説明を兼ねており、だからとてもコミカル。冒頭のは、ラプンツェルのキャラ設定と現状を歌と踊りで一気に説明している。巧い。酒場では、荒くれ者共がラプンツェルの味方になる意外と良い奴揃いだってことがわかる名場面。あとは、塔の外へ出た時と、ランタンの場面。どちらも感情の発露として機能している。特にランタンの場面は、幻想的な映像と合わさり、ディズニー映画史上屈指の名場面になっている。
 ミュージカルは、やはり感情の発露であるべきだ。思わず歌い踊らずにはいられない――そうでなければ。しかし、ミュージカル場面の少なさは、「もうミュージカルなんて古臭い」という思いがあるのかもしれない。寂しいなぁ。
 字幕版より、吹き替え版の方が歌は良かったね。大抵は逆なんだけど、さすがはディズニー・クオリティ、吹き替え版でも遜色ない声優を選んでいる。
 声優といえば、中川翔子さんがラプンツェルの吹き替えを担当していて、これが物凄く巧い! 感情の起伏が激しいラプンツェルを見事に演じている。すぐにでも声優に職業変更できるんじゃないか、ってレベル。まあ、それはラプンツェルというキャラの良さがあってのことだとは思う。
 ただ、それだけ声優としては大成功しているのに、歌の吹き替えは別の小此木麻里さんが担当しているのは疑問。中川さんの声で歌も聴いてみたかった。
 ディズニー・アニメは字幕版よりも吹き替え版の方がレベル高い、ということが多くなってきた。他の配給会社も、吹き替え版を作る際は、このレベルを見習ってほしいものだ。

 全体的に高レベルでまとまっている本作だけど、欠点がないわけじゃない。
 途中までは最っ高に面白いのに、途中から突如として魅力が激減するのだ。理由は単純、ラプンツェルの髪を短くしてしまったから。城下町に入って髪を三つ編みにしてから以降、急激に魅力が下がる。中盤までの出来の良さには「これはディズニー最高傑作かも!」と大興奮する。CGとは思えなくくらいに美しく魅力的な髪の表現だっただけに、髪が短かくなると動きに面白味がなくなり、画面の魅力度が激減する。一言でいえば、普通。
 活劇場面の演出は本当に素晴らしく、宮崎駿監督の『天空の城ラピュタ』まであと一歩、というところまで来ている。その一歩は物凄く幅広な一歩なので、届くようでなかなか届かない。宮崎監督なら絶対に髪を短くはしなかった(まあ、長髪の娘なんて描くの面倒だし最初から設定しないだろうけど)。
 ミュージカルの場面も素晴らしく、画面の隅々まで活かして演出を設計しているのに、それ以外の場面は杜撰な作りになっているのが勿体無い。活劇場面でこそミュージカル演出をすべきだと思うのだけれど、大抵そうはしないんだよねぇ。TVアニメみたいな画面設計になっている場面がたくさんあって、それはアップの多さで、それが完璧なキメになっているわけでもないので、これまた勿体無いなぁ、と。
 あと、物語が、現代的な味付けをするため、原作であるグリム童話「髪長姫」とはかけ離れていて。ゴーテルは魔女でなくなり、単なる意地悪はオバサンでしかない。悪知恵だけで、魔法は使わないしね。王子様はこそ泥になり、ラプンツェルは積極的に活躍する。まあ、それはいいと思う。妙に大人向けな内容で作られても困る。それならば、どうせなら結末をもうちょっと工夫してほしかった。
 結末は、ラプンツェルの髪の性質を活かした展開で、最後の最期になってフリンが命をかけて侠気を発揮し、思わず「えっ!?」と驚くような展開がある。そのフリンの命を救うのは、古風な「愛は奇跡を起こす」で、結局そこは原作通りなのかぁ、と。
 また、ゴーテルは悪人扱いだけど、本当に悪い人なんだろうか? 18歳までラプンツェルを育てたのはゴーテルで、ならば、ラプンツェルがお姫様としての品格を失わずにいられたのは、ゴーテルの育て方が良かったからだ。それを、確かに犯罪者だし、若さのことばかり考えている姑息な悪人かもしれないけど、何もかもをなかったことにしてゴーテルを死なせちゃうのはどーなのかと。若さばかりが大切なものじゃない、とゴーテルを改心させる展開があっても良かった筈。それに、本当にゴーテルに愛情はなかったのか? そこは、面倒だったから考えなかったんだろうなぁ。
 ゴーテルの真相に気付き、本当の両親の存在と自分の真の姿に気付いたとはいえ、少なくとも気付くまではゴーテルのことを「お母様」と慕っていたのは事実なんだし、ゴーテルを軽々しく見捨てるラプンツェルで良かったのか。今のままじゃ、ラプンツェルは薄情な娘でしかない。「少女の自立」という側面もあるにはあるけど、結局は流されているだけ。ラプンツェルが愛と知恵で国を統べられるとは思えない。知恵なさそうだし。
 その場の勢いで色んなものが済まされているけど、細かい部分は結構テキトーで、詰めの甘さがある。オープニングで状況設定を説明しちゃうのも駄目だった。構成としては、最後の最後まで全部が回想、ってことだし。つまり、フリンが死なないのは最初っから説明されているんだよね。わかり易いけど、謎深く見せた方が面白かったと思うだけに、あの構成は失敗。

 多少の不満はあれど、ラプンツェルの魅力だけでなく、フリン、マキシマスなどの主要キャラ、脇を固めるキャラ、そのどれもに魅力があり、素晴らしく楽しめる。
 普通に年間ベスト級の傑作なんだけど、後味があっさりし過ぎていて、長い賞味期限ではない。最後の“あの瞬間”までラプンツェルの髪の長さを活かした画面作りができていれば、大傑作になれたのに。何としても髪を短くしない展開を考えるべきだった。そこだけが惜しい。
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テーマ : 映画館で観た映画
ジャンル : 映画

tag : 塔の上のラプンツェル

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プロフィール

Author:ばっどていすとさんどいっち
テクノ好き。
アンダーワールドのRez大好き。
映画大好き。
ジャッキー・チェンが生涯の英雄。
生涯1位作品は『ミミズバーガー』。
2位が『溶解人間』。
泣き虫で、馬鹿。
itsuka-omoi-dasu-bts@hotmail.co.jp

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