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2012-09-30

<カナザワ映画祭2012 XXX>6日目(9/19)

 <カナザワ映画祭2012 XXX>の6日目です。
 上映される筈の『セクシー・ワールド』が諸事情で上映できなくなり、『ゼイ・コール・ハー・ワン・アイ』に差し替え上映です。もともと『ゼイ・コール・ハー・ワン・アイ』を観る気はなかったのですが、シネモンドで上映している『SR3 サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』を観たいのもあって、それなら上映が連続している『ゼイ・コール・ハー・ワン・アイ』を観ようと。
 また、先日のシンポジウムでかなざわ映画の会代表の小野寺生哉さんが、『ゼイ・コール・ハー・ワン・アイ』を上映させるための苦労話を語っておりまして、それならば観てみようと。
 製作・脚本・監督・出演のボー・アルネ・ヴィベニウスさんは、自分の大切な作品が自分に無断で上映されていないかネットで巡回監視しているらしく、<カナザワ映画祭2012 XXX>で上映することを発見し、メールで「その上映は違法だから、2,000ユーロ(約20万円)払え」と要求してきたとか。上映の2日前くらいのことだったそうです。
 『ゼイ・コール・ハー・ワン・アイ』の権利はアメリカの会社が所有しているそうで、クリスチナ・リンドバーグさんのマネージャーから助言してもらい、権利はクリアしたのに、ヴィベニウスさんは「違法だ!」と。結局はそれもリンドバーグさんのマネージャーに助けてもらい、無事に問題解決したそうです。

 さて、リンドバーグさんの「隻眼+黒のロングコート+ショットガン」というクールなお姿が有名であり、クエンティン・タランティーノ監督のお気に入りということですから、期待満々で観ましたら、寝ました。開始から10分くらいで。目が覚めたら既にリンドバーグさんは隻眼になっており、空手の特訓中でした。物語の肝心な部分がごっそり抜け落ちております。しかし大丈夫。作品の理解には特に問題ありません。
 子供の頃に変態に襲われた恐怖から失語症になったのに、大人になったら見た目が普通の変態に手籠めにされ、何か大変なことがあって隻眼になり、何か重要なことがあって復讐することになった。何で隻眼になり、何で復讐することになったのか、その2点が不明ですが、まあどうでもいいことです。重要なのはその後の復讐展開。
 エロとしては全く大したことがなく、テキトーな結合場面だけ挿入して、『ゴッドファーザー』の馬の生首場面を彷彿とさせる血の滴るベッドから始まる復讐劇は、映画の興奮を大きく勘違いしたカタルシス満載。カーチェイス(というか、走ってるだけだ)では、すれ違う車が意味もなく爆発炎上。リンドバーグさんの格闘場面では、一挙手一投足がスローモーション。空手チョップも空手キックもスローモーション。ショットガンを撃つのもスローモーション。撃たれた敵が倒れるのもスローモーション。効果音もBGMもスローモーション。きっついディレイかかってました。サム・ペキンパー監督の「死のバレエ」を模倣したのかもしれませんが、瞬間が引き伸ばされるというより、場面が弛緩しているようでした。ショッキングというより、まったり。最後は西部劇みたいにして終わります。
 はっきりいってアホみたいな作品ですが、所々に素晴らしい画面があり、眠い目を覚まさせてくれます。たとえばどっかのレストランをリンドバーグさんが襲撃する場面。撃たれた女性が倒れる前を敵のボスが駆け抜けて逃げる。フォーカスは女性にあり、ボスはぼやけている。スローモーションだからとてもその場面がカッコイイ。最後の西部劇のような、荒野に青い空もいい。ちまちまとリンドバーグさんが訓練している様を描くのもいい。アホみたいなポルノ映画だと思っていたら、意外や細部があり、空洞化した映画ではありませんでした。まあ、それでも、基本は弛緩しているのですけど(だから寝た)。
 今観ると結果的にビースティー・ボーイズの「Sabotage」のPVと同じような魅力を放っている面白作品でした。天然な分、『ゼイ・コール・ハー・ワン・アイ』の方が魅力は上です。寝てしまったくせに偉そうで申し訳ありませんが。

 ところで、今回シネモンドで上映されたのは修正版でした。「SEX爆音」上映は無修正だったのですから、シネモンドでの通常上映に無修正は問題あったのでしょうか。ま、修正に作品の魅力は関係ありませんでしたが(無修正版が見たければYouTubeで全編観られる)、どうせなら爆音上映で楽しむべきでした。差し替え上映でも観られて良かったです。
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テーマ : 映画館で観た映画
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tag : カナザワ映画祭

2012-09-27

<カナザワ映画祭2012 XXX>5日目(9/18)

 <カナザワ映画祭2012 XXX>の5日目です。
 毎年のことですが、連休が終わり、爆音上映も終わり、上映館はシネモンドだけになり、雰囲気は一気に寂しくなります。上映作品も爆音上映から外れたものばかりですから、最終日までは要注目といえる作品が少ないです。そんな中でも耳目を集めるのが、本日観た『縄と犬と人妻』と『ザ・異色ドキュメント 馬と女』でしょう。

 『縄と犬と人妻』は、クレジットに「名犬ラッキー」と記載があるのが面白かったくらいで、他には何も思い出せません……またもや失礼なことに、半分近く寝てしまいました。
 「縄と犬」、「犬と人妻」、「縄と人妻」に区分できる題名の衝撃度は高いものの、当然ながら「縄と犬」としての絡みはなく(たぶん。寝てる間にあったのかもしれないけど)、「縄と犬」のSMプレイがあれば……それこそ衝撃的な作品になったと思います。思いますが、そんなん誰も観たくないか。「雄犬×人間女性」はよく見ますが、「雌犬×人間男性」を描いた作品って全く見ませんから、犬が被虐側である作品は需要がないのでしょう。
 大切な愛犬が拉致誘拐され、身代金の要求と共に送られてきた動画に映されていたのは、緊縛プレイを強要されている愛犬の姿……「ああっ、ウチのワンちゃんに何てことを!?」みたいな展開なら容易に想像できますが……物凄く真面目に描いてもギャグにしかならん。ポルノとして機能する可能性が少しも想像できません。

 『ザ・異色ドキュメント 馬と女』は、何が「ドキュメント」なんだかさっぱりわからないものの、題名の衝撃度は『縄と犬と人妻』を遥かに超えます。
 意外や意外、物語としてちゃんと作られており、ますます何が「ドキュメント」なんだかわからないものの、いかにも安っぽいそのドラマが面白い。『闇金ウシジマくん』に登場してもおかしくない主人公が悲惨な人生への階段を2段飛ばしくらいで駆け降り、遂には馬と性交するに至る物語です。どん底の人生を描いている筈なのに、馬と性交する主人公にはなぜか神々しいものを感じます。主人公は常に他人のために働いており、それゆえに悲惨な人生なのですが、我欲を捨てたその姿に感動させられるのです。や、そんな大層なものではありませんが。
 登場人物の設定も描写も展開も門切り型で、全く工夫されておらず、危うく寝てしまいそうになるところを寸前で止めてくれるのは、2回くらい差し込まれる馬同士の性交というか種付け場面です。安っぽいメロドラマの最中に差し込まれる「ドキュメント」なそれは、作品の最終到達点である獣姦場面の凄まじさを否応なく想像させます。40cmくらいありそうな牡馬の勃起した陰茎を係の男性が持ち、雌馬の膣に誘導します。あんなの……串刺しじゃないっすか!
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 あともう1ヶ所、驚かされた展開があります。主人公はヤクザな男に騙され、金づる兼性欲発散道具としてこき使われるのですが、子供が生まれることをきっかけに逃亡します。誰にも知られない地で、子供を立派に育て、ちゃんとした家に住むことを夢想し、ストリップ嬢として働きます。しかし、ヤクザ男はせっかくの金づるを逃がしてなるものかと、主人公を追いかけて来ます。再び主人公の前に現れたヤクザ男は、「子供なんて邪魔なだけだから、どっかに捨ててこい」と恫喝します。この男に関わっていたら自分の人生だけならず子供の人生までお終いだ、と思った主人公は、ヤクザ男の前で自分の左手の小指を食い千切ります。小指を咥え、「ううううーっ!」と唸りながら、ぶっちーっ! 血ぃダラダラーっ! んで、食い千切った小指をヤクザ男に投げ付け、「もう私に関わらないで! 私の前に現れる度、指を食い千切る! 指が全部なくなったら、死ぬ!」と啖呵を切ります。鬼気迫るその迫力に圧倒されたヤクザ男は主人公の前に現れなくなりました。まあ、「ドラえもん」みたいな手になられたら金づるになりませんしねぇ。このいきなりなスプラッター展開(という程ではないけど)には目が覚めました。
 で、その後はお待ちかねの「馬と女」です。もっと金を稼ぐためにはもっとネームバリューが必要だと感じた主人公は、遂に馬との獣姦を決意します。そのために膣穴を広げる手術までして。丁寧なことに、医者が「こんなの初めてだよー」といいながらの手術場面もあります。
 ボカシがかかっているので本当に馬の陰茎を舐めたりしたのかわかりませんが、どアップの場面では明らかなハリボテを使ってました。『ブギーナイツ』のより明らかな。主人公の喘ぎ声だけが際立つ、静かに繰り広げられる獣姦場面は、妙な緊張感と迫力があり、正に「ザ・異色ドキュメント」な感じがしました。そして、すっごい量の射精があり、精液に塗れて恍惚とした表情の主人公が映され、終わります。
 主人公を演じる岡田きよみさんの熱演がとても良かったです。指を食い千切った後の場面では、小指を曲げて演じていたのがチラチラ見え、微笑ましい感じでした。

 『縄と犬と人妻』は寝てしまいましたが、『ザ・異色ドキュメント 馬と女』は寝ないどころか、とても面白かったです。エロの合間に予想もしないスプラッター展開が混ざっている点も<カナザワ映画祭>らしい感じでした。

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ジャンル : 映画

tag : カナザワ映画祭

2012-09-25

<カナザワ映画祭2012 XXX>4日目(9/17)

 <カナザワ映画祭2012 XXX>の4日目です。
 1本目の『ビリティス』が諸事情で上映できなくなり、「本宮映画劇場田村修司館主の語りと『ピンク映画いい場面コレクション』」と差し替えになったようですが、むしろ嬉しい誤算です。簡単に観られないものを観る方が祭として価値ありますからね。早めに来てサポーター特典(優先入場)を使わせていただきますよ!
 どうでもいいことですが、家を出る直前にTVの情報番組を見ていましたら、中国の反日暴動について報道していまして、暴徒化した中国人が日系のデパートを襲撃する様が映されていました。道のあちこちから集まり、集団となって暴走する様が「走る『ゾンビ』もの」か『28日後...』のようだなぁ、と思っていたら、暴徒と化した中国人を映すTV画面から『28日後...』のテーマ曲が! 画面には大変な騒ぎが映っていましたが、思わず笑ってしまいました。編集を担当した方、良い選曲です! あの悲壮なテーマ曲を頭の中でリピートしながら、気分良く映画祭に向かいました。

 本日は最初から最後まで全部観ました。『愛の嵐』、シンポジウム「これからのフィルム上映」、『グリーンドア』、『BAD FILM』。

 「本宮映画劇場田村修司館主の語りと『ピンク映画いい場面コレクション』」は、良かったですねー。入場時にフィルムの一部分をいただきました。「Kanazawa2012 歓写 本宮映画劇場 田村修司」とラベルの貼られた小さいビニール袋に入れられていたのは、何とピンク映画のフィルムの一部分で、「張り方を咥えた女性」が映っていました。何の作品の何の場面か全くわかりませんが、驚きのプレゼントにとても嬉しく思いました。田村館主、ええ方や~。大切に大切に保管させていただきます。しおりとして使いたい気もしますが、誰かに見られた時のことを考えると……無理かー。
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 場内には渡辺マリさんの「東京ドドンパ娘」等の懐メロがかかっており、また檀上には田村館主持参の懐かしのポスターが置いてあり、昭和前期の雰囲気を演出してありました。
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 田村館主は、とても楽しそうに、講演にでも慣れているのか、大勢の観客を前にしても臆すことなくスラスラと澱みなくわかり易くお話し下さいました。田村館主については、私が説明するより、都築響一さんの「独居老人スタイル」を読んでいただくべきでしょう。
webちくま「独居老人スタイル ─micro nirvana─」都築響一 → 第6回 手伝ってくれるひとなんて、だれもいないんだよ。 田村修司 本宮映画劇場館主
 上映された「ピンク映画いい場面コレクション」は、ピンク映画が白黒からカラーに変わる時代の変化を楽しむ巻芸者ばかりを存分に堪能する巻お風呂場面ばかりを存分に堪能する巻谷ナオミさんを存分に堪能する巻、と4巻に分かれていました。「いい場面コレクション」というだけはあり、裸、裸、裸、裸。余計な焦らしのない、全編クライマックスな、見事すぎるピンク映画Djミックスでした。映像だけでなく音楽にもこだわっており、とにかく陽気。「おっぴょ節」とか、ピンク映画でもなければ聴けない名曲も裸と合わせて聴ける素晴らしさ。
 ただ、Djミックス的観点からすると、「いい場面コレクション」だけはあり、ブレイクがなく、単調に感じました。盛り上げにブレイクは必須。単調ゆえに、貴重な映像の数々ではありますが、面白味が薄いと感じました。たぶん「観客に楽しんでもらおう」という姿勢が逆に面白味を欠く要因になったのではないでしょうか。
 とはいえ、「ピンク映画いい場面コレクション」が、田村館主の半世紀近い間に蓄積された情熱が込められた、しかも観客のことを考えた、エロなのに笑顔になり、感動させられる「作品」であることは間違いありません。観られて良かったです。

 ところで、「本宮映画劇場田村修司館主の語りと『ピンク映画いい場面コレクション』」を観た金沢市民であれば当然に想うことがあると思います。駅前シネマのことです。
 今回の<カナザワ映画祭>がエロをテーマとすると知った時、また駅前シネマでも何か行うのかと真っ先に思いました。駅前シネマは全く関与しなかったのでしょうか? 本宮映画劇場と違い、駅前シネマはまだ営業を続けていますが、間近にいるピンク映画館の扱いが低いようで、何となく寂しい感じがしました。
 今では「駅前シネマニュース」の発行もなくなり、失礼ながら駅前シネマの経営が良化していることはないと思います。ピンク映画を観るために若い女性客もたくさん集まった<カナザワ映画祭2012 XXX>ですが、現在のピンク映画館は盛況から遠ざかっています。都築さんがフックアップすることで本宮映画劇場は注目されましたし、<カナザワ映画祭2012 XXX>によって過去の厳選されたピンク映画は注目されますが、現在のピンク映画は放置ですから、駅前シネマにとっては大して得のない状況だと思います。
 <カナザワ映画祭>は映画をフックアップします。それがフィルムであれデジタルであれ、劇場で観る、という価値観をフックアップします。その試みの1つが爆音上映です。それは成功しています。次に狙うは「映画館」のフックアップでしょうか。続けることで次が見えてくる、そんなことを勝手に思いました。

 『愛の嵐』は……もったいないことに、半分以上を寝てしまいました。出だしから眠くなってきて……殆ど記憶に残ってません。

 シンポジウムは、熱いような温いような、微妙な話し合いでしたねー。
 公式サイトやプログラムには「これからのフィルム上映」と明記されていましたが、実際は「フィルムをどうやって残すか」が主でした。フィルムでしか現存していない作品がどうなるのか、どうするのか。「フィルムとデジタル、どっちが優れているか」や、「デジタル化によって映画館はどうなるのか」というような問題は話し合わない、と最初に宣言されました。デジタル化は進行しているので、そのようなことを話し合うのは無駄、ということです。
 フィルムでしか現存していない作品が全て漏らさずデジタル化されるなら問題ないのでしょう。しかし、DVDやBlu-Rayのソフトを見てもわかるように、デジタル化の完成度は、予算と技術力に左右されます。予算がなければ、そもそもデジタル化を見送る作品だってたくさんあるでしょう。結局は、お金と技術力。
 面白いお話しが色々ありましたが、長くなるので割愛。

 『グリーンドア』も、またもや半分以上寝てしまいました。奇妙な味わいのある作品だなぁ、と最初は面白がっていたのですが……気付いたら寝ていました。あー、もったいない。

 『BAD FILM』は、本日の――というより、<カナザワ映画祭2012 XXX>の最大の目玉上映といっても過言でありません。今や世界的に名の知れた園子温監督の幻の未完作品が<カナザワ映画祭>にて完成披露され、これが最初で最後の上映になると聞けば、誰だって興奮します。私も大興奮で挑みました。もちろんサポーター特典使いましたよ。
 が、正直、これは我慢して観る作品でした。いや、作品そのものは良かったと思います。今のようなプロではない園監督が作ったものと考えれば、物凄い作品であることに反論の余地はありません。何十億円もかけて『BAD FILM』を超えられない作品が今でも大量に作られてるのですから。それでも、上映時間が長すぎます。もっと短くできた筈です。今の園監督が編集したことを考えれば、酷い編集だと思いました。<カナザワ映画祭>という特殊な映画祭だからこそ暖かく迎え入れられますが、これが一般公開であれば駄作と断言して構わないでしょう。
 途中で帰ろうかと思ったのですが、座席の位置が列のど真ん中だったため、他の観客の邪魔になると思い、我慢して最後まで観ました。観てるのも疲れたので寝ようと思ったのですが、こーゆー時に限って全く眠くない。申し訳ありませんが、苦行でしたね。

 本日は、映画そのものは全くノれませんでした。映画祭なのに。「本宮映画劇場田村修司館主の語りと『ピンク映画いい場面コレクション』」とシンポジウムはとても楽しめましたが。最後の『BAD FILM』は体力を吸い取るような作品でしたので、帰宅するとすぐに寝てしまいました。
 あ、そうそう、本日とても驚いたことがありました。シンポジウムに金沢市長がご登壇されたことです!!! エロがテーマで、「無修正版」とかを上映しているような映画祭に、金沢市が助成しているとはいえ、市長がいらっしゃるとは……金沢市は寛容なところです。神代辰巳監督の特集上映をしようとして映画祭中止となった青森の<なみおか映画祭>という例がありますし。<なみおか映画祭>は真面目な映画祭だったのに、ロマンポルノを上映するってだけで目くじらを立てる方がいるんだから、<カナザワ映画祭>なんてどー思われるのやら。驚きの余り卒倒するかも。真面目なシンポジウムがあるのも……実は対策?
 <カナザワ映画祭>の開催は、綱渡りのようなバランス感覚に支えられているのかもしれない、と思わされた一日でした。

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2012-09-23

<カナザワ映画祭2012 XXX>3日目(9/16)

 <カナザワ映画祭2012 XXX>の3日目です。
 考えると私、サポーターにならせていただきましたが(賛同金は最低の1万円ですけど……)、9月7日以降に申し込んだため、受付で申し出ないとサポーター特典をいただけず、昨日は一般客の行列に並んで観ていましたから、「今日はサポーターとして優先入場しよう」と思ったものの、会場である金沢都ホテル・セミナーホールに着いたのが入場開始後だったため、サポーター効果を発揮できる機会少なかったです。立て続けに作品を観る時も、トイレに行ったり飲食物を購入したりして会場に戻ったら入場開始しており……サポーター効果を発揮したのは3日間で4回でしたね。もったいない……
 本日は、『フリッツ・ザ・キャット』、『ウォーター・パワー』、『バタリアン』の3本を鑑賞。

 『フリッツ・ザ・キャット』は……申し訳ないのですが、所々で寝てしまいました。
 音楽目当てで観たので、失礼ながら内容には大して興味なし。ありきたりですが「ファンキーでクール」という表現が最適な音楽に溢れており、特に印象的だったのは、ボ・ディドリーさんの「Bo Diddley」と、ビリー・ホリデイさんの「Yesterdays」がかかるところ。ディドリーさんのは、強力なリズムで昂揚感を与えてくれます。逆にホリデイさんのは、過ぎ去った幸せを懐かしむ哀愁が痛切に響きます(ちゃんと絵もそれに合わせている)。エンディング曲も良かったです。その他の音楽もとにかく楽しくて「爆音上映最高!」でした。
 
 しかし、音楽と絵は面白かったものの、画面全体の退屈さが上回ってしまい……撃沈。気付いたらフリッツが病院に入っていました。

 『ウォーター・パワー』は、初めて観る作品です。正直、全く期待しておらず、フィルム上映でないことが開始してからわかり(公式サイトやプログラムを見れば、ちゃんと「デジタル」と表記されてるのに、よく見てなくて知らなかった)、かなりガッカリもしたのですが……
 最っ高に面白かった! 何といいますか、明日をも知れぬ<カナザワ映画祭>の心意気を浣腸プレイに見た!
 どうでも良いことですが、これはサポーターとして優先入場させていただきましたので、サポーターの列は一般客のより短く、出入口により近い場所に並んでおりまして、そしたら何か4、5人の外国人グループが大きな声で会話をしておりまして、「日本人は糞を観るために並んでんのか!?」と、まるで日本人が発狂しているようなことを仰っておりました。どーせ何喋ってんだかわかんねーだろ、とか思っていたのだと思います。いや、これ、おらが国のもんじゃねーからな!
 内容は……えー、<カナザワ映画祭2012 XXX>って金沢市が助成しているのですよね……これ、上映して大丈夫なの!? 猥褻物頒布等の罪で逮捕されたりしない!? と心配になるくらいの作品でした。しかし、そこが凄いのでなく、『ウォーター・パワー』の凄さは、作品としての面白さにあります。
 物語を簡単に表現すると、『裏窓』+「必殺仕置人」または『タクシー・ドライバー』+浣腸。つまり、浣腸で世直しする物語です。ふしだらな女性を発見しては、体内から汚れを噴出させ、身も心も聖い改めさせる主人公の大河ロマンです。大河ロマンとは大袈裟な、と思うでしょうが、台詞には「人類の歴史は浣腸と共にあった」とか、「俺は浣腸の使者だ」とか、「浣腸には責任が伴う」とか、そんな感じの名言・格言がありますので、これは大河ロマンといって差し支えないと思います。やってることは単なる盗み見と不法侵入とレイプですが。
 とにかく徹頭徹尾メッチャクチャです。物語に何のカタルシスも解決もないまま「THE END」ですし。終わった瞬間、愕然とすること請け合いです。ただし、上映されたのは短縮版のようで、肝心要の噴出場面が全部カットされており、そこは大いに不満でした。普通のハードコア場面を残すより、浣腸からの噴出場面を重要視すべきだったと思います。いや、そんなに噴出場面が観たいわけではありませんが、「アブノーマルスペシャル」なのですから、カットすべき部分が逆じゃないかなぁ、と。
 あと、音楽にブライアン・デ・パルマ監督の『悪魔のシスター』を思いっきり使ってましたね。ハードコアな場面にバーナード・ハーマンさんの名曲がかかっていました。それだけで笑ってしまいました。なんちゅーセンスだ。


 『バタリアン』は、素直に面白かったです。ロビーにポスターが貼ってあって、欲しかった~。
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 子供の頃に観て以来の久々の鑑賞ですが、全く古びていませんでした。アイデアとテンポの良さは、数多の「ゾンビ」ものの中でも別格です。久々に観て気付いたのは、登場人物に嫌な奴が誰もいないことです。少しは仲間割れの展開がありますが、基本的にみんなで協力して事態の解決を図ります。それがテンポの良さに繋がっているので、脚本の見事さに改めて感心しました。
 音楽も良かった。あったま悪そーな感じが。爆音上映に最適。ミュージカルになっても良いくらいです。ミュージカル版を作るべきです。
 「核ミサイルで一件落着」という、今までの苦労が徒労でしかない皮肉な結末から、『バタリアン』の上映は、原発問題で右往左往している日本の現状を皮肉った選定だったのでしょうか? そんなわけないと思いますが、そう妄想すると、<カナザワ映画祭>恐るべしです。

 本日は、『ウォーター・パワー』が最高でした。<カナザワ映画祭2012 XXX>で最も凄い作品決定かも。入場前に外国人集団がいってたことは間違ってませんでしたね。こんな作品に行列作る日本人、狂ってるわ!

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2012-09-20

<カナザワ映画祭2012 XXX>2日目(9/15)

 前日の野外上映について、北國新聞に記事がありまして、それによると集客数は400人くらいだったそうです。そんなにいたの!? 私の見積もりの倍! いやぁ、失礼しました。
 さて、本日からが<カナザワ映画祭2012 XXX>の見所である爆音上映の開始です。今年は何つっても「SEX爆音」ですからね、どれ程に悶え苦しむ音響なのか楽しみです。
 爆音上映を行う主会場の金沢都ホテル・セミナーホールがある都ホテル内にはポスターがあちこちに貼ってあり、それを見るだけで盛り上がります。
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 観たのは5本。『丑三つの村』、『』、『スペースバンパイア』、『不良姐御伝 猪の鹿お蝶』、『ポルノの女王 にっぽんSEX旅行』。

 『丑三つの村』は、諸事情によって上映できなくなった『ヘンリー・ミラーの性生活』の代替作品。ギリギリになって発生する問題もあるのですね。
 有名な「津山30人殺し」を題材とした作品で、古尾谷雅人さんに「皆様方よ、今に見ておれでございますよぉ」、「皆様方よ、さようならでございますよぉ」という2つの名台詞をカメラ目線でいわせる演出の奇妙な味わいが忘れ難き名作です。これから皆殺しを始めようって時に、自分の首を自ら縄で絞めて「うぇー、うぇー、うぇー」とふざけてみせる不快な演出も素晴らしく、<カナザワ映画祭2012 XXX>の本格的な上映第1本目として最適な作品です。
 エロとしての実用性は高くないものの、犯罪ものというか殺戮ものとしての実用性(?)は高く、それは野村芳太郎監督版の『八つ墓村』よりも素晴らしい。古尾谷さんの悪人には決して見えない、身近にいそうな感じのする普通の学生風の演技が殺戮を際立たせているからです。市川崑監督版の方は音響によって迫力を上げていますが、『丑三つの村』には敵いません。やはり「皆様方よ、今に見ておれでございますよぉ」が効いています。
 ただ、爆音上映の効果は全くありませんでしたね。別に<カナザワ映画祭2012 XXX>で観なきゃならない作品でもありませんから、観客数も少なかったように見えました。

 『河』も爆音上映に向いていないと思っていたら、やはり向いていませんでした。映画としては素晴らしい傑作なんですが。
 得体の知れない首の奇病、食事、豪雨、雨漏り、サウナ、ゲイのセックス、親子関係、男女関係、男男関係、それらが整理されることなく、まとまることなく、主に固定画面の長回しで映され続ける『河』は、簡単に説明できる物語もなく、観客を先行き不安なまま最後まで運びます。
 クライマックスのゲイサウナの場面は強烈です。半裸の男たちが溢れているうす暗い通路を主人公は歩き続けます。男たちが個室のドアを開けては閉じ開けては閉じ、ガチャリ、バタン、ガチャリ、バタン、とただその音だけが鳴り響く画面。そしてようやく主人公が見つけた先には、実の父親とのラブシーンが待ち受けています。天井からの小さなライトだけで演出されるそれは、ギリギリまで相手が父親であることを判明させず、妙な緊張感を漲らせています。そして物語は、何も解決しないまま、終わります。
 実に<カナザワ映画祭>らしい作品ですが、爆音上映向きではないためか、やはり観客数は少なかったように見えました。

 『スペースバンパイア』には行列ができていました。皆さん、わかり易いですねぇ。
 ロビーには大きなポスターが貼られていました。隅に欠損がありましたので、どなたかのコレクションを拝借したのでしょう、ありがたやありがたや。
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 題名は「バンパイア」ですけど、実は『スペースゾンビ』といった方が正確な作品で、これは爆音上映向きでした。久しぶりに聴いたヘンリー・マンシーニさんの勇ましいテーマ曲に大興奮! マンシーニさんの作品で他にここまで勇ましいマーチはなかったと思います。初めて観た時、作曲がマンシーニさんだと知って驚きましたからね。とにかく超! 超超超名曲! それを爆音で聴けただけでも観た価値があります。

 子供の頃の記憶のままなので、音楽と枯れた死体と女バンパイアの裸とSFXのカッコ良さしか覚えておらず、どんな物語だったかは忘れており、新鮮な気持ちで観ることができました。そしたら、やはり音楽と枯れた死体と女バンパイアの裸とSFXのカッコ良さだけの作品でした。改めて観るとかなり間延びした作品で、途中で少し寝てしまいました。
 あと、アメリカ版を上映したのか、字幕を新たに作ったようで、字幕のタイミングが全てずれている上に不足が多かったのは、頑張りが足りなかったようですね。
 爆音上映には向いていましたが、<カナザワ映画祭2012 XXX>には向いているとは言い難い作品だと思いました。

 『不良姐御伝 猪の鹿お蝶』は、鈴木則文監督の作品で、<カナザワ映画祭>お得意のところですね。
 クリスチナ・リンドバーグさんの特集としての上映ですが、やはり池玲子さんのカッコ良さの前ではリンドバーグさんの存在感は弱く、強引に物語に絡めた感が強い。アクションあり、エロは山盛り、展開のテンポも良く、とても面白い作品ですから楽しめることは間違いないのですが。
 今でも鮮烈な画面作りはさすがの鈴木監督作品で、安っぽい作品ではありますが、要所要所での素晴らしい画面がマイナス要素を全て吹き飛ばします。余りの面白さに、エロが邪魔に感じる程。エロが邪魔ってのも申し訳ない感想ですが。
 ようやく<カナザワ映画祭2012 XXX>の本格始動って感じの上映でした。が、やはり爆音上映の効果は殆どなしでした。

 『ポルノの女王 にっぽんSEX旅行』は、中島貞夫監督の作品で、これまた<カナザワ映画祭>お得意のところです。初めて観る作品ですので楽しみにしていたら、予想を遥かに超える物凄く素晴らしい作品でした。
 偶然と勘違いによる出会いと別れ、そう表現してしまうと面白くありませんが、互いが何をいっているのか全くわからない者同士となると、とてもドラマティック。まず、リンドバーグさんの役が何者なのか後半まで判明させないのが巧いです。単なるコメディなのかと思ったら、徐々にドラマの様相が変化し、それはリンドバーグさんが集団レイプされる場面以降、特に顕著となります。何をいっているのかわからない者同士が、傷付け、慰め、心を通わせる。この一連の流れ、脚本が見事です。細かい伏線もちゃんと回収し、主役2人以外の登場人物も少ない描写ながら物語を盛り上げ、動かすことに貢献するよう配置されており、72分という上映時間を何1つ無駄にしていません。
 撮影、セットも素晴らしい。孤独を噛み締める主人公の部屋という主張が見事に表現されています。リンドバーグさんが傷心の末、主人公と橋の上で遭う場面、フォーカスの当て方が見事です。
 リンドバーグさんの清楚な感じも素晴らしいと思いますが、荒木一郎さんの鬱屈とした青年の演技が素晴らしい。
 エロとのバランスも見事。エロなしには表現できない物語です。子供のようなロマンスと夢を、大人の表現でコーティングした大傑作です。
 これも爆音上映の効果があるとは思えず、そこだけが惜しいと思いました。あと、<カナザワ映画祭>お得意の上映事故が発生したのも面白かったです。フィルムをちゃんと巻き戻さないままで上映したようでしたね。上映事故が面白いってのは失礼ですけど。

 『ポルノの女王 にっぽんSEX旅行』上映後はそのまま、リンドバーグさん、中島監督、柳下毅一郎さんの3人よるティーチインに入りました。中島監督のお優しいお顔には和まされ、リンドバーグさんのお美しいお姿には感嘆し、柳下さんには……特に何も感じませんでしたが、楽しいティーチインでした。
 リンドバーグさんは金沢市に来たのは『不良姐御伝 猪の鹿お蝶』以来40年ぶりだったそうですが、実は実際に金沢市に来たのは初めてだそうです。『不良姐御伝 猪の鹿お蝶』に金沢市が出ますが、実際の撮影は京都で行ったそうです。映画の中では金沢市にいたことがあるけど、実際に訪れるのは今回が初めてなので、とても不思議な感じ、と仰っていました。ま、そーゆーことは、金沢と京都は共に古都を売りにしていますから、日本のTVドラマや映画の撮影でもよくあることです。
 今、日本で撮った2作品を観ると、暴力場面の印象が強いため、観るのが辛いそうです。しかし、その作品を観るために日本中から若い映画ファンが集い、リンドバーグさんも初めて金沢市に来ることになったわけですから、役者をやって良かった、と。
 中島監督はリンドバーグさんのことを大変絶賛しており、英語を誰も理解できない撮影現場で1人奮闘するリンドバーグさんは、このまま女優だけで終わる女性ではない、と思ったとか。その中島監督がリンドバーグさんの面白いエピソードを語ってくれました。
 今も当時もリンドバーグさんは環境問題とか社会問題にとても強い関心を抱いており、撮影当時の日本は公害が大きな問題となっていたこともあってか、「日本は公害のせいで大気汚染が酷く、日本人はそのため鼻毛がボーボーなってしまい、『鼻毛切りはさみ』なるものが作られているそうですね」と話していたそうです。もしかしてそれ、『ドラえもん』が情報の出所? いや、確か、『ドラえもん』に「大気汚染のせいで未来の人類は鼻毛がボーボーになる」という描写があったと思うのですよ。うーん、どうなんだろう。で、リンドバーグさんの母国スウェーデンには「鼻毛切りはさみ」がないため、是非ともお土産にしたい、と。中島監督も「鼻毛切りはさみ」を知らなかったそうで、探して購入し、リンドバーグさんにプレゼントしたそうです。微笑ましいエピソードです。

 爆音上映の始まった2日目は、『ポルノの女王 にっぽんSEX旅行』が最高でした。こんな作品がDVDにもならずに埋もれて行くかもしれないと思うと、悲しいことです。<カナザワ映画祭>に大感謝ですね。
 あと、会場が21世紀美術館から金沢都ホテル・セミナーホールに移って、劇的に観易さが向上しました。座席数が多い! 座り易い! 飲食物の入手・飲食が容易い! 今後もずっと金沢都ホテル・セミナーホールで開催してほしいと思いましたが、何か、ちょっと寂しい感じもしました。贅沢な愚痴です。

テーマ : 映画館で観た映画
ジャンル : 映画

tag : カナザワ映画祭

2012-09-14

<カナザワ映画祭2012 XXX>初日(9/14)

 行って参りました<カナザワ映画祭2012 XXX>の野外上映に!

 夕方に一瞬、激しい雨が降ったため、金沢都ホテル・セミナーホールに場所移動かなぁ、と野外上映を危ぶみましたが、雨は30分程で止み、その後は何事もなかったように、多少は曇っていましたが、強風もなく、適度に涼しく、快適な状態で上映が開始されました。
 会場となった香林坊にぎわい広場には、老若男女が集まり、用意された150人分くらいのパイプ椅子は全て埋まり(ちゃんと数えてないので、何となくの数字)、座れない方々は思い思いの場所に腰掛け、または立ったままで、上映を今か今かと待ちわびていました。大体200人くらいは集まったのでしょうか。見渡すと、小さなお子様を連れた方もいて、おいおい、これは子連れ向きの作品じゃないの知ってんのか、と驚きましたが、まあ、情操教育には最適な作品でもありますから、何の問題もありませんので、良いことだと感動しました。小さなお子様は2人程いたと思います。『ショーガール』を観たそのお子様は、将来どのような大人に育つのか楽しみです。

 かなざわ映画の会による開始挨拶の後には、サプライズ・ゲストとして、クリスチナ・リンドバーグさんがご登場されました。作品で観られるお姿からはお年を召していますが、とてもお美しく、上品さがあり、しかしマイクのハウリングに「マイガッ」と驚くチャーミングさもあり、『不良姐御伝 猪の鹿お蝶』の撮影から40年を経て金沢に来ることになった不思議を短く端的な感想としてまとめ上げ、<カナザワ映画祭2012 XXX>の開幕を盛り上げました。
 芸子さんが花束の贈呈をしていましたが、失礼ながらお名前をど忘れしました。

 そのすぐ後、さらにサプライズとして、ポールダンサーのKAORIさんがご登場され、見事すぎるポールダンスをご披露して下さいました。本当に見事すぎて、その魅惑的なお姿に見惚れる余裕もありませんでした。初めて実際のポールダンスを観たので、あんなに激しくもカッコイイものとは知りませんでした。映画なんかで映されるものはせいぜいがポールに掴まってクルクル回ってるくらいですから、あんな新体操みたいなアクロバティックなものとは! オリンピックはポールダンスを新体操に組み込んだらどうですかね。視聴率が万倍くらいに跳ね上がりますよ。出初式もポールダンスにしてみたらどうでしょうか。
 会場が大盛り上がりした後、遂に『ショーガール』の上映開始です。

 まあ、あれですね、何度観ても、すっごい下らない作品です。成り上がりの下剋上の女の戦いのロマンとエロスとバイオレンスが溢れる脂ぎった作品です。とにかく、内容の安っぽさが素晴らしい。アメリカン・ドリームな話なのですが、舞台が底辺すぎて空しくなりそうなのに、物凄く感動するのは、どこかから来て、どこかへ去るという構造ゆえだと思います。下らないけれど、ちゃんと「映画」してます。
 笑って、泣ける。そして画面を覆う裸体に裸体に裸体。しかもその表現は、エロスといよりバイオレンス。裸体が咲き乱れているのに、エロを感じる前に恐れ戦いてしまう。ポール・ヴァーホーヴェン監督は、美女たちの裸体を、ナイフかハンマーかチェンソーのように振り乱して描きます。「女の武器」なんて表現がありますが、むしろ凶器。
 <カナザワ映画祭2012 XXX>の華々しい開幕には最適の作品でした。

テーマ : 映画関連ネタ
ジャンル : 映画

2012-09-12

『踊るダークナイト捜査線 新たなるライジング』

 今さらながら『ダークナイト ライジング』をようやく観て、続けて『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』も観ました。そしたら意外なことに、両者が似ている! 驚きです。
 何が似ているって、内容でなく、出来の悪さが。いや、内容も表層的に似ています。

 『ダークナイト ライジング』は、警察組織に疲弊した者が勝手に奮闘する話で、敵は身勝手な被害妄想で世間を大混乱に陥れてやろうとします。
 『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』も、警察組織に疲弊した者が勝手に奮闘する話で、敵は身勝手な正義感で世間を大混乱に陥れてやろうとします。
 両者に共通しているのが、機能しない組織に対する不満と、意味不明ではた迷惑な義務感です。製作費に凄い差があり、表現方法にも物凄い差がありますが、その要素を作品の良さとして巧く昇華できていない点は同じです。要素だけを取り出せば似ている作品なんて無数にありますが、まさか『ダークナイト ライジング』と『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』が似ていると思わされるとは。両作品とも、予告編から「これは面白くなさそうだなぁ」と思いましたし、出だしから「これは駄目かも……」と思いましたし。

 『ダークナイト ライジング』は、出だしの一瞬は物凄く興奮させられるのですが、スポーンと落ちて行く飛行機が地上に激突する様を映さないので、「ああ、これはそーゆー作品なのね……」と思わされます。『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』も、出だしからふざけていて、まあそれはいつものことだからいいとしても、逃走劇が始まっても躍動感が全くないため、「いつも通りに映画化失敗作のままか」と思わされます。これまた共通しているのが、躍動感のなさ。走ったり跳んだりと運動しているのに、画面に躍動感が全くない。
 たぶん、映画としてのちゃんとしたコンセプトが共にないのではないかと思います。『ダークナイト ライジング』なら、縦の構図といいますか上下の対立姿勢が随所に現れるのに、上昇と下降の運動が全く活きていません。『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』なら、出だしから走っていますし、クライマックスでも走っていますし、バスだって走っていますから、走る運動が物語にも効果的に活きないと意味がないのに、すぐに停滞してしまいます。作っている側はそのようなことを気にしていないのかもしれません。でなければ『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』で佳境に大ズッコケさせたりしません。
 そうそう、「ダークナイト」シリーズは「海猿」シリーズとも似ているな、と思いました。いざって時に何をのんびり話してんだ、って点で。

 両作品とも、面白くなる要素がたくさんあるのに、大好きな作品だけに、とても勿体ない。映画でなく、TVドラマで作っていればとても面白いものになったでしょう。

テーマ : 映画関連ネタ
ジャンル : 映画

2012-09-11

「プリキュア」と『ムカデ人間2』は妄想系という意味でなら同じ

 女児を狙った事件が続けて発生し、広島県で起きた小6女児鞄詰め込み事件に関しては「犯人が『プリキュア』好き」だったようで、もしかしたらまたもやアニメ・漫画規制のきっかけになろうとしているのでしょうか。今のところは規制論が大賑わいとなっていないようですが。

 失礼ながら面白いのが、これ。
産経ニュース → 「被害者に申し訳ない」成城大が記者会見 小6女児かばん監禁事件
 上記リンク先から抜粋。

 成城大の神田範明学生部長が5日、大学内で記者会見し、「本人が在籍する大学としては、大きな事件を起こし、被害者の方に大変申し訳ないと思っている」と陳謝した。
 成城大は5日午前11時ごろ、「本学学生における不祥事について」とのタイトルで「大変遺憾に思う」などとホームページにコメントを掲載した。

 いや、学校は何の関係もないでしょ。とりあえず謝っとこって姿勢は、たとえば韓国と揉めている従軍慰安婦強制連行問題と同じで、後々で別の問題に発展する可能性がありますから、止めた方が良いと思います。毅然として謝らない、というのも重要でしょう。

 それにしても、産経ニュースで「性犯罪」というカテゴリーでニュースをテキトー見ると、
 9月9日 → またわいせつ教諭 女児の動画公開で逮捕 宮城県の小学校
 9月9日 → 文化祭でチアダンスの女子高生撮影 “盗撮仲間”の川崎市職員と銀行員を逮捕
 9月9日 → スマホで下半身撮影 盗撮容疑で秋田県警職員を逮捕
 9月5日 → 足にデジカメ、同僚のスカート内盗撮 容疑の市職員書類送検 茨城・ひたちなか市
 8月31日 → 「興奮した」 女子高生の太もも盗撮 容疑の巡査逮捕 愛知県警
 8月9日 → 25歳女教諭、小学女児の裸盗撮容疑で逮捕「女性の美しい胸見るのが好き」
最近の事件だけでも公務員による性犯罪がずらーっと並びます。何なんでしょうか。これをもって「今、日本の公務員はヤバい!」と結論付けて良いのでしょうか。公務員ってお堅い仕事だから、ストレスも溜まって性犯罪に走り易いんだねー、と安易な印象を抱けば良いのでしょうか。そんなわけがありません。ストレスの溜まる仕事だからって犯罪でストレス解消するような方はごく僅かです。
 どうでもいいですが、「女性の美しい胸見るのが好き」という女性教諭は、ご自身の胸をあらゆる角度から激写しまくれば良かったのではないかと思うのですが、我慢ならん程に貧相な胸だったのでしょうか。

 犯罪者の中に「プリキュア」好きがいたってだけで、「プリキュア」好きの成人男性がヤバいってことにはなりません。そもそも「プリキュア」が児童を対象とした性犯罪を助長するわけがありません。だって、「プリキュア」って、正義の味方のお話ですよ? 日曜の朝に放送されているようなアニメが性犯罪を助長させるわけがありません。
 「プリキュア」に悪影響を受けるとしたら、主な顧客たる女児ではありませんかね? 「プリキュア」に影響され、危険なことに首を突っ込んだ末、大変な目に遭った、とか。それが普通の発想です。児童に「プリキュア」の真似をしない、と注意することは普通にあるでしょう。
 あ、犯人が敵の真似をするってのはありますか。「プリキュア」を観たことないのでわかりませんが、「プリキュア」シリーズ全話のどれかに、プリキュアをさらって監禁するって展開があったのかもしれません。で、犯人がそれに影響され、実践してしまったと。そうだとすれば、それは単に空想と現実の区別がつかないだけの、「決して真似をしないで下さい」の意味がわからないだけの、馬鹿です。性犯罪の助長とは無関係です。
 犯人がエロアニメやエロ漫画を大好きだった、というなら性犯罪への影響はまだわかります。作品内容みたいなことを犯ってみたかった、と。しかしその気持ちを実行に移すことと移さないことには大きな隔たりがあり、問題視されるべきは、その大きな隔たりが取り外されてしまった事態です。エロアニメにもエロ漫画にも問題はありません。
 しかし、ある作品が犯行に影響を与えることはあるか、と問われれば、それはあると思います。

 『ムカデ人間2』という映画は、「キチガイに見事な妄想を観せちゃ駄目!」という作品です。ホラー映画の真似をした、とかいう事件はありますが、実際はその大半が「そうでもない」事件だったりします。ホラー映画の内容を実践するのは、なかなかに大変だってことです。
 『ムカデ人間』は、「ショッカーのなり損ない」というか「ショッカーの誕生秘話」て感じの作品でした。あーゆーかけがえのないキチガイがショッカーなんかを設立させたのかもしれない、と勝手に妄想すると感動に涙が溢れます。「プリキュア」には毎度毎度様々な敵が登場すると思いますが、そんな敵を支えているのも、「ムカデ人間」に登場するような、意味不明かつはた迷惑な情熱を抱くキチガイです。そうに決まってます。
 「プリキュア」シリーズは、敵と「プリキュア」が「どちらの妄想がより情熱的で強いか」を競っているだけですから、「ムカデ人間」シリーズと大差ありません。

 ということで、「プリキュア」に影響を受けるとしたら、女児ならば「プリキュア」そのものに、成人男性なら……敵のキチガイに、ではないでしょうか。
 「プリキュア」を観ている女児には、ついでに映画『スーパー!』も観せてあげた方が良いでしょう。現実の悲惨さを学ばせるためにも。キチガイに『スーパー!』を観せたら……やっぱろくなことが想起されません。
 キチガイには何を観せてもヤバいんですよ。

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ジャンル : ニュース

2012-09-06

今年の<カナザワ映画祭>は、身が引き締まる

 今年の<カナザワ映画祭>は、もしかしたら今までで最もヤバい映画祭となるような気がします。毎年同じこと思っていますが。

 まず、ポスター。これは間違いなく最もポップです。貼ってあったら即剥がしてお持ち帰りされそうな出来。フージコちゃ~ん、の威力は大きいです。実際、毎年貼られていた場所に貼られていません。単に肌色率が高いから貼ろうにも貼れないだけかもしれませんが。いや、でも、今年はポスターを欲しがる方大勢いるでしょう。
 次に、爆音。何といっても、「SEX爆音」です。何だそりゃ。「SEX爆音」と聴いて即座に「ああ、あれね」とか思い浮かべられる方はいないでしょう。往年の東和魂をビシビシと感じさせます。簡単に考えて、喘ぎ声が爆音で聞けるわけですよね。古い作品の多い映画祭ですから、たぶん高音域がキンキンして聞こえるのではないかと思います。そうだとすると、「SEX爆音」は言葉から受ける甘美なイメージに反し、攻撃的なものになっているでしょう。毎年そうですけど。
 最後に、作品の選定。相変わらず絶妙だなぁ、と。

 『ショーガール』、『スペースバンパイア』、『にっぽんセックス旅行』、『瓶詰め地獄』なんかは、いかにも<カナザワ映画祭>、という感じでほのぼのとしますが、そこに『』、『ルパン三世 死の翼アルバトロス』、『地下幻燈劇画・少女椿』が加わると、観客の予想を超えることが宿命となった<カナザワ映画祭>であることが想起され、身が引き締まります。

 個人的に要注目は、『河』です。ツァイ・ミンリャン監督の名を一躍有名にし、台湾映画の名をさらに広めた傑作。
 台湾映画といえば近年では、エドワード・ヤン監督、ホウ・シャオシェン監督、アン・リー監督が即座に想起されます。それぞれが独特の作品世界を持ちますが(アン・リー監督は最も普通ですけど)、ツァイ・ミンリャン監督はその中でも一風変わった作風です。『ふたつの時、ふたりの時間』のような固定画面の長回し演出を見ると、下手すると「アート系志向の監督」と見下される可能性がありますが、何か日本のAVが好きなのか、AVをコピーしている業者の場面があったり、やたらとリズム感の悪いミュージカル場面があったり、凄くポップな作品を作る監督でもあります。
 『河』は、安部公房さんの作品のようです。幻想的であり、現実感があり。見終えて、何かわけわからんかったけど凄いものを観た、という気にさせます。次作の『Hole』は、『河』のミニマルさと真逆のにぎやかさで、しかし水が作品全体を重く包んでいる点は『河』と同じです。私は『Hole』をSF映画だと思っています。ハッピーエンドといえますし、とても愛すべき作品です。
 爆音上映するなら『Hole』か『西瓜』がポップであるため最適だと思うのですが、ミニマルかつノイズな『河』を選定する<カナザワ映画祭>は凄いとしか言い様がありません。実際に観てみるまでわかりませんが、必見であることは間違いありません。

 あと、個人的な希望として、いつか<カナザワ映画祭>でエドワード・ヤン監督の『牯嶺街少年殺人事件』を上映してもらえないものですかね。随分前に衛星放送で放送されたものを録画したVHSを持ってはいるのですが、ビデオデッキが何年も前に壊れたので観られません。あれだけの傑作が未だにDVDにもBlu-Rayにもならないのは不思議でなりません。権利問題でもあるのでしょうか?

 なかなか観られない作品として、最終日に用意された『地下幻燈劇画・少女椿』も凄そうです。映像だけなら実はYouTubeでも一部観られますが、謎の「特別仕掛け上映」とな。同日には『ルパン三世 死の翼アルバトロス』が無料上映されますし、これは県外客も帰るに帰れません。対策でしょうか?
 最終日は、行列を覚悟しなければなりませんね。大変です。

 大変といえば、お金がありません。
 先月は、<FREEDOMMUNE>と<WIRE>があり、旅費にチケット代にと出費が多く、かつレコードだCDだ本だ新作映画鑑賞だと出費が多く、今現在、<カナザワ映画祭>のチケットを1枚も買えていません。サポーター賛同金なんて夢のような金額です。
 支払いにクレジットカードが使えればすぐにでも買えるのですが、使えないようなので、給料が入り次第、速攻でチケットを買い(2万円はかかる……)、サポーター賛同金を受け取っていただきたく思います。節約しなければ……

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プロフィール

ばっどていすとさんどいっち

Author:ばっどていすとさんどいっち
テクノ好き。
アンダーワールドのRez大好き。
映画大好き。
ジャッキー・チェンが生涯の英雄。
生涯1位作品は『ミミズバーガー』。
2位が『溶解人間』。
泣き虫で、馬鹿。
itsuka-omoi-dasu-bts@hotmail.co.jp

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