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2011-05-24

『ジャッカス3D』は、良い子を育てたい親に推奨映画

jackass
 『ジャッカス3D』を観ました。
 バカには二種類のバカがいます。憧れてしまうバカと、憧れないバカです。「ジャッカス」の皆様は前者です。あの方々が素晴らしいのは、誰もがやらない下らなくバカらしいことを行っている点です。その点で「ジャッカス」の皆様はダントツです。

 「誰もがやらない下らなくバカらしいこと」は、「反教育的である」や「反社会的である」と批判されます。しかし、なぜそれが批判されるかというと、それが実は「誰もがやりたくてもやれないこと」だったりするからです。
 笑ってもらうために「下らなくバカらしいこと」をするには、ただ「下らなくバカらしいこと」を行えば良いわけではありません。やってみたいけどやれない、みんなが思っているそーゆーことを行ってこそだと思います。実はやってみたいと思っていてもそこに踏み込めない――そのようなことを代わりに色々と、想像以上の出来で行ってくれるのが「ジャッカス」の皆様です。

 本作は、ビーバスとバットヘッドによる超バカな3Dの説明から始まります。本編が始まる前から溢れんばかりのバカを楽しめます。
 それに続いてオープニング・タイトルが始まります。3Dを意識して作ったからか、映像が奇麗。ピクサーのアニメでも観ているのかと思うくらい、高解像度でくっきり色鮮やか。メンバー紹介も兼ねているので、映ってるのはバカだらけですけど。また、高速度撮影されており、木っ端微塵に飛び散る小魚、揺らめく肉体、弾ける絵の具などの動きを存分に楽しめます。しかも3Dですから、それらが飛び出して見える。オープニングの美しさはシリーズ最高です。泣けます。
 オープニングが終わると、エンディングまで片時もアクセルを緩めることなくバカなことが続きます。

 「ジャッカス」の皆様には基本にスケーター精神がありますので、「下らなくバカらしいこと」のくせに、成功した時、何かカッコイイ。これはスケートボードで階段の手すりなんかを滑り降りる行為に似ています。それがウンチを火山噴火のように噴出させることであったとしても、成功した時には、純粋な驚きから、思わず「すげぇっ!」と感嘆してしまいます。
 日本のお笑い番組でも「下らなくバカらしいこと」はよく行われていますが、その大半は罰ゲームとして行われます。お笑い芸人自身は、笑ってもらえるから嬉々として行っているのでしょうが、視聴者から苦情が寄せられるからか、建前は「罰ゲームで嫌々やってる」となっています。ゆえに、カッコ悪い。
 しかし、「ジャッカス」の皆様には建前が不用です。「ジャッカス」の皆様は、「お笑い芸人」でなく、純粋に「バカ」だからです。嬉々として自ら危険な「下らなくバカらしいこと」に飛び込みます(嫌々なのも一部ありますが)。それが成功した時にはみんなで大はしゃぎ。だからカッコイイ。そこに「憧れてしまうバカ」が表現されています。なろうと思ってもなれない孤高の純粋さ。いや、まあ、単なるバカなだけなんですけど。

 本作で最も好きだったのは、「オナラで楽器を鳴らす」やつです。先っぽがくるくると巻いてあって、吹くと「ぴゃー」て伸びるおもちゃの笛を吹くのです。その「ぴゃー」て伸びるのが3Dで飛び出して見えるのです。超下らないのですが、丁度コーラを飲んでいる時だったので、口と鼻からコーラを「ぶはっ」と噴き出してしまい、酷い目に遭いました。
 前述しました「ウンチが火山噴火のように高く噴き出す」やつも最高でした。最初は何が噴出したのかわからないように撮っており、種明かしをされて「実はウンチだった」とわかる小粋な演出が見事でした。「ウンチが火山噴火のように高く噴き出す」様子を見られることは、人生何十年と生きている人でも滅多にないチャンスと思います。見たくないかもしれませんが。
 クライマックスは、「簡易トイレのバンジージャンプ風ウンチカクテル」です。本作で最も見応えのある下品で汚くてバカな映像でした。あれこそ「やりたくてもやれない」、「下らなくバカらしいこと」の代表格でしょう。
 球を玉で受け止めたり、酒場で小人同士の乱闘が始まると止めに来た警官が小人なら駆けつけた救助隊も小人で周囲が唖然とするってドッキリがあったり、体を張ったバカネタは他にも色々とあり、必ず1つはお気に入りのバカネタが見つかります。

 今や、YouTubeを見れば「下らなくバカらしいこと」を嬉々と行っている人々をたくさん確認できます。できますが、やはり「ジャッカス」の皆様はそれらより数段の高みにいます。責任を持って「下らなくバカらしいこと」を行い、みんなの期待を背負っている点に於いて素人と一線を画します。
 もっと下らなく、もっとバカに。期待を背負って邁進するバカ道。子供の将来の夢に「バカ」が加わっても良いと思うくらいです。誰かを笑うのではなく、笑われる中心でありたい、と願うような。

 本作の最後には意外や感動があります。エンド・クレジットがまた素晴らしい(その前にあるお約束の大爆発も)。ウィーザーの「Memories」に合わせて「ジャッカス」の皆様の幼少時代の映像が映るのですが……あんな可愛い少年たちがこんな腐った大人になるとは。時の流れは残酷です。だから、「Memories」の歌詞に感動してしまいます。歌詞はこんな感じ(意訳の上に抜粋)。

俺らは自分たちが何やってんのか大して自覚してなかった
自分たちと、今まで歩んできた人生に間違いはないって信じてたんだ

今、俺には面倒を見なきゃならないたくさんの人がいる
いつ店に食べ物を買いに行けっていわれるかわからないし
赤ん坊の泣き声が聞こえるし
芝刈りもやらなきゃ
リズムに乗らないとやってけない
だって、めちゃくちゃ退屈なんだよ!

思い出は、昔に戻りたいと思わせる
全ての思い出が昔に戻りたいと思わせる
そこへ戻るにはどうすればいい?
もう一度そこへ帰りたいんだ

これを「ジャッカス」の皆様も熱唱するのです。感動しないわけがない! 平凡な自分にできないことをやる「ジャッカス」の皆様には憧れます!

 映画館で大勢のバカどもと爆笑しながら観たい、そんな最高の作品でした。とはいえ、この手の作品は後で作られる作品の方が過激度が上がりますから、「歴史上に長々と残る大傑作」とはいえません。まあ、瞬間風速だけが強みなところも「ジャッカス」らしくて最高です。
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テーマ : 映画館で観た映画
ジャンル : 映画

tag : ジャッカス

2011-05-17

今年もカナザワ映画祭があるようでめでたいな

 久しぶりに<カナザワ映画祭>の公式サイトを見たら、更新されていました! 今年も映画祭が開催されるようで、嬉しいです!
 ついでにブログの方も確認したら、同様に更新されていました。

かなざわ映画の会の日々是映画 → カナザワ映画祭2011

 今年は東日本大地震のことが意識される開催内容になるのでしょうか? 詳細はまだ決まっておらず、映画祭の副題も決まってない状態のようですが、今からもう楽しみでたまりません。
 今からもう9月16~23日は、仕事の予定を休みだらけにしておかないと。

 WIREも無事開催されるそうなので、嬉しい。今年の開催はないだろう、と思っていましたから。
 公式サイトを見ますと、今年のロゴは、日の丸なんですかね? 太陽が燦々と照っている。「日本頑張れ!」という意思表示がロゴに表現されているのかもしれません。そうなのだとしたら、それだけで気分が上がります。楽しくなりますね。今年のWIREは今までのWIREと少しだけ意義が異なるのかもしれません。
 東日本大地震の後、福島原発事故の後だから、どのような開催になるのかとっても興味あります。今までに比べてレーザー光線や照明が地味になるのかと思いますが。
 今からもう8月27~28日は、仕事の予定を休みにしておかないと。

 東日本大地震の後では、イベントを楽しむ時にも被災地のことを考えずにはいられませんが、とりあえずは単純に楽しみたいと思います。

テーマ : 映画関連ネタ
ジャンル : 映画

2011-05-15

『エンジェル・ウォーズ』は、『ミスター味っ子』的な

angel
 『エンジェル・ウォーズ』を観た。
 まず、予告編が私の心を鷲掴みにした。作品を構成する要素が、セーラー服の金髪少女、ゾンビ、機関銃、日本刀、侍、ロボット、戦争、ドラゴン、女囚、脱獄……まるでアホな中学生男子の妄想を詰め込んだような映画がメジャーで作られるなんて、「嗚呼っ、これは俺に向けられたプレゼントだ!」と思ってしまい、公開日を心待ちにしていた。たぶん全世界に似たような奴がたくさんいただろう。

 物語は驚いたことに一応、ある。予告編を観た時点で、「これは……物語の面白さに期待してはいかんな」と思ったもので。色々と複雑な構造になっているけど、要約すると、「キモい継父の策略によって精神病院へ入れられた少女がそこから脱出するまでの物語」だ。
 しかし、単なる「脱獄もの」ではない。主人公のベイビードールは、妄想逞しく、妄想世界では『チャーリーズ・エンジェルズ』も真っ青な強さを誇る戦士で、その妄想を巧みに利用しながら脱出するという、世にも珍しい「妄想系脱獄もの」なのだ。
 精神病院に“収監”(入院というよりは、収監だ)された少女たちは、“観客”の前で踊りを披露させられる。“観客”はそれを見、少女たちを買う。少女たちのいる精神病院は、表向きは問題児を預かる精神病院だが、実際は麻薬から武器、少女たちの性までを密売する違法施設だった。
 ベイビードールも踊りを強要させられる。しかし、踊ることこそが、ベイビードールの最大の武器だった。踊り始めた瞬間――妄想の世界にダイヴ・イン! どこの世界とも知れぬ戦場に、ベイビードールはいた。ベイビードールはそこで世界のあり方を教えられる。逃げたければ、戦うしかない。ベイビードールはその世界では無敵に強かった。脱出に必要な5つの小道具を集めるため、妄想世界で大冒険を繰り広げる――
 などと説明すれば、とっても面白い「ファンタジーもの」みたいに思える。が、予告編を観た時点で、「現実に精神病院を脱出することと、妄想でその過程を冒険することに整合性があるのか?」という点が疑問だった。そしたら、整合性以前に、妄想世界の展開に意味が全くなかった。それはもう、潔いくらいに。

 「ジャパニメーション」からの影響を隠しもせず、ただ単に「セーラー服を着た金髪美少女が日本刀を振り回してモンスターと戦い、ついでにロボットも出て、女囚で脱獄もする」物語を描きたかっただけなのだろう。その欲求は見事に実現されている。大作の予算で作ったVFXだけはあり、妄想世界の大冒険自体は、大迫力で、高水準の出来映え。
 展開は、「踊る→妄想開始→戦う→ミッション・コンプリート→妄想終了」の繰り返し。踊ることで敵を魅了し、行動不能にする。その踊りの凄さが妄想世界の大冒険として表現されている。それはもう『ミスター味っ子』もかくやという大袈裟な表現だ。
 しかし、それが物語に全く活きない。だって、観客が見せられるのは「妄想世界の大冒険」だけど、物語としては、実際は貧相な精神病院で踊っているだけなんだから。精神病院を脱出するために必要な道具を集めなくてはいけなくて、それが本作の見所になるんだけど、ベイビードールが敵の前で踊りを披露し、みんなが魅了されている(ぼーっとしている)隙にベイビードールの仲間が道具を盗み出しているだけ。全ての展開がそんな感じ。現実の描写を面白く描けないから、演出が妄想世界に逃げているようにしか見えない
 ビョークさん主演の『ダンサー・イン・ザ・ダーク』とギレルモ・デル・トロ監督の『パンズ・ラビリンス』を合わせたような感じなんだけど、それらの作品には妄想の登場に意味があった。本作には全くない。単なる「脱獄もの」か「空想戦記もの」にすれば良かったのに。

 映画の魅力は物語にはないので、物語が面白くなくても、画面で繰り広げられることが面白ければ問題ない。んだけど、本作はその点でも駄目。妄想世界の設定に既知感が溢れまくっているのと、演出が安直で単調なため、VFXをふんだんに使っていてもすぐに見飽きてしまう。「ジャパニメーション」からの影響を隠しもしないなら、もっと直球で「ジャパニメーション」っぽく作れば良かったのになぁ。「ジャパニメーション」側ではカートゥーンの影響を隠しもしない『パンティ&ストッキングwithガーターベルト』なんて傑作が生まれてるってのに。
 アクションは『マトリックス』だし、舞台設定は何かのゲームっぽいし……個人的には、ロボット、刀、美女集団、大戦、という要素から、セガのゲーム『サクラ大戦』を想い出してしまった。ハリウッド大作として『サクラ大戦』を実写化したらこんな感じなんだろうなぁ、と。
 ベイビードールの「踊り」は、妄想世界に入るためのスイッチなので、その素晴らしさは全く描かれない。涙を流してベイビードールを眺める観衆の描写があるので、我を忘れてしまうくらいに素晴らしい「踊り」なんだとわかる。それなら真正面から「踊り」を描いてみても良かったと思う。どうせセガの『サクラ大戦』に似ているんだから(個人的には)、『スペース・チャンネル5』のようにして、歌と踊りでモンスター大戦を描けば良かったのに。マイケル・ジャクソンさんの『ムーンウォーカー』の方が妄想映画としても本作より楽しいよ。
 実は、面白い場面は現実世界の描写ばかりだったし。『ウォッチメン』同様の色調の良さも妄想世界より現実世界の方に活きていた。妄想世界の存在は本当に意味がない。「踊り」の素晴らしさを伝えるのが妄想世界だってのは面白い演出だとは思う。下手クソなミュージカルを見せられるよりは遥かにマシだと思う。本作を観れば、『BECK』でコユキが歌う場面も妄想世界で演出すれば良かったのに、と思ったりもする。しかし、『ムーラン・ルージュ』を作ったバズ・ラーマン監督なら、間違いなく歌って踊らせただろう。とっても魅力的に。本作で「惜しい」と思うのはそこだけなんだけど、そこが本作の全てなんだよねぇ。

 物語は最後に多重構造になっていることがわかる。「辛い現実世界」→「夢の世界」→「妄想世界」という風に。夢と現実の境目が曖昧になる映画は、最近ではクリストファー・ノーラン監督の『インセプション』があったけど、あっちは「知的」で、本作は「中学生男子的」。ノーラン監督とスナイダー監督、好きに作らせた差が、これ。
 夢のような世界に入り込んで戦うってのなら、最近は他にも『トロン:レガシー』があった。そして面白いことに、『トロン:レガシー』も本作も前半部分でユーリズミックスの「Sweet Dreams」を効果的に使用している。これから始まる物語を暗示的に示している。そーゆーとこは素晴らしいのに、妄想世界が始まった途端に駄目になる。物語も停滞する。
 そして結局は、ロベール・アンリコ監督の『ふくろうの河』だ。死ぬ直前に見た夢、という。「Sweet Dreams」で歌われるように、「甘い夢なんて、どこにもない。誰もが何かを探していた」のだ。問題は、本作で描かれた夢は、とんでもなく退屈で面白味がなく、上映途中で退席しても構わないくらいのものだった、ってとこだ。さっさと夢が覚めてほしい、と願うくらいに。
 本編より予告編の方が楽しめた。

テーマ : 映画館で観た映画
ジャンル : 映画

tag : エンジェル・ウォーズ

2011-05-05

『GANTZ: PERFECT ANSWER』は、途中で答えがどうでもよくなる

gantz
 『GANTZ: PERFECT ANSWER』を観た。
 前作は、「どうせ面白くないだろう」と食わず嫌いから観ていない。しかし、TVで放送していた総集編のようなものを偶然観たら、それが意外と面白そうだったため、これは映画館で観ようと思ったら既に公開終了となっており、本作が始まっていた。前作を観たいと思った理由は、CGの出来が日本の作品にしたら意外と良かったから。ブリキの人形のような田中星人がお気に入りだ。
 原作は、読んではいるが、「週刊ヤングジャンプ」の連載を立ち読みで何となくテキトー読んでいる程度。従って、物語をよくわかってない。「何かよくわからないけど、変な黒い玉に呼ばれて、正体のわからない相手と戦わされている」という程度の理解。
 こんな「GANTZ」初心者の私がいきなり『GANTZ: PERFECT ANSWER』を観て大丈夫なのかと思うが、観たい理由が「面白い戦闘場面を楽しみたい」なので、全く問題なし。なのだけど、「面白い戦闘場面」が思った以上に少なく、かなりガッカリな作品だった。

 物語は、「正体不明の『GANTZ』に選ばれた死者が正体不明の宇宙人と戦わされる」というSFっぽい感じ。最初から最後まで「なぜ?」が付きまとうけど、答えはなし。「PERFECT ANSWER」なんて全く提示されない
 はっきりいって、物語的には全く面白くない。謎を重ねて観客の関心を惹くだけで、解決しようとはしない。1度は死んだ者が別次元で蘇って戦う。そこで死ねば本当に死んでしまうが、再び蘇らせることもできる。つまり、「GANTZ」による敗者復活戦でしかない。理不尽な展開に思えるけど、巧くいけば生き返ることができるのだから、お得だ。所詮は架空世界での戦いなので、瀕死状態でも「GANTZ」の部屋に呼び戻されれば元気になっているのだから、命をかけた恐怖と緊迫感が全くない。その時点で本作が失敗作になることは決定している。
 長期連載を視野に入れた原作なら可能となる物語でも、2時間程度の映画にするには不向きだ。前後編に分けるにしても、物凄く巧くまとめなければ筋を通した面白い物語になるわけがない。前作と合わせて4時間以上あるのに、結局のところよくわからない物語なのだから、明らかに脚本の失敗だろう。
 脚本が悪いのは、原作の脚色に失敗しているからだ。はっきりいって、松山ケンイチさん演じる加藤はいらない。別に物語に何の貢献もしないし。というか、「GANTZ」チームでは、二宮和也さん演じる玄野と田口トモロヲさん演じる鈴木、本郷奏多さん演じる西丈以外は、やられ役として細々いればいいだけで、現状は殆ど目立たない人ばっかだからチームとして見栄えが悪い。そこら辺は思い切って端折る脚色を行えば良かったのに。
 山田孝之さん演じる重田も存在意義を感じない。「GANTZ」や「星人」を調べているようだけど、どーゆーことで「星人」と接触持ってんだ? SFとして機能してないぞ。無駄な登場人物増やして、しかもそれが物語に何の貢献もしていないんだから。ヒロイン(?)である、吉高由里子さん演じる小島もいらない。上映時間を余計に延ばしているだけで、感動も何も呼び起こさない。小鳥の最期なんて、登場人物の誰よりもしぶといんだから、感動するよりも苦笑してしまった。小鳥がターゲットになるのは原作通りなんだけど、その理由が明らかにされないから、人間狩りとしても面白味がない。小鳥を「GANTZ」チームに入れておくならまだわかるけど。それに、こーゆー作品を観る度にいつも思うことだけど、何でみんな馬鹿なんだろう? 逃げろといわれて、なぜちゃんと逃げない? わざわざ殺されに行くとは……いかに日本人は日頃から危機管理ができていないかを示しているのか?
 とにかく、無駄に登場人物が多くて、しかもその殆どが物語に貢献していないのだから、もっと削るべきだった。それだけで上映時間は20分以上は短くなるのに(または、もっと物語を面白くできたのに)。
 そして最後に主人公である玄野が「PERFECT ANSWER」を選択するわけだけど、「ジャンプらしい打ち切り最終回」みたいなのだ。原作が完結するまで映画版の製作はしなければ良かったのに。
 地下鉄の場面まではまだ楽しめるけど、それ以降はダラダラしている。解決となる答えさえ期待しなければ、もしかしたら楽しめるかもしれない。普通に続く日常――それこそが異常である、という展開にもっと冷徹さを注ぐことができていれば、面白くできたろうに。しかし、「自己犠牲で成り立つ平穏」は、もっと最良の形で完成させることができている魔法少女なアニメ作品が最近誕生した以上、本作のそれは頼りなさすぎる。

 戦闘場面は期待通りに面白い出来ではあったけど、それは地下鉄の場面だけ。しかもそのシークエンスの前半だけ。中盤を過ぎると似たような演出の繰り返しで飽きる。だらだらと長いよ。
 前作のモンスター映画風味は全くなくなり、綾野剛さん演じるロン毛星人との剣戟が主な見所となる。これがまた微妙でねぇ。『グリーン・デスティニー』級ですらない。いや、素晴らしいと思える部分もあるにはあるけど、長続きしない。『修羅雪姫』を撮った佐藤信介監督だからこその見応えは殆どなし(瞬間的には所々ある)。
 玄野はとても強いらしいけど、台詞で説明するだけで、どれだけ強いのか描写しない。見ている限りでは、どこが強いのかさっぱりわからない。それは二宮さんのせいなのか、脚本&演出のせいなのか、その全てなのか。「おおー! 二宮さん凄い! カッコイイ!」という場面は皆無。逆にそこは松山さんが頑張っているんだけど、それも大したことがない。
 地下鉄場面の最初は、もしかしたら『ブレイド』級の戦闘場面の連続なのか、と期待してしまったのに……

 結局、前後編に分けてまで作った『GANTZ』は、何を描きたかったのか? 単なる漫画の映画化ってだけで、それ以上を求めてはいけないのかもしれない。表面だけ着飾り、中身はなし。もちろんそれが悪いとは思わない。思わないけど、それならそれで、もっと見栄え良く着飾ってほしかった。『GANTZ』という入れ物を利用して、表現したいことを表現するのだとしても、中途半端。
 とにかく途中からどうでもよくなる。登場人物の色んな人が死んで、その復讐に戦う。物語的に意味もなく殺しているだけ。面白くない展開がダラダラとスクリーンの中で続く。つまらない日常から抜け出たくて刺激的な非日常へと世界が変化するわけだけど、それが現実なのか空想なのか区別できない。下手すると押井守監督の『うる星やつら ビューティフル・ドリーマー』的に延々と続く物語になったのかもしれない。それに決着を付けるための結末が「自己犠牲」による「世界の修復」なら、ロベール・アンリコ監督の「ふくろうの河」のような結末の方が遥かにマシだった。全ては死ぬ直前に見た夢、というように。
 状況を的確に示すような演出もない。俳優陣が皆、下手クソにしか見えない撮り方をしている。クライマックスである松山さんと二宮さんの剣戟も、VFXでごまかすためにボヤボヤとした演出で、全く盛り上がらない。演出的にも物語的にも、偽加藤を出す必要が全くない。
 悪い夢(映画)なら、せめて早く覚めて(終わって)もらいたいものだ。

テーマ : 映画館で観た映画
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プロフィール

ばっどていすとさんどいっち

Author:ばっどていすとさんどいっち
テクノ好き。
アンダーワールドのRez大好き。
映画大好き。
ジャッキー・チェンが生涯の英雄。
生涯1位作品は『ミミズバーガー』。
2位が『溶解人間』。
泣き虫で、馬鹿。
itsuka-omoi-dasu-bts@hotmail.co.jp

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